■技術部門の役割と課題 4  (No.346)

続き  技術部門の役割と課題について述べる

  C執念に欠ける 〜モチベーション,やる気の醸成〜

「絶対に成功して見せる」,「この目標はどんなことしてでもやり遂げる」と云ったような技術者が少なくなったような気がする。ルール通りにきっちりやることはできても,目標を必達するために,ルールを破ってでもこれはと決めたことは徹底的にやると云ったことはやらない。

それは,技術者が,仕事を通じて「やりがいが見出せない」状態にいるのではないだろうか?

次々,起こる技術関連の問題の対処に追われる,新製品開発でもなかなか日程が守れず遅れが生じてその挽回に懸命になる,と云ったことが日常業務になると,そうした対処するノウハウを身につけ,それが仕事をしている感覚になってしまう。やれどもやれども,その山を越えられない。やがては,毎日を適当にこなすことが中心で,抑揚にない毎日になってしまう。ときには,ユーザからの要求やクレームで時間を限られ,徹夜に近い状態で仕事をすることはあるが,なかなか達成感にはならない。周りを見ても,それほどあくせくしている人はいない。この程度のやり方でよいのでは,と自分で自分を納得させてしまうようになってくる。仕事の中になかなか「やりがい」が見出せないことになっている。

一方,非常に熱心に仕事を取り組んでいるが,なかなか成果に結びつかないケースもある。一心不乱に熱心に仕事をしているのだが,冷静に見てみると,仕事の仕方に,「ゆとり,あそびがない」状態である。こうしたやり方は,オペレーションとしては申し分ないのである。しかし,この状態がどこまで持続するかである。精一杯頑張ることは大切なことであるが,そればかりでは息切れしてしまう。周りの変化に俊敏に対応した方が,目標に到達しやすいこともある。やはり,どこかに「ゆとり」や「あそび」(自動車のハンドルがガチガチでは運転できないこと)あってこそ,目標達成が成功しやすいのである。

目標を決めてやり遂げる。それで達成感を味わう。次に,さらに高い目標を掲げる。これをやり遂げ,達成感を味わう。これができるようになれば,「やる気」が自ずと沸いてくるし,そうしたことが自信となって,高い目標も達成できるようになる。それを,周りから見ると,「執念がある人だ」と見なされるのである。それは一朝一夕にできることではない。日頃からの地道なことの繰り返しである。よく云われることに小さな成功を積み重ねよう,そうすれば大きな目標も達成することができる。つまりこれらは自分自身知らず知らずの内に,良いサイクルを廻しているのである。

技術部門の役割と課題について述べているが,人の生産性の三要素(Sol219.htm)でも述べたように,役割を実行しようとすれば,役割に伴うスキル(技術・技能)とモチベーション(意欲・執念)が無ければ,実力を発揮できない。つまり,前回までに述べてきた役割,戦略や組織力を遺憾なく発揮しようとするには,それを実行し得るスキル(技術・技能)があることはもちろんのこと,人がやることなのでそのモチベーションに大きく左右される。人が持てる力を存分に発揮できるのは,このモチベーションの高さに依ることが大きい。

つまり,技術部門の役割を確実にするには,この「執念」,「モチベーションが高いこと」が大きな決め手になる。

(続く)

執念が課題克服の決め手

コンピテンシー(発揮能力)はモチベーションに左右される

 

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[Reported by H.Nishimura 2013.11.11]


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