■本質を究める 80 誠意を見せる (No.617)

相手と話し合いをするときなど,正直に言うことはもちろん,誠意を持って話すことが重要である。

  誠意とは

誠意とは,「私欲を離れて正直に真面目に物事に対する気持。まごころ」とある。

  相手を説得するには誠意を

相手との交渉・相談・話し合いなどにおいて,相手の言い分とこちらの言い分が食い違うことはよくあることである。このような場合,自分の意見を通そうとするとき,正直に誠意を持って当たらなければ,こちらの真意が十分伝わらず,なかなか決着しない。こちらの言い分が筋が通り間違いが無くても,相手がなかなか折れてくれないこともある。そんなときにも,誠意を見せることが必要なことがある。

誠意を見せることは,その場だけでなく,日頃から信用される言動をしているかが大きく影響する。日頃の言動が,いい加減で信用のおけない行動をしているようでは,誠意を見せたつもりでいても,相手にはなかなか素直に伝わらない。つまり,相手は普段の態度からも誠意があるかどうかを見られているのである。

  素直に謝る

よく見掛けることであるが,謝罪する場面など,誠心誠意で謝っているかどうかが問われる。こちらが侵した誤りを認め,相手に謝ることが必要な場合,言葉でしっかり謝ることは必要だが,誠心誠意を見せた態度かどうかで,相手の受ける印象が大きく変わってくる。誠意が見られない謝り方では,本心では無いと見透かされてしまう。

また,自分の都合の悪いことは避けて・或いは隠して通そうとすることもよくあることである。謝る気持を見せるには,逃げるようなことがあってはならない。反って,そうした回避する気持や態度が見えると,いくら誠意を見せようとしても,相手には誠意が伝わらない。謝るときは,事実から逃げず,正直に誠心誠意謝ることが重要である。

素直に謝るには,最初が肝心である。最初から謝らずに,途中から誠意を見せても,誠意が相手になかなか伝わらないことが多い。謝るときに初動を間違えると,相手が謝罪を納得するまでに時間を要することになる。

  相手の気持ちを察する

自分の言い分を述べることは大切なことだが,それだけでは不十分で,相手の言い分をしっかり聞くことも重要である。相手が何を言いたいのか,なぜそのようなことを言うのか,相手の気持ちを十分汲み取ることも必要である。これはなかなか難しいことで,相手の立場・背景が十分に判らない中でも,相手の気持ちを知ろうとする努力は必要なことである。

そうすれば自分の言い分も,一方的なものにならず,相手を十分配慮したものになり,誠意が伝わることになる。世代間の格差や習慣や環境など,なかなか理解しがたい部分があることも多く,「相手の立場になって・・・」,と言葉で言うのは易しいが,実際には結構難しいことである。

  タイミングを失しない

誠意を見せるには,タイミングも非常に重要な要素である。随分間が空いてから,誠意を見せても,それが誠意だとは思われないことがある。ある意味,誠意にはスピード・タイイングの良さが重要で,こちらが同じ誠意を示したつもりでも,相手にとっては随分違うことがある。

相手への謝罪でも,タイミングを間違えると大変なことになる。こうした例は,マスコミの報道などで十分過ぎるほど見せつけられている。誠意を見せたつもりが,相手には誠意にならないことを物語っている。

  感情に走らない

人には感情があり,話し合いにも当然感情が入ってしまう。誠心誠意ことに当たる場合,感情は邪魔ものである。つまり,相手が感情的になってきたとき,こちらもつい感情的に応対することはよくあることである。これでは幾ら経っても,どちらの感情も収まりがつかない。こんなとき,一歩譲って我慢をすることも必要なことである。

こちらが少し我慢をすれば,相手も感情を少しは抑えようとする気持ちになる。誠意を見せようとするとき,感情をあらわにしては,相手になかなか誠意が伝わり難くなる。感情を抑えながら,冷静に誠意を見せることも大切なことなのである。

  自分の損得を一番に考えない

人の考えには,常に損得がつきまとう。これは誰でもそうであって,自然なことである。誠意の定義に私欲を離れて・・・とあるように,自分にとって損得を前面に出してくると,相手も同様で,損得は必ずと言ってよいほど相反することになってくる。つまり,誠意を見せるには,損得勘定を一切出さないことである。

そうは言っても,実際の場面(交渉・相談・話し合い)では,利害関係が絡むことが多い。こうした場合でも,自分の損得を計算して,相手に当たると,纏まる話もなかなか決着しないことが多く,事実は事実として理路整然として,話し合うことが必要である。私欲を離れることは,なかなか難しいことである。

  

誠意とは,奥深いものがある

 

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[Reported by H.Nishimura 2019.02.18]


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