■本質を究める 79 フェイクニュースの拡散  (No.613)

ネット上でいろいろなニュースが飛び交っている。もちろん,その多くは必要とするか否かは受け取り側判断だが,スピード感がある情報で賑わっている。しかし,事実を曲げられた偽情報も混在しており,ネット情報を鵜呑みにすることは危険である。

  誇張表現とは異質

ニュースの表現には誇張は付きものである。読者の心を掴むテクニックとして,誇張して表現することは認められている。もちろん,それを読者がどう感じるかは人によって様々である。私自身,実際にこの目で見た出来事と,ニュースになった記事を見て,記事とはこんなに誇張されたものかと感じた記憶がある。それでも,これまではマスコミの記者が記事を書き,発行する会社が責任をもって公にしていたので,ある程度統制がされていたように感じている。しかし,昨今の芸能界などのニュースをみると,やや行き過ぎの感は否めない。

さらには,SNSの普及によって誰もが自由に表現し,公に知らせることのできる手段が増え,制御する仕組みが無く,自由奔放なものになってきている。一見,誰もが自由に発言できることは良いようにも見えるが,歯止めが効かないものは,悪い手段として使われる危険性を孕んでいる。増して,容易にリツイートしたり,コピーできたりすることで,悪いニュースほど早く拡散してしまう傾向にある。悪気が無くても,情報を拡散させる加害者になることさえ起こってくる。

便利だと思い,ついつい安易に眺めているニュースの中には,フェイクニュース(偽情報)も含まれていることがある。これらは,誇張とは異質で,間違ったことを流すもので,看過できないものである。従来マスコミと云えば,新聞とテレビからの情報に限られていたが,ネット社会の今日では,ネット無いに無限大の情報が溢れている。それらの情報を素早く峻別することは容易なことでは無くなってきている。

  悪質なフェイクニュース

ニュースの中に,偽情報も中には混じって報じられることもあるとは感じていたが,フェイクニュースと云う言葉を知ったのは,トランプ大統領の発言からである。記者を前にして,自分の主張と合わないところに対して,その記事をフェイクニュースだと言い切って,その場から記者を追い出そうとしたのは,何度かテレビでも放送され,周知のことである。

そもそもフェイクニュースとは,広告収入などを目的で書かれたもので,それがフェイスブックなどで拡散されることを云っていた。いわゆる「デマ」がソーシャルメディアなどによってニュースとして拡散することでもある。ところが,それらが組織ぐるみで政治目的で使われるようなことが起こっているから深刻なのである。アメリカの大統領選挙がこうしたフェイクニュースで左右されたとも云われている。

つまり悪意を以てフェイクニュースを流す輩が存在するようである。大衆を扇動する目的でニュースとして流されることがある。それらのニュースにいとも簡単に騙される人達が居る。情報網が無数にあって,あっと言う間に拡散してしまうのが今日のネット社会である。悪意を持った情報源は一つであっても,悪意のない善良者が仲介役を果たして,一見すると悪意とは判らない情報に変貌してしまう畏れがある。

それらの情報を的確に捉えることは至難の業である。何が正しい情報で,何が偽情報なのか?悪質なフェイクニュースには引っ掛からないと云う人でも,意外と簡単に騙される世の中なのである。

  気を付けたいこと

このような雑多なニュースが蔓延しているネット社会にあって,どんなことに気を付けたらよいのだろうか?

@ネット情報を一度は疑ってみること

A一つのメディアだけでなく,多くのメディアから情報を得ること

Bバランスの取れた見方を心掛けること

C自分と異なる意見を持つ人との会話で確認すること

これで十分だとは言い切れないが,自分で十分納得して,理解をしてから行動するようにして,間違っても加害者にはならないように気を付けようではないか。

 

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[Reported by H.Nishimura 2019.01.21]


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