■開発現場の悩み・問題点を解く 13 〜相談相手に関する悩み〜 (No.322)
人間関係の悩みの三番目は,相談相手がいない悩みである。
仕事の悩みを相談する相手
仕事をしていると必ずしも順調に進む訳ではない。なかなか思い通りの結果が得られなく落ち込むときもある。こうしたとき,上手く抜け出せる人は良いが,悪い状況からなかなか抜け出せない人も多い。通常は時間が解決してくれたり,何かのきっかけで解決できたりするものである。スランプと云う言葉があるように,何をやっても上手く行かない時期がある。もがけばもがくほど悪い循環に陥ってしまうことがある。そうした出来事は神様が自分に与えた試練だと冷静に見極められれば良いが,通常はそうは行かない。試練ではなく,苦痛であり,何で自分がこんな目に遭わなければいけないのか,自己嫌悪に陥ってしまうことさえある。
仕事での悩み,解決できない問題など,上司に相談するのが通常一般的である。しかし,軽く相談できる程度ならよいが,内容が深刻になればなるほど,相談できなくなってしまうことがある。自分独りで抱え込んでしまうのである。性格の違いもあるが,いつもは楽天的で,前向きな人でも,独りで悩んでしまうことがある。まして内向的な人は,落ち込んでしまうことになってしまう。上司には相談できない,まして仕事のことなので家に持ち込むこともできない。相談相手が居ないと独りで悩むことになる。こうした経験は多かれ少なかれ誰しもにあることである。
こうした悩みを抱えたとき,相談できる相手が居るのと居ないのでは大きな違いである。
仕事での悩みはなかなか理解者が居ない。周りで同じ仕事をしていても他人が悩んでいることは何となくは判っても,真に判っているとは云えない。微妙な心理的な機微があり,本人以外はなかなか理解し難いのが一般的である。他人には何でもないことが,当人にとっては非常に重たいことだったりもする。その気持を打ち明けられる仲間が居るかと問われると,殆どの人が居ないと応えるであろう。つまり当人と同じ土俵で,悩みを分かち合える人など居ないのである。
これが現実であり,自分でしか解決することはできない。そう言ってしまうと,すべてが自分のことに帰してしまうが,必ずしもそうではない。仕事の内容が具体的には判らなくとも,悩みは共通する部分がある。そこを上手く汲み取って理解し合える友が居ると,少なくとも自分独りで抱え込んで悩むことからは少し解放される。悩みを打ち明けるだけで,直ぐに解決に結びつかなくても救われることがある。重荷を少しでも軽くしてくれる。悩みを真剣に聞いて貰えるだけでも違う。要は気分転換を上手く図ってくれる相談相手である。
自分は仕事の悩みを打ち明ける相談相手が居ない人は,特に,自分の仕事そのものを理解してくれる人を求めている。しかし,そんな人はなかなか見つからない。同じ仕事をしているだけではそんな関係になれない。否,仕事のことは理解できても,悩みを聞き入れてくれるような友にはなり得ないことが多い。相談相手として,そんな理想を求めるから見つからないのである。それよりも,気心の知れた友の方が,仕事内容の理解は難しくとも,相談相手となってくれるチャンスは大きい。
つまり,独りで落ち込むことを救える気心の知れた友を持ち,打ち明けることである。
ひとり落ち込む
ただ,独り落ち込むことは決して悪いことではない。ときには必要なことでもある。何でもかんでも,誰かを頼るクセがついてしまうと,自分で考えなくなってしまう危険性がある。独りで悩むと云うことは,自分で何とかしようと考え込むチャンスが与えられる。これをチャンスと捉えるか,試練と捉えるか,或いは,自分は運が悪いと諦めるか,取り方次第で今後の結果に大きな違いが出てくる。
独りで悩みこんでしまうことは誰しもある。そんなことは一度もないと云う方が珍しい。どんなにあっけからんな人間でも,独りでくよくよすることは必ずある。それを長く引きずるか,直ぐに切換ができるかの違いである。その切換のきっかけがどんなところにあるかで,あっけからんな人間はいろいろなところに切換のスイッチを持っている。一晩寝てしまえばすっかり忘れてしまう,と云う人も居る。気分転換が上手くできるのである。なかなか切換ができない人は,他人の力を上手く利用することである。そうした点で,相談相手と云うのが居ることが最も切換が早い方法の一つである。
ひとり落ち込む程度が酷すぎると良くない。つまり,大きな心の打撃を受けるほど落ち込んでしまうのは良くない。2,3日の落ち込みなど,少しの試練をかいくぐることは必要なことで,そうした機会を通じで,人は成長して行く。また,一度どん底まで落ち込むと,そのときはしんどい思いをするが,はい上がって行く過程も経験することになる。そうしたことが人生を豊かなものに変えてくれる。悪いことばかりでないのが人生である。一般的には,順風満帆よりも,少しの波風が立っている方が良いことが多い。
ライバル関係
相談相手ではないが,ライバルが居ると仕事の励みになることがある。つまり,競争相手とゴールに向かっての勝負である。必ずしも同じ相手であることはない。ときには,同じ仕事の仲間であったり,ときには,競合他社が競争相手だったり。こうしたライバル関係が成立しているときは,仕事にも夢中になれる。悩んでいる暇など無い。要するに勝つか負けるかの戦場である。
ともすると勝ち負けを意識しすぎて,ライバルを蹴落としてでも,或いは多少の狡いことをしてでも勝とうとすることが起こるが,これは決して良くない。正々堂々と勝負して,勝ち負けを決めるところに意義がある。常に仕事には競合が付きもので,いち早く着手した方が勝ちを収めたり,戦略の優れた方が勝つなど,仕事の世界には,こうした真剣勝負がついて回る。
悩みを抱えて困っている状態などは,自分自身の能力の無さの象徴で,そんな悠長な気持で居ては取り残されてしまう。そうした状態を回避する意味でも,常にライバル関係があった方が良い。要は,自分の励みになる。勝ち負けはときの運も伴うが,何とかしようとする努力の源になる。モチベーションも高めてくれる。結果として自分自身の成長の糧となる。
悩みを抱え込むことなどを吹き飛ばしてくれるライバル関係を常に築いておくことは,問題解決の糸口を見出してくれる。
相談相手を持つことは大切なことである
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[Reported by H.Nishimura 2013.05.20]
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