■課題解決法7 重要成功要因(KFS)にアプローチする
重要成功要因を抽出して,課題を解決することは,最も当たり前,且つ有効なやり方の一つである。
重要成功要因とは?
重要成功要因とは,重要成功要因の抽出の章でも説明したように,目標・目的を達成する上で,重要な(決定的な)影響を及ぼすと思われる要因のことで,経営戦略・戦術の上で,重点的な管理項目とされるものであって,これにアプローチすることは,目標必達に不可欠なやり方であることは言うまでもない。つまり,この重要成功要因に則って実行することが,課題解決そのものなのである。
この重要成功要因と云う言葉を知らない,或いは聞いたことがない技術者は多いかもしれないが,経営に携わっている人には,日常的に使われる言葉で,技術者の言葉で言えば,経験などから知り得た知識として,具体的な課題を乗り越える重要ポイント・方法と言ってもよい。つまり,成功に結びつける重要なポイントなのである。
重要成功要因の抽出から何が得られるか
重要成功要因を抽出できることは,目標達成に向けた最重要課題を確実に見つけたことである。つまり,我々はいろいろな課題を抱えて何から手を付けてよいか判らない状態では,的確に目標に近づくことは難しい。それが,重要成功要因を抽出することによって,最も有効な課題解決を図れる道筋を見つけたことに相当する。このことは,課題解決にとって,最有力な方法であることを意味している。
つまり,課題解決の方法として解説しているが,実際には重要成功要因を抽出することが,非常に重要であり,如何に上手くこの重要成功要因を見つけ出すかである。この抽出が上手くできれば,課題は半分は解決できたと言っても過言ではない。
重要成功要因として,例えば5つの要因が挙がったとすれば,この5つの要因の課題を解決すれば,目標に近づくことになり,我々の持つ力をこの5つに集中すれば良いのである。人間,集中することによって,予想以上の力を発揮できるものなのである。この集中力こそ,課題解決に非常に重要な力なのである。
重要成功要因の利用法
重要成功要因は,経営戦略で用いられるものであり,それがそのまま技術戦略で使えないことはない。むしろ,技術者は純技術のみで解決することを試みることは得意だが,こうした経営戦略的なやり方には馴染みが薄い。ただ,この言葉の意味や重要性を理解するならば,技術戦略として大いに活用することは,課題解決法として役立つに違いない。
そもそもこの重要成功要因の抽出のアプローチが,財務,顧客など広範囲に亘り,且つ業務プロセスの観点に加え,学習と成長の観点からも試みていることは,目標必達を目指した課題がいろいろな角度から検討されていることであり,技術者の専門的な視点にこれらが加わることで,すべてのことが網羅されていることが明らかである。つまり,課題が網羅され抽出されること自体が,課題解決の大きな一歩を進めたことに繋がっているのである。
課題は探せばいくらでも出てくる。しかし,我々の仕事ではすべてに亘って解決を試みられるかと云うと決してそうではなく,優先順位が付けられ,重要度の高いもの,即ち,優先順位の高いものから手を付けるのが必要で,効率的なのである。この重要成功要因を抽出する段階では,優先度の高い課題が抽出されることになっており,これにアプローチすることが最も有効な方法であることは,上述した説明で十分お判り頂けたのではないか。
[Reported by H.Nishimura 2013.03.25]
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