■課題解決法4 クリティカルパスに集中する

ソフトウェアの開発プロジェクトで,クリティカルパスが重要な位置を占めることはよく知られている。このクリティカルパスに注目して,進捗管理を行えば,大きな問題は未然に防げ,プロジェクトの進捗がスムーズに進む。課題解決は優先順位を付けることが必要であり,このクリティカルパスに集中することで,上手く優先順位が付けられることになる。

  クリティカルパスとは

クリティカルパスを知らない人も居るだろう。しかし,多くの技術者はプロジェクトなどに参加し,経験されていることと思う(クリティカルパスの説明)。簡単に云えば,並行するいろいろなタスクがある中で,当該タスクが遅れればプロジェクト全体の遅延に繋がる重要なタスクのことである。必ずしも,多くの人が掛かっているタスクとは云えない。また,タスクの完了予定が一番早いものでもなく,一番日程的に短く厳しいと云うものでもない。並行するプロジェクトには必ず一つ以上のクリティカルパスがある。下図は,分解したタスクを日程上に並べ,従属関係(前のタスクが終わらないと始められないタスクとの関連)を明確にした上で,クリティカルパスを見極めている。

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プロジェクト(特にソフトウェア開発)などでよく用いられているアプリケーションソフトがあって,タスクの日程と従属関係を入力すると,自動的にWBSを作成してくれるものがある。これでは,クリティカルパスが,自動的に明示されるようになっている。(下図)

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  クリティカルパスの重要性

クリティカルパスは,当該タスクが遅れればプロジェクト全体の進捗に直接影響を与えることになる。したがって,プロジェクトリーダなど進捗管理を行う人は,必ずこのクリティカルパスの進捗を最優先で見なければいけない。他のタスクで多少の遅れが生じても,このクリティカルパスが遅れなければ,大丈夫である。

このように進捗管理に最優先とされるタスクなので,WBSなど作成したときに,必ずクリティカルパスがどれなのか,明確にさせておくことが必要である。そして,一旦決まれば固定するのではないので,常に進捗管理を通じて,どのタスクがクリティカルパスになっているか,つまり,クリティカルパスが変わっていないかを見ておく必要がある。

クリティカルパスはプロジェクト進捗に関する用語で,タスクを分解してWBSを作成してはじめてクリティカルパスが明示されるが,一般的な業務でもクリティカルパスとは呼ばないまでも,存在する。つまり,その業務を最優先で行わないと,全体の進捗に影響を及ぼすものがクリティカルパスに相当する。仕事を進める要となる業務であり,自ずとその重要性は理解できるであろう。

  クリティカルパスで,何が解決するのか

クリティカルパスの重要性は認識して貰ったと思うが,それではこれがどのように解決策に繋がるのかを次に説明しよう。

クリティカルパスは最重要タスクであることから,これが遅れることは,プロジェクト進捗に直接影響し,即,課題(問題視)になってしまうことにある。つまり,課題解決を図ってプロジェクトを進めなければならないところへ,逆に課題を作ってしまうことになる。つまり,クリティカルパスに集中して進捗管理をすることで,課題を作らないことになり,即ち,未然に課題を解決したことと同じことになるのである。しかも,未然に防止するので,事後対策よりもやりやすい。進捗管理の中で自然に手が打てるのである。

また,プロジェクトは優先事項を決めながら,効率よく進めることが基本であり,クリティカルパスに集中することは,優先事項(重要なタスク)をきっちり守ることであり,基本的な動作である。こうしたことが確実にできているプロジェクトは成功率が高い。それはクリティカルパスも明確にせず,がむしゃらに頑張っているプロジェクトと比較すれば一目瞭然である。プロジェクトの成功は,課題を解決して目標に向かう目的を果たすことを意味している。

クリティカルパスに集中して前に進もうとすることは,当たり前のことを当たり前のごとく,優先事項を確実に行い,たとえ問題があっても他よりも優先して対処するため,遅れを少なくさせることができ,全体を把握しながら進めることであり,目標必達のカギなのである。

クリティカルパスに集中して,目標を必達させよう!!

 

[Reported by H.Nishimura 2013.03.11]


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