■開発現場の悩み・問題点を解く 15  (No.327)

毎日が憂鬱(不安)で,なかなか思い通りにならない

会社の業績が伸び悩んでいると,周りの雰囲気も含めて何となく憂鬱な日々を送っている人も多いように感じる。要は,会社もそこで働く従業員にも活気のない状態である。こうした閉塞感を感じたことは少なからず誰しもあろう。

  不安感は拡大する

こうしたイヤな雰囲気を一気に吹き飛ばす方法などない。もちろん,一気に景気が回復するようなことが起これば別だが,そんな魔法の杖のようなものがあるわけではない。憂鬱な気持,不安な気持と云ったものは,何もしないと益々悪い方向に陥ってしまうことがよくある。つまり,不安が更に次の不安を呼び起こし,どんどん不安が膨らんでしまうのである。

不安感と云うのは,以前にも説明したことがあるが(危機感と不安感 No.077),先が真っ暗で見えないような状態に陥っていることを指す。つまり,将来の見通しが全く立たない状況で,自分がどうなるかと心配している状態である。こうした気持を抱いた経験は誰しもある。特に,心配性の人は他の人が何とも感じない些細なことであっても不安に駆られることがある。また悪いことに,容易に増長し易いので,益々悪い循環に陥ってしまうのである。

毎日が憂鬱な人にとっては,会社へ行くことさえ億劫になってしまう。良いことが一つもない。自分の将来を悲観する気持が増してくる。誰にも相談できる状態ではない。この先どうなるかと思うだけでも不安が益々大きくなる。もがけばもがくほど大きな落とし穴に吸い込まれていくように感じる。何か良いことが起こらないか,と神に祈る気持でもある。

  不安を感じるタイプには

不安を感じているタイプにもいろいろな人がいる。常に拠り所を求め,何かにすがっていないと安心できないような人は,すがっているものが無くなったり,小さくなったりすると,途端に不安を感じる。子供が母親に手を引かれている状態を想い出せば判るだろう。母親の手が離れれば,直ぐ探そうとする。つまり,自分自身では自律できていない状態にある場合,必ず不安がつきまとう。子供の例を示したが,肉体的なことではなく,精神的に自律できているかどうか,である。

自律できている大人でも不安に陥る。見通しの立たない状況,つまり深い霧に覆われた状態に置かれると,この先どうなるのかと心配するのは当然である。そんな状態でも何度か経験すると,それほど不安は感じなくなる。つまり経験則から先が見通しできるからである。だから,経験が豊かな方が不安に陥る度合いは少ない。不安とは未経験な,予測の付かない領域にある。その先にどんな悪いことが起こるかも知れない,と不安視する領域である。このことは人の気持の持ち方に大きく依存する。

つまり,不安は人が感じる程合いで大きく差が出てくることから,同じ状況(事象)であっても人の気持の持ち方で不安の大小が決まる。だから安定した人生を送っている人は不安に駆られることは少ない。逆に苦労ばかりしている人は,取り越し苦労ではないが,行く先に不安を覚えやすい。

また不安感は類は友を呼ぶように,同じ不安を抱く人は集まってくる。不安感は同情を呼ぶ。だから,大きな集団となってエスカレートし易い現象でもある。

  不安を感じない方法は?

それでは,不安を感じない方法はあるのだろうか?確かに,何があっても動じないと云うような人もいる。すべてが自己中心で,世の中が自分中心に廻っているかのような人や,感情を顕わにしない(できない)鈍感な人はたまに見掛ける。しかし,通常の人はいろいろな喜怒哀楽を通して人生を過ごしてきている。良いことも悪いことも,ある程度の周期で自分の周りでいろいろなことが起こっている。このように人生をある程度長いスパンで見れば,不安を感じる時期もやがて過ぎ去る。だから,時期を待つことも一つの解決策である。(しかし,現状,毎日が憂鬱な人にとっては,そんな説明も全く役に立たない空しいことであることも,良く理解できる。)

不安を取り除くにはどうすればよいか?先ずは,独りで思い悩むことから脱出しよう。頼るものが無いから不安は余計に募るので,不安が増長しないように,周りを頼ろう。仲間や先輩,或いは場合によっては家族に,不安の内容を打ち明けることでもよい。或いは,不安内容ではなく,気分転換するような話でもよい。要は孤立無援の状態から脱出することである。

そうして周りに支えられて,見通しの無い状態,深い霧に覆われた状態から,少しでも先が見える状態にまで漕ぎつけよう。徐々に霧が晴れて行けば良い。焦ることはない。不安感は心配事なので直ぐに消え失せることはなかなか難しいが,少しでも気にならなくなったら大丈夫である。そこからは前を向いて進もう。不安からの脱出を上手くやってみよう!!

(続く)

不安感に苛まれる人はなかなか聞く耳を持たない

孤立無援では不安の解消は難しい

 

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[Reported by H.Nishimura 2013.06.24]


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