■本質を究める 74 攻撃は最大の防御  (No.593)

日本が元気がない。GDPでも中国に抜かれ,2倍強のひらきになってしまっている。嘗ての経済大国日本の姿が失われて久しい。このままでは日本が没落してしまう危機感が漂う。

  GDP比較

21世紀に入り早20年近くになるが,日本の経済は元気が無い。IMFの統計によると,2017年の国内総生産は,79.9兆$で,その内訳は米国が1位で19.4兆$,中国が2位で12.0兆$,日本は3位で4.9兆$だと云う。

インターネットで調べてみると,以下の通りである。

年代 第1位 第2位 第3位 第4位  
1970 米国(31.6%) 旧ソ連(12.7%) ドイツ(6.3%) 日本(6.2%) 中国(2.6%)
1990 米国(26.0%) 日本(13.7%) ドイツ(7.7%) フランス(5.5%) 中国(1.7%)
2017 米国(24.3%) 中国(15.0%) 日本(6.1%) ドイツ(4.6%)  

この表からも明らかなように,21世紀に入って中国の伸びが著しいのがよく判る。このままでは,中国が米国を抜き去ることもそう遠い将来ではなさそうである。一方,日本は3位をキープしているものの,伸びは鈍化している。世界の比率では,1970年代からの高度成長期の前の状態に戻ってしまっている。

  嘗ての経済大国はどこに行ってしまったのか?

1970年代からの高度成長期を支えてきた技術者の一人として,この体たらくは情けない限りである。昔が良かったと言うのでは無いが,日本中がエネルギッシュな時代であった。企業戦士と云われ,家庭を顧みずに残業も当たり前のガムシャラに働いた時代が,今の家庭を大事にして,残業もほどほどにしている現代よりも,日本中に画期があったことは事実である。

豊かさの善し悪しは,見方に拠れば現代の方が人間らしく幸せな暮らしができているとも云えるが,果たしてこのままで良いのだろうか?追いつけ追い越せとガムシャラに働くだけが是だとは言い難い。しかし,今日のような日本のままで,日本の将来は果たして大丈夫なのだろうか?

何がこのような日本にしてしまったのだろうか?豊かな生活はそのままで永続的に続くと勘違いしてしまっている。今の豊かさは,20世紀に日本人がガムシャラに働き,経済大国に押し上げてきた成果である。何もしないでこのままの豊かな生活が続く訳はない。ハングリーな精神は大切である。ハングリーさが人の努力を惜しませず頑張ろうとする大きなエネルギーである。豊かさを満喫しているようではこのエネルギーは生まれない。

必要なのは,このままの状態では日本は豊かな国から,貧しい国へと転落しかねない危機感である。今の生活に満足する事なかれ!!である。豊かな生活は努力の賜物であって,努力無しに豊かさを持続することは不可能である。若い技術者たちよ,今一度,嘗ての日本が作り上げた技術大国をもう一回り大きなものに仕上げることを目指して欲しい。失敗を畏れずいろんなことにチャレンジして欲しい。このチャレンジするエネルギーこそ将来の豊かさを担保する源泉なのである。

若い技術者たちよ,チャレンジ精神を忘れるな!!

 

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[Reported by H.Nishimura 2018.08.27]


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