■技術部門の役割と課題 7  (No.352)

続き  技術部門の役割と課題について述べる

  F技術者の活性化 〜技術者に望むこと 1 〜

  目標を明確に持つこと(リーダシップ力)

誰しも目標(ゴール)を目指して頑張っている姿は勢いが見られる。何としても目標達成(ゴール)したいと云う意気込みが感じられる。第三者にも判りやすい姿である。若い技術者は上司から目標を与えられ,それを目指して頑張る。中堅技術者は自ら目標を定め,それに向かって突き進む。目標を持って仕事をすることは最も自然で基本的な,且つ重要なことである。

目標があることの最大のメリットは,目標と現状のギャップが明らかになることである。そのギャップを埋める為に何をすべきかを考え,ときには,戦略的なやり方も必要である。そのギャップこそが課題であり,その課題解決策を実行することが目標へと導いてくれる。そうしたプロセスが,成否に拘わらず人間を成長させてくれる。目標を定めずただ漫然と行動して,成功した場合とは大きな違いがある。

目標を持って進むことは,一人でもできるが,大勢のグループでもできる。技術者の仕事も一人でもできるが,グループでやった方がより大きな重要な仕事ができる。それには,やはりしっかりとした明確な目標が不可欠である。また,グループでの仕事を通じて,リーダシップ力が育まれ,磨かれる。このリーダシップ力は技術者にとっても非常に重要なものであり,これ無くしてグループでの目標達成は難しい。

  新しいことへのチャレンジ意欲を持つこと(挑戦意欲,創造力)

新たなものを製品として創造できるのは技術者のみである。そうした責任と権限を持った技術者が,日常の雑用に追われ,本来の力を発揮できないようであれば,事業の発展は望めない。技術部門が,新しいことへのチャレンジを伸び伸びとできる環境こそ,技術が技術としての能力を発揮できるのである。しかし,残念ながら昨今の技術部門を眺めて見ると,こうした新しいことへの挑戦をしている技術者が殆ど見当たらないように感じられる。

決して遊んでいる訳ではなく,殆どがあくせくと働いているのである。ある人は,会議に追われ,ある人は現場から歩留が悪いから改善してくれと頼まれ,またある人は,新製品のサンプル作りに追われている。新しいことを思いつくこと,考えを絞り出して,世の中を変えるような新製品にチャレンジしようとしている人が,果たして技術部門に何人いるだろうか? 部門全体の仕事の中で,果たして何%を新しいことへのチャレンジに使っているだろうか? ともすると,そうした挑戦意欲すら,どこかに置き忘れてしまった集団になってしまっていないだろうか?

技術者から前向きな姿勢が見られないようでは,その企業の発展は望めない。若い技術者に漲るようなエネルギーが感じられないようでは,どんな大企業で成果を上げていても,それ以上の発展はあり得ない。高度成長期だったから,前向きにエネルギッシュに働いていたのだろうか?唄を忘れたカナリアではないが,日本の技術者の今一度の活力を取り戻して欲しいものである。

  先ずは自分の専門技術を磨くこと,次にそれを「組織力」に(専門技術力)

技術者は各々,自分の専門分野と云うものがある。学生時代からの延長で専門技術を磨いている人もおれば,会社に入ってから言いつけられた仕事を,着実にこなしていく中で自分の得意とするものを見つけ出した人もいるだろう。経緯はともかく,技術者は,専門技術を磨くことから始めなければならない。得意な専門分野がなく,管理者として学ぶのは,30代後半からでも遅くない。若い間は,どん欲に自分の専門分野を深掘りしたり,その幅を広げたりすることに全力を上げるべきである。

技術者の持てるスキルを評価することを検討する企業がある。つまり,必要なスキルを磨き上げることを会社も求めている。知識を学び,資格を取って専門技術を磨くことも重要なことであるが,企業の技術者としては,その専門力をどのように発揮できるかが重要であり,そう云う意味ではスキルを上げることより,コンピテンシー(発揮能力)が重要なのである。使わない資格はムダである。有効に使える資格こそ意味がある。

個人の力は各人が磨き上げることに尽きるが,企業としては「組織力」で勝負しているのである。「組織力」を発揮させるのは,リーダの仕事だが,技術者はリーダが求める「組織力」に必要な専門力できっちり応えなくてはならない。個人の力をどんなに磨き上げても,たいていのことは組織の力には適わない。まして昨今は技術の組み合わせなど複雑化してきていると,一人の力ではどうしようもない。集団として活かせる技術を磨いて欲しい。

若い技術者の活き活きした姿を願う

技術を磨き,組織でその技術を発揮しよう!!

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[Reported by H.Nishimura 2013.12.23]


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