■開発現場の悩み・問題点を解く 12 〜上司に関する悩み 2〜 (No.320)
上司に関する悩みの続き
上司が年下である
上司が年下であるケースは結構ある。年功序列がまだまだあった10年以上昔でも,年長者が部下であったことも,また上司が年下であったことも実際に遭遇したことがある。最近は,リーダーとかマネジャとか呼び方が変わり,年齢で上下関係が決まることは益々少なくなってきている。しかし実際,仕事をする上では年齢や経験は無関係とはなかなか言い難い。上司が年下だと,仕事上はなかなかやりにくいと云う年輩者も多い。同時に,年下の上司も同様に年輩者を扱うことはやりづらいと感じていることがある。
若くて上司になっているので,優秀であることには違いない。しかし,年上から見ると,何となく物足りないところを感じる。それは,若さゆえの経験不足,何となく華奢な感じを抱く部分である。もちろん,こちらの方が経験豊かなので,上司としての力量,判断力,先見性などを試そうとしていることもある。年輩者の扱いに対してどのような態度で出てくるのかを窺っている部分もある。上司であっても,生意気な態度を取ろうものなら,年輩者としてガツンと言ってやろうとの思いも一部にある。そんな気持が年配の部下の周りには漂っている。
年下である上司が年輩者である部下に対して取る態度は二通りのタイプがある。
一つ目は,上司となった以上,年輩者と雖も部下なので,指揮命令を躊躇無くやるタイプである。これは上司としては当然の行為であり,年齢は関係ない。このように仕事上と割り切って,行動するタイプである。こうした上司は,年輩者の部下から見てもすっきりしている。ただ,行き過ぎにならないことで,仕事上と云っても,年輩者であることには違いないので,そこで人としての機微が判っていればよい。ところが,往々にして上司としての権限が,仕事上以外にも及ぶことがある。ここまで行くと,年輩者の部下の気持一つでどちらにも転ぶ。仕事以外で上司振った態度をされると,年輩者としては気分が良くない。仕事上と仕事以外で,きっちり分別できる上司と巡り逢いたいものである。
二つ目のタイプは,上司になったといえ,年輩者の部下に仕事上も遠慮するタイプが居る。これまで上下関係が逆だったりした場合には,よく見かけられる。最初はそうであっても,いつまでも遠慮した態度で仕事をしていては他の部下に対しても示しがつかない。仕事上と割り切って指揮命令しなくてはならない。でも,仕事上となかなか割り切れない上司がいる。年輩者の部下から見ると,いたたまれない。年輩者の部下にとっても,反って仕事がしづらいことになる。もちろん,組織としての仕事の効率も低下する。特に,若い女性が上司になった場合などに見られる光景である。
もう一つ,全く年齢など気にしない無神経なタイプが居る。要は会社組織として,上司部下の関係であり,仕事上は年齢など全く無視して行動する人である。無神経さが仕事上,上手く働くのだが,こうしたタイプは,人の気持が判らないので,部下からはあまり信頼されないことが多い。仕事上の上下関係と雖も,人間同士が協力し合って仕事をする以上,お互いの気持が通じ合わないと上手く仕事が捗らないことがある。ただ,こうした無神経な上司に巡り遭わせることも起こりうる。
仕事をする上で年齢は関係ない,と云うのは机上での考えで,実際の場面では,そうは行かない。人と人とが仕事をし,そこには人としての感情を無視できないからである。上司であっても,部下であっても,仕事上は年齢を気にせず,仕事以外では先輩を敬う気持があること,これができる人が理想である。
上ばかり向いて仕事をしている
上司の中には,部下のことではなく,上の評価を気にばかりしている人がいる。出世欲が強いタイプで,上にゴマすりしながら,自分の評価を上げようとする人で,要領がよく,仕事の成果は上がらずとも上に上がって行く人である。上司に限らず,どこの会社でもこうしたタイプの人を見かける。サラリーマンである以上,上司からの評価を上げ出世しようとすること自体悪いことではないが,仕事の成果でなく,媚びいることで評価を上げようとするのは如何なものかと思う。
こうした上を向いて仕事をしているタイプの上司に出くわすと,上司から指示された通りにやっていても,その上の考えが違うと,それに合わせるため指示した内容を変えてしまう,つまり豹変することがよくあるので,部下はたまったものではない。このような上司としての価値判断基準を持たず,上司の上の指示・判断に迎合するだけの人が居る。本当はこうした上司は不要であるが(自ら判断をしないので),意外とこうした上司が蔓延っている場合がある。
こうした上司に当たると,どうしても上司のしぐさが気になる。気にしないでおこうとすると益々気になってしまう。それは,結局自分自身も上を見て仕事をしていることに通じる。上ばかり気にしている上司がいたら,逆に上を気にせず,自分やるべきことに集中することである。上司からいろいろ言われても,自分の仕事に集中していれば,批判している方が悪いのだ,と云ったくらいの気持になれば良い。上のことを気にせず仕事に没頭していれば,捨てる神もいれば拾う神も居ると云われるように,どこかで自分のやっている仕事を認めてくれている人が居る筈である。それが隣の上司であったり,或いは上司の上の上司であったりとするものである。
仕事は部下に丸投げ,成果は自分のものにする
部下に仕事を丸投げして,自分は何もしない上司が居る。仕事が複雑になっている以上,すべてを上司がカバーすることが難しくなっており,ときに部下に丸投げ状態になることも無くない。そうしたときでも,責任は上司がきっちり取ってくれればよい。だが,そうした上司に限って責任も丸投げ,つまり一切合切を部下に押しつけてしまう。そうして成果が出れば,その成果の部分だけを自分の成果にしてしまう上司が居る。
そうして要領よく上に認められ出世していく上司も居る。そもそも上司は自分で仕事をする役割よりも,部下に仕事をさせ,組織として仕事ができ,会社に貢献することの役割を担っている。丸投げだろうが,厳しくチェックしようが,組織として成果が上がれば,上司としては仕事をしたことになる。ただ,部下から見ると,何もしないで指示だけしている上司に見えても,実は会社としては十分な仕事をしていることになる。もちろん,部下の仕事の成果は自分の成果になり,会社としての成果である。
部下にとっては,仕事を丸投げする上司はありがたくない。やはり上司として,仕事内容をチェックし,悪いところは指摘し,良いところはほめて欲しい。そして,指導育成して欲しいと願う。しかし,上司と部下の関係も,若いときと中堅になってきたときとは違ってくる。新人の若いときから丸投げする上司は少なく,丸投げするのはそれだけ部下が育ってきている証拠でもある。だから,丸投げされたと上司を恨むのではなく,自分に任されたと思えば良い。もちろん,責任も自分が背負うくらいの意気込みを持てばよい。そうしないと,いつまで経っても上司の指示を仰ぎ,上司の傘の下での仕事になってしまう。
丸投げされた機会を活かし,自分で責任の取れる仕事への第一歩と考えればよい。成果だけを上司の取られたって気にすることはない。成果を上げる仕事ができるようになれば,自然と会社が認めてくれるようになる。上司の言動で悩むのは,若い間,20代で卒業したいものである。現実は,いろいろなタイプの上司が居るので,なかなかそうはいかないことを知りつつ・・・。
上司も人間である。いろいろなタイプの人に出会う
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[Reported by H.Nishimura 2013.05.06]
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