■本質を究める 25 (No.356)
いろいろな知識が豊富な人は頭が良いと云われる。それ以上に,行動力を伴って活動している人は,皆んなから称賛される。つまり,知識を貯め込むよりも,知識を活用する人が世の中では認められる。仕事で,知識や行動が活かされるのがコンピテンシー(発揮能力)と云われるものである。
知識の豊富な人
よくあれだけいろいろなことをよく知っているなあと感心させられることは多い。昨今のクイズ番組など見ていても,到底叶わないと思われる知識人がいる。どこでどのように勉強したのか,或いは勉強しているのか知らないが,雑学まで含めてよく知っている人が居る。
記憶力が優れていることは当然のこととして,一度聞いたことや読んだことを忘れないため,繰り返し繰り返し覚えようとしているのではないかと思う。我々凡人にはなかなか思いつかないようなことでも,知識の引き出しの中から素早く関連することを引き出しておられるように感じる。記憶力が年々衰えて行くことを感じる今日この頃であるが,頭を使わないと益々記憶力の減退が加速していくように感じる。
いろいろな物事を知らないよりも知っている人の方が,金銭的にはどうか判らないが,豊かな生活ができているように感じられる。それは知識を有することで,歩む人生そのものが幅広くなっているようである。心の幸せがどうかは本人しか判らないが,何となく幸せそうな感じがする。心にゆとりを持てているからだと思う。
知識が豊富だからと云って,持てる知識を十分活かしているかどうかは本人の意志や行動力に依るものである。
称賛されている人
世の中で活躍している人は,行動力のある人である。それは知識の豊富さとは無関係である。ただ,行動力の大きさだったり,行動力の幅の広さは知識の豊富さに関係しているのではないかと思う。つまり,持てる知識を活かそうと思えば,知識の無い人よりも当然,行動力は拡がり,且つ効率よく活動できることが多い。
だから,多くの活動家と云われる人は,単に活動する以上に勉強もよくしている人が多い。つまり,学習と活動が上手く関連されて,よいサイクルが廻されているのである。そうすることで,益々活動の範囲も深さも拡がって,世の中の人が認める専門家となっているようである。そうした人には,自然と一目置いて見るようになる。
最初からそうした専門家を目指して頑張っている人も居るが,多くは自分の好きなことをしている中で,得意となることが見つかり,それを極めていく中で,学習をしながら活動を繰り返し,まるで雪だるまのようにだんだん大きくなって行き,自然に自他共に認める専門家的な存在になって行くのではないかと思う。その一芸に秀でることが周りから称賛される所以となるのである。
コンピテンシー(発揮能力)とは
仕事などで重要視されるのは,コンピテンシー(発揮能力)である。詳しくはMOT人材とその育て方で述べているのでそれを参考にしていただきたいが,人の活動の生産性は,三つの要素から成り立っていると云われており,それらは,ミッション(MUST:なすべきことに対する理解),モチベーション(WILL:率先してやる意欲),スキル(CAN:実践するための技能)である。
つまり,人は世の中で役立つ(生産性を上げる)には,何らかの役割(それは,与えられたものであっても,自ら求めたものであっても)を担っている。その役割を果たすために,それを実行できる知識や技能を持たなければできないし,同時にそれをやる意欲も必要である。そうしたことを実現する能力,つまりこの三要素が重なり合った部分をコンピテンシー(発揮能力)と云い,このコンピテンシーが大きく,力強いものであることが,世の中に貢献することになっている。だから,仕事ではコンピテンシーが求められる。
上述した知識人で,世の中に貢献している人は,知識が多くあることではなく,自分の役割に応じた知識が豊富で且つ,それを使えるスキルを有し,意欲旺盛な人である。但し,知識と云うものは,もちろん専門的な限られた分野で深めることは重要だが,人が生活を営む上では,専門分野以外のいろいろな知識が必要とされる。したがって,一見必要でないと思われる知識でも,意外とその知識が有効に利用できることもある。だから,専門知識を深める以上に,浅く広くいろいろな知識を身に付けておくことは有意義なことがある。
コンピテンシーを役割に限定したが,仕事など限られた範囲では明確になっているが,人が生活する中での役割は様々である。いろいろな場面で役割が変わってくる。家庭での夫としての,また父親としての役割,生活空間での社会人としての役割など様々なものがある。それらの役割で,遺憾なくコンピテンシーが有効に使えるとなれば,どれだけの知識やスキルが必要かは自ずとわかるだろう。それらをすべて満足できるコンピテンシーを有した人など誰一人居ない。
だから,人生終わるまで,勉強であり,学習する機会が与えられているのだろう
コンピテンシー(発揮能力)を豊かにしよう!!
以前へ 本質を究める 24 次へ 本質を究める 26
[Reported by H.Nishimura 2014.01.27]
Copyright (C)2014 Hitoshi Nishimura