■開発現場の悩み・問題点を解く 16 (No.328)
毎日が憂鬱(不安)で,なかなか思い通りにならない (続き)
不安感に似たものに危機感があるが,似て非なるもので,危機感を醸成することで不安感を払拭できるのである。
危機感とは?
不安感と危機感を混同する人もいるが,この二つは全く違う。不安感は前述したように,先が見えない霧が掛かった状態でこの先どうなるかと心配することであるが,危機感は状況は同じ状態におかれていても,心配するだけでなく,悪いことが起こりそうなことを如何にして回避すべきか,と云う意識を持つことであって,危機感を持って行動することは良いことなのである。
即ち,不安感からは負のイメージが強すぎてなかなか新しいエネルギーが出てこないが,危機感からはそのときの状況や心の持ち方によって新しいエネルギーが沸き出してくる場合がある。つまり,不安感はマイナス思考でしかないが,危機感はマイナス思考からプラス思考に変えられることが可能で,このプラス思考が新しいエネルギーの源となる。
危機感と不安感は全く違うとは言ったが,その人の捉え方で大きく違ってくる。例えばよくある話だが,企業などで業績が悪い状態に陥っているとき,会社幹部が叱咤激励のつもりで会社の窮状を救おうと危機感を訴えても,従業員にとってはその窮状を知り,会社がそんなに悪い状態かと不安を募らせるような受け止め方をすれば,危機感どころか不安感を煽ることとなり逆効果で,ますます悪い状態に陥ってしまうことになる。
そうした意味では,危機感と不安感は裏腹であるかもしれない。
危機感を上手く醸成する
つまり,不安感を払拭する方法の一つとして,上手く危機感を醸成し,その危機感の意識を持つことで次への一歩が踏み出せ,不安感が無くなって行くのだが,その境目は微妙な心の変化,気持の捉え方で,各人各様である。普段から心配性な人は不安感の方へ傾き,楽天的な人は危機感へと切換ができることが多い。
これまでの人生で思い通りにならなかったことは幾度となく経験されただろう。将来を不安視し始めたら限りが無い。どんな自信家でも,将来を確約することなどできない。ただ,不安感を持ちながら行動するのと,希望を持ちながら行動するのでは,明らかに将来の結果が違ってくる。もちろん,それまで過ごしてきた人生が反映されていることには違いない。良い人生を歩んできた人はより多くの希望を抱き,そうでなかった人は先行きの不安を感じる。だから,良かった人は益々良く,悪かった人はさらに悪くなるような行動をとってしまっているのである。
誰もがどのようにすれば,不安感ではなく上手く危機感を持つことができるか?前述したように不安感は先が見えないことであり,見えないことを悔やむより,こんな状態ではいけない,何かをしなくては,と考えることである。だが,焦る気持だけで何も手に付かない。そこで,やらねばならないとの気持ではなく,何かできることはないか,と考える。前に一歩踏み出すための些細な目標である。その目標をクリアすることから始める。そうしたことができるようになれば,次は何をすべきかを考え,その目標を決める。そうすると,自然と危機感めいたものが自分の中から沸き出すようになってくる。こんな自分ではダメだ,と前向きに考えられ,それが行動に移すことができれば,立派な危機感になっているのである。こうした危機感を自分自身の中で上手く醸成できるようになれば,鬼に金棒である。
不安感からの脱出
不安感を抱いている人は,一度冷静になって貰いたい。つまり,今抱えている憂鬱(不安)なことを整理してみて欲しい。それが過去にも経験したことであれば,どのように解消したか想い出して欲しい。未経験のことであれば,仲間や先輩に相談することでもよい。先ずは独りでくよくよしない(マイナス思考に陥らない)ことである。不安なのは先が見えていないからで,自分独りだけでは無く,誰しも同じことである。明るい将来像が描くけたら良いが,そうした状況ではなかなか難しい。ここで諦めないで欲しい。
誰しも簡単に不安感から抜け出すことはできない。だが,僅かな希望を失わないで欲しい。希望が適ったときをイメージして欲しい。この,小さな目標・希望が大切である。不安に覆われた先に,小さな明かり(希望・目標)を見つけ出す,或いは創り出して欲しい。
そうしていると何となく,先が見えてくるような気になる。今まで先が全く見えなかった気持から,何か少しぼんやりとした先が見えてくる,この僅かな違いが大切である。このことに気持が切り替われば,目指す方向へと気持がなびく。それが大きく強くなれば当にそれは危機感が醸成された証になる。不安感から生み出されるものはマイナス的なものが多く,危機感から生み出されるものはプラスに働くことが,身に付いてくれば,自然と行動に活気が漲り,落ち込みからの立ち直りも早くなる。
危機感を上手く醸成しよう!!
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[Reported by H.Nishimura 2013.07.01]
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