■職場の問題点とその解決策 25 リーダが育たない 8  (No.505) 

昨今のマスコミでも,会社経営の建て直しなど,会社の危機を救うための並々ならぬ努力を垣間見ることがある。そこには,必ず強いリーダシップを発揮しておられる経営者の姿がある。幾多の大きな困難を前に,敢然と立ち向かう姿にリーダ像をみる。成功するリーダは,周囲の経営環境や運に左右されることも多いが,それらを上手く引き寄せるリーダシップがあるように感じられる。

  成功,不成功の差は?

リーダとして成功しているか否かは結果から見れば容易だが,どのような要因で成功したか失敗だったかを判断するのは容易ではない。いろいろな複雑な要素が絡み合っているからである。

だが,確かな要因もある。一つは,リーダとして自信を持って振る舞えているかどうかである。つまり,自信のあるリーダは,目標を定めそれを獲得するために必要な手を打ち,部下を鼓舞して,一致団結してその目標に向かわせる。要は,成功する手段が判っていて,それを着実に成し遂げているのである。成功する手順を把握できているリーダは強い。もちろん経験則など,自分の経験に裏打ちされた自信のほどである。

他方,不安要因を一杯抱えたままのリーダは,今一つ自信が無い。部下への指揮命令も,迫力に欠ける。自信に裏付けられたものが無いため,弱音が垣間見えるのである。部下の反応はリーダの言動に敏感である。目標への道程が不安定で,手探り状態に陥っているようでは,大きな成果は望めない。

また,組織力や部下の力を上手く活用できる状態にあるか否かでも,成果は大きく左右される。つまり,如何に部下を引き付ける魅力のあるリーダたるか否かである。その魅力の根源は,言行一致の率先垂範力や先見性や洞察力の優れたリーダシップの発揮など,リーダとしての資質などにあり,部下はそうした魅力に惹かれて,このリーダに付いていけば間違いないと感じる,そうした部下が揃うリーダには,自ずと大きな仕事が任されることになり,組織的にも飛躍して行く足掛かりとなる。

  社員を叱咤激励

リーダシップが上手く取れると云うことは,目標に向かっての指揮命令に社員がきっちり対応できることである。それが上手く行くのは,全員の意識が高まっていることであり,そのためにリーダは,部下が上手く危機感を醸成できるように仕向けることである。このままでは会社が潰れてしまうので,何とかしなければならない,と云うくらいなことは誰しもが感じることである。それを何とか自分も頑張らないといけないと感じ,リーダの示す目標に向かって努力することができるか否かである。

ただこうしたとき,大変なことになるから全力を尽くせと部下を叱咤激励しても,なかなか人は思い通りには動かない。逆に,大変なことになってしまうと不安感を覚えさせる結果になってしまうことさえあり得るのである。リーダの発言は結構重要で,受けとめる人の感覚で大きく左右される。つまり,リーダ本人は激励するつもりで発言していても,社員が不安を抱えどうしたら良いのか,路頭に迷うような事態に陥ることだったあり得る。これでは逆効果になってしまう。これは紙一重の違いである。

危機感と不安感の違いは,既に述べているので,それを参考にしていただきたい。危機感と不安感(No.077)危機感(No.328)

  向かうベクトルを一致させる

一人ひとりの思いを一つのベクトルに合わせるのは容易なことではない。新入社員ならまだしも,いろいろな経験をしてきているベテランを同じ方向のベクトルに一致させるには,大きな手腕が必要である。よく言われることであるが,リーダはビジョンを示し,それを熱く語り,部下に腹落ちさせて行動を共にすると。

確かに,ベクトルを合わせようとすれば,目指す目標が明らかでなければならない。役割分担も明確でなければならない。お互いの意思疎通が上手く噛みあうことも重要である。各々の仕事が最大限のパフォーマンスを発揮し,無駄なく推進することは,口で言うのは簡単だが,容易なことではない。それを可能にさせるのが優れたリーダの役割であり,部下との信頼関係が十分図れた組織である。

そのためには,リーダと部下,それと仲間同士,各々が十分なコミュニケーションがなされていなくてはならない。コミュニケーションによるお互いの理解を深め合うことが重要である。

リーダシップの鍵はリーダの資質!!

 

 

[Reported by H.Nishimura 2016.12.05]


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