■本質を究める 47 自信を持つ  (No.464)

自信を持って行動するのと自信が無い状態で行動するのでは,結果に大きな差が出てしまうことはよくあることである。つまり,自信を持って行動すると云うことは,行動の結果が見通せることであり,即ち,良い結果に導くシナリオが出来上がっていることである。「自信を持ちなさい」とアドバイスを受けることがあるが,それは良い結果を導くおまじないでもあるのだ。

  自信の有無が結果を左右する

実際に経験することであるが,自信を持ってやったことと,自信が無くてやったことでは,前者の方が結果が良いことが多い。つまり,何かをしようとするとき,目標に対して到達できる自信があってやると,目標の到達はもちろんのこと,その過程でも活き活き溌剌としてことに当たることができ,当初の予想以上の結果が出ることがある。これは,取り組む姿勢からして,成就させようとする強い意志の現れでもあり,また周囲の人からも確実に成し遂げられるに違いないと見えるのである。

一方,自信が持てなくて,こわごわしながらやっていると,結果にもその思いが伝わり,完遂できないことになる。つまり,自信が持てない→結果が不安→思うようにできない→ミスをする→十分な出来にならない,と云った悪循環が繰り返されるのである。自信の有無は単なる気持の問題だけでなく,行動に大きく影響を及ぼす。且つ,その結果を引きずることになると,自信のある場合は益々良くなり,自信が無い場合はどんどん落ち込むと云った循環になってしまうことが多い。気持の上で,成功の勝敗が決まっているのである。

よく親が子供に向かって,自信を持ってやりなさい,と言うことがあるが,それは自信を持ってやった方が結果が良いことを経験的に知っているからである。子供にはなかなかそのときの親の気持は判らないが,親が応援していてくれると云う気持が伝わるだけでも,子供の自信に繋がるのである。成功するおまじないなのである。

  自信があることは鬼に金棒

技術者の取り組む分野には未知な要素がいっぱいある。それを切り拓いて行くところに技術者の本領がある。当然,仕事として新しいことへ挑戦する機会も多い。そうした場合,如何に先を見通せるかが重要なカギとなる。つまり,先が全く見えない不安だらけの状態と,ぼんやりとではあるが,先が見えそうな気配がある状態とでは,取り組む姿勢が違ってくる。見えそうな気配があれば,よりクリアにするため,先を読む努力を惜しまないし,他から的確な情報を得ようとする。

こうした地道な努力が先を見通せる力となり,それが背景でやり遂げられる自信に繋がって行く。こうした自信が生まれれば,更に打つ手も的確になり,成功に導かれる。つまり,自信が生まれることが鬼に金棒のようなものになるのである。ただ,誰もが容易にこのように上手くできる訳ではない。先にある不安やリスクを如何に排除し,確実な進むべき道を見出すことが重要で,ある程度の経験と地道な訓練が不可欠である。

不安や恐怖は人の心の中に生まれる心理であり,これを上手くコントロールできるか否かである。生い立ちや環境が人の心理に大きな影響を及ぼすことは否めないが,心の持ち方は訓練で改良できる。要は,悪循環のサイクルを断ち,好循環のサイクルを作り出すことである。言葉では簡単に言えるが,容易なことではない。いきなり大きな成功を求めるのではなく,小さな成功例を積み上げて自信を持つことである。その小さな自信が雪だるまのように大きく膨らんで行くのである。これが出来れば,総てが上手く行くこと間違い無しである。

  自信は何から生まれるか?

それでは,自信はどうしてできるのだろうか?全く白紙の状態では何もない。だが,上手く行ったことや成功した事例を経験すると,次にやるときには,そうした事例が活きて,今度も上手くできるのではないかと思うようになってくる。一気にそうはならなくとも,幾多の経験を積んで行くとそうした思いが自然に芽生え,それが自信に繋がって行く。前述した雪だるま式を思い起こせばよい。

残念ながら,失敗したことは同じことは繰り返さないと注意を払うことにはなるが,自信には繋がらない。やはり自信を醸成するのは,成功例を経験することが一番である。ただ,人の性格にも依るので,たった1回だけの成功でも自信を持つ人と,何回も成功を重ねないと自信を持てないと云う人と個人差は確かにある。だが,確実に前進することには違いない。

人の心理は複雑であり,一筋縄ではない。だが,気持の上で優位なことは心地好いものである。人によって様々である気持の優位性を如何に導き出すかである。本を読むことも良し,先輩から学ぶことも良し,自分自身の心を冷静に落ち着かせ,上手く行くシナリオを描き出すことである。常にこのシナリオが描けるようになれば成功する確率が上がり,それが自信に繋がって行く。

  リーダにとって自信は不可欠な要素

リーダが自信を以て行動することが大切なことは既に述べたので(本質を究める 4 No.266)ここでは詳しく述べないが,成功に導くための重要な要因の一つである。つまり,リーダが自信を以てプロジェクトを進めることが出来ているか否かで,成功するかどうかが左右されるのである。

プロジェクトが成功するか否かは,そのプロジェクトリーダがどれだけ自信を持っているかどうかで判断できる。これはいろいろなプロジェクトを見てきた経験から,大きく外れたことはない。つまり,自信のあるリーダは成功への道筋が読め,描けているからではないか,と感じている。

  自信過剰は落とし穴

自信を持つことは大切なことであるが,それが行き過ぎてはいけない。つまり,自信過剰になってしまうと,自信が裏目に出ることがある。即ち,通常の自信であれば行動が積極果敢となり,良い結果が伴うのだが,自信過剰は思い込みが激しく,危険やリスクを気にせず突き進んでしまうことがある。危険やリスクへの注意や慎重さが欠落してしまう。そうすると,思わぬ落とし穴に嵌ってしまう悪い結果となる。積極果敢な自信は重要なのだが,行き過ぎは禁物である。

 

自信を持って行動している人は大きく見える

 

以前へ 本質を究める 46  次へ 本質を究める 48  

 

[Reported by H.Nishimura 2016.02.15]


Copyright (C)2015  Hitoshi Nishimura