■本質を究める 12 (No.300)
一つのことに没頭できることは素晴らしいことである。
没頭できる幸せ
一つのことに没頭できている人は何か大成している。同じ事をずっと継続できることは自分では無意識のうちに本質的な部分に近づいている。あることを極めた人は,そのことに没頭することができたから成就できたと云えることがある。名人と云われる人は,その技に没頭して極めることができたからである。その人の幸せな人生そのものである。
没頭することは,他のことを一切気にせずそれだけに打ち込めることである。人生の中で,他を気にしないでできることは少ない。社会生活をしている以上,何らかの人とのつながりがあり,それらを意識しながら生活している。それほど苦ではないにしても,自由奔放にできることは少ない。しかし,没頭できるモノがあると云うことは,自分だけの世界に浸ることである。それは至福のひとときと云っても過言ではない。
他の人が没頭している姿を見ることは少ないが,没頭している姿は活き活きとしていると思われる。自分が何かに没頭していることを想像してみると,多分,他人を寄せ付けないような集中したオーラが出ていて,活き活きと熱中,或いは無我夢中になっていることだろうと思う。この活き活きとさせる活力の源は,全神経を集中できるモノがあるからであり,無我の境地ができていると云うことだろう。
没頭することから見えるモノ
没頭すると云うことは,一つのことに集中することから,他のものを気にせずに自分の世界に入り込んでしまうことである。そうすれば見たい,或いはやりたいと思うことを徹底的に追究することが可能となる。そうすれば,何気なく見ていたものから新たな発見が生まれ,さらにその奥へと深く深く侵攻していくことになる。そうなると,普通一般の人が見ていること,感じていることと違った世界が拓かれる。
我々は情報が溢れた世界に住んでいる。従ってそれらすべてを情報として吸収しようとすれば記憶脳が溢れてしまう。そこで我々は情報を右から左へ流すように見聞していることが多い。つまり,見聞きしたつもりでも記憶からは消されてしまっている。よくある話だが,何度となく見る看板でそれが何を意味するかの判断は素早くできるが,いざそれを画いて示せと言われると,なかなか書けないことがある。その程度の記憶でしかない証拠である。
しかし,一つのことに没頭することは,その情報を隈無く記憶脳に収め,いつでもどこでも知識として引き出すことができるようになるのである。そうすれば,その知識をいろいろな場面で活用できるようになる。活用するとさらにその知識が広まり,深い知識へと発展していく。このように没頭することで,一つの情報からでも深い知識と発展させることができ,即ち,普通一般の人が見ている以上のものを見ることができることになる。それらが繰り返されるのである。
名人と謳われている人は,必ずこのような没頭できる世界を持っている。だから,普通の人とは違う世界を見聞し,経験することができ,その技に更に磨きが掛かる。さらに没頭でき,それも必要不可欠なことへの集中力が増すことになり,どんどん名人の世界に入っていく。名人にしか見えない本質的なものがそこにある。
没頭するためのコツ
1.趣味を持つこと
私は趣味が多い。何か手掛けると徹底的にやらないと気が済まない性格である。それがいつしか趣味となり,それがだんだん増えていくことになってしまう。「趣味とは?」と尋ねられると,「寝食を忘れて打ち込めること。お金,時間,場所を気にせずやれること」と答えている。つまり,お金が掛かるからどうしよう,時間がないからできない,などと言っている間は,それは趣味の範疇には入らない。趣味があることはその人の人生を豊かにしてくれる。他のことを忘れ,没頭することができるからでる。
趣味から没頭することができることを知る。このことを趣味だけでなく,仕事に,活動に展開することができるようになる。
2.好きになること
先ずは,好きになることが大切である。嫌々やっているようでは,没頭することは不可能である。好きこそ物の上手なれ,と云う格言があるように,好きになることはそれに対して熱心に努力することができ,上達が早いと云われている。この熱心に努力すること,熱中できることが即ち没頭できる始まりである。
好き嫌いは,人によって違う。だから自分が好きだと感じるものに挑戦することが良い。
3.継続すること
好きになって,熱心になっても,それが短期間で終わってしまうようでは本当の意味で没頭できるようにはならない。やはり,同じことを継続してやることが重要である。継続は力なりと云われるように,コツコツ積み上げて努力すれば何事も為しうる力になることを意味している。このようにコツコツ積み上げる努力をする中に,それに没頭するような時間が生まれてくる。
継続できないようでは没頭することもできない。
4.好奇心,且つ探求心を持つこと
好奇心を持っていることは,何か注目したいことが無いか常に探している状態である。好奇心は子供が旺盛である。何か知りたい,何かを見たいと云う心が,自分の得意なモノ,好きなモノを見つけ出してくれる。それに,探求する心を持っていると,自然と深く調べてみようと云う気になる。つまり,好奇心+探求心が興味あるモノを見つけ出し,深入りすることになる
好奇心,探求心を旺盛にしていると没頭できるモノが見つかりやすい
[Reported by H.Nishimura 2012.12.17]
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