■開発現場の悩み・問題点を解く 14 (No.323)
自分の成長が見込めない苛立ちがある
会社全体の雰囲気がよくない
最近は,円安,株高で景気の回復の兆しをみせており,まだまだではあるが会社そのものに少しは明るい見通しがでてきている。昨年までは円高に苦しめられ,赤字状態の経営でみんなが疲弊した状態だった。会社の経営状態が思わしくないと,そこで働く従業員は元気が出てこない。頑張ろうという気力が涌いてこないのである。
会社勤めをしている以上,働いている会社の経営状態がよく,従業員が伸び伸び働いていることが望ましい。そうした状態では,将来に明るい希望がある。会社が成長している状態にあると,そこで働く従業員も活き活きと頑張り成長する。会社への帰属意識が昔より薄くなって来ているとはいえ,やはり会社自体が元気があるのと無いのでは,そこに働く従業員の意識は大きく違う。
会社が大きく伸び,どの会社に帰属していても多少の差はあっても,社会全体が勢いづいていた高度成長期と違って,昨今では会社が大きく伸びているところに帰属している人は少ない。そうした最近の環境下で,活き活きと働くことが難しくなってきていることは事実である。しかし,自分の成長を会社のせいにしているようでは情けない。自分の成長は自らが切り拓くものである。
期待されている仕事ではない
仕事の中身は様々で,会社組織でルール化されたルーチンに従った仕事もあれば,工程のメンテナンスなどどちらかと云えば裏方の仕事もあり,はたまた新規事業開発のような創造性を発揮しなければならない仕事もある。どれも会社組織としては必要な仕事である。ただ,すべての仕事が重要かと云うと必ずしもそうではなく,仕事が先にあるのではなく,人が居るから仕事があるようなこともある。
いつも重要な仕事を任される人も居るが,大抵の人はその時々によって,重要な仕事もあれば,そうでない仕事のときもある。重要な仕事を任されたとき,つまり会社として期待している仕事に就いているときは,その負荷は大きいがやり甲斐も大きい。もちろん,負荷が大きすぎると耐えきれずストレスが溜まって力が発揮できない場合も出てくる。しかし,一般的には,重要な仕事に就いているときは,輝いていることが多い。こういったときは,自分の努力もあるが,自然と自己成長しているものである。
逆に,重要でない仕事,つまりオペレーションのような仕事だと,自分の能力を発揮する機会が少なく,やる気自体も萎えてくることが多い。ときには息抜きにそうした仕事も良いと感じる人も居るが,いつまでもその状態に置かれると大抵は嫌気が指してくる。特に,年輩者や新人ならいざ知らず,若い成長著しい技術者がそのような環境に置かれると耐えられなくなってしまう。それではダメである。
期待されている仕事に就く機会の方が少ないと考えるべきである。特に,低成長期で会社自体が縮小均衡している状態にあっては,現状維持すら難しい状態である。会社自体の伸び代が無い中で,期待されるような仕事とは,会社としての改革なり,現状打破すべき役割を担うことなど,やりがいと云うより非常に負荷の掛かる難易度の高い仕事で,成長期のような期待される仕事とは意味合いが違っている。辛抱強く,我慢しなければならない,それでいて成果がなかなか現れないものであることが多い。負荷だけが重くのしかかってくる仕事である。こうしたことに耐えることも仕事の一つである。そんなときは自分自身の成長など,考えている余地など無い。
出世できない
会社勤めの新人の間は仕事を覚えることで無我夢中だが,10年程度経過して中堅どころになってくると,将来に対する不安などが頭を持ち上げてくることがある。このまま仕事を続けていて,将来大丈夫なのだろうか?同期の仲間とも差がつき始める。僅かな差でも気になるようになってくる。もちろん,能力の差が歴然としている場合は,本人も納得できるが,通常一般には能力の差は殆ど無いが,些細なこと,例えば上司の部下に対する気遣い,先輩との序列関係,そのときの職場の環境などによって評価が微妙に違ってきて,出世する地位に到達する時間差が生じてくる。
長い会社生活から見れば,ほんの一瞬の些細なタイミングであるが,本人にとっては非常に遅れをとってしまった感覚に陥ってしまうことがある。確かにこうした僅かなことが将来まで影響することもあるが,大抵はその後の努力次第で如何様にも変わることが多い。だから,そうした些細なことにくよくよせず,自分の道をしっかり進むべきであるが,なかなかそうはできないのが人間の心理である。
そもそも出世すること自体,本人の努力もさることながら,そのときの運も大いに左右する。運を呼び込むのもその人の能力と云う先人の言葉もあるが,世渡りの上手い人は確かに居る。出世したいと思うことは自然なことである。出世して世の中のために役立つことをできることは素晴らしいことでもある。そうした立派な人も多く居る。確かに出世することは,自己の成長を認められたことになるが,出世しないと自己の成長は認められたことにならない訳ではない。出世だけがすべてではない。世の中に役立つことは,出世とは直接関係は無い。出世と自分自身の成長とも一見関係あるようであるが,必ずしもそうとは限らない。
出世できるかできないかで,余りくよくよすることはムダなことである。出世より,自分自身が成長することを望む方が,長い人生では意義があることが大きい。
自分が成長しているように思えない
仕事内容も,出世も気になることだが,自分自身が日々成長しているかどうかが問題である。たとえ期待されていない仕事をしていても,その仕事の中で日々の成長が感じられていれば,そうした仕事の中でも喜びが感じられるはずである。或いは,出世で少し遅れをとっても,自分自身が成長していることを具に感じられているならば,いずれ追いつくこともあろうと前向きな気持が涌いてくる筈である。
ところが,自分の成長が見られない,或いは,停滞して先行きが見えないような状態に追い込まれてしまうとどうしても後ろ向きな気持になってしまう。要するに,先が見えない,将来に夢を託せない状態になってしまうことになる。こうした状態に陥ることはできれば避けたい。と思うのは誰しもである。だが実際には,自分の成長が見えないと悩んでいる人は意外と多い。悩んでいることには直ぐに気づくが,成長していることを気づくには,その場で直ぐではなく,時間遅れがあって感じるからでもある。成長が見られないと焦ることは無いのである。
人は努力していればいずれ報われる。努力もせずに,嘆いているばかりでは,進展は見られない。要するに,自分の気持ちの保ちようが明日以降のことを決める。もちろん,自分の描いた通りになることはないかもしれないが,前向きに努力していれば,必ずその成果は現れる。悪い循環に陥ることなく,常に前向きで良いサイクルを作るように努力していれば,時間の遅かれ早かれの違いはあっても成果に繋がることには違いない。
成長することは生き甲斐につながる!!
成長していることを感じるまでに時間が掛かることを知っておこう
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[Reported by H.Nishimura 2013.05.27]
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