■技術者が持つべき資質 7 責任感があること (No.462)
第6回目は「責任感があること」について考えてみる。
誰にも必要なこと
誰しも仕事をする上では,責任感を持って事を成し遂げることが重要である。そもそも仕事とは,上司なり,仲間から委託されたものであり,それを要求通りに仕上げることは基本中の基本であり,これができないようでは務まらないものである。ただ,そうであっても個人差があり,いやいやながら遂行するのと,積極的に遂行するのでは自ずと結果が違ってくる。だから,委託した方も,その出来映えで成果を計ることになる。
責任感の有る無しは,その仕事ぶりで判る。為し得た仕事は同じであっても,責任感の強い人は,依頼者の求めるものの真意を推し量り,如何にして満足できるようなものに仕上げるかをスタート時点から考える。一方,それほど責任感が強くない人は,与えられた仕事をこなすことだけに勢力を注ぐ。依頼者にとっては,前者の方が安心して任せられるのは言うまでもない。
組織にはいろいろな人が居るので,必ずしも全員が責任感の強い人ばかりではない。責任感の強い人ばかりに仕事を依頼しているようでは仕事が捗らず,公平に仕事分担をしなければならないことが多い。したがって,明確な目標設定と持てる能力を上手く発揮できるようにする工夫が必要となる。つまり,責任感の強弱を,やる気を出させる方法で上手く乗り切ることが必要となってくる。やる気さえ上手く引き出せば,人は能力に見合う,或いはそれ以上の結果を出すものなのである。
特に技術者にとって
技術者は仕事の内容から,責任感があることは当たり前で,概ね責任感の強い人が多い。逆な言い方をすれば,責任感がある人は技術者に向いている。どんな仕事でも責任感は不可欠であるが,技術者は仕事を分担しながら進めることが多い。つまり,各人に与えられた仕事が計画通りに進むことが,全体の仕事の進捗には必須である。だから,誰かが計画通りに進まないと,そこがネックとなり,他がどれだけスムーズに進んでいても,全体の進捗では遅れが発生することになる。したがって,誰もが与えられた仕事を責任を持って確実に遂行することが必要で,メンバーのお互いが責任感ある仕事をすることでお互いが信頼できるのである。
もちろん,計画通りに進まないことはしばしば起こる。当初の予測が甘かったり,或いは思いもよらぬ変化が生じたとか,予想を覆すような出来事が起こることは希ではない。だが,責任感を持って成し遂げようと努力したかどうかは大凡他の仲間からでも判断ができる。つまり,能力以上の難題に阻まれているような事態では,それを補おうとする仲間の支援もある。目指す共通の目標に向かって,お互いが仕事に責任を持ち,信頼し合って進めてこそ,成功に繋がる道なのである。
ところが,与えられた仕事の期日には間に合わない,言われたことも素直に従おうとしない,など,責任感が欠落しているような行動を採る人も中には居る。勤務時間中は真面目に仕事をしているが,仕事が遅れていても時間が来れば帰る,或いは,部下任せでフォローもしない,と云うような人も居る。技術の仕事は独り単独で行うような仕事は少なく,何人かのチームで仕事をすることが殆どなので,こうした無責任な人(本人は無責任とは思っていないことが多いが)が居るチームでは,なかなかチームの協調も図れなく,上手く仕事が進まないことが多い。しかし,現実にはいろいろな局面が起こるのである。
責任感が無い人など居ないと思われる方もあろうが,技術者には責任感の有無と云うより,強い責任感,最後まで成し遂げようとする気持が無くてはならないのである。この気持の強弱は,チームとして目標を必達するには大きな影響力を持つ。持てる能力以上に成果を大きく左右するものである。成功経験を持つ人は達成感を味わう喜びを知り,益々この責任感が強くなっていく。仕事に於いては当たり前に重要な責任感であるが,技術者にとっては大きな飛躍への原動力でもある。
責任感が強いことが大きな飛躍に!
[Reported by H.Nishimura 2016.02.01]
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