■技術経営とは? 0 (技術経営の定義)
企業の技術者にとって,基本となる考え方の集大成
企業の中で技術者として働くとき,全ての仕事,活動において,最も基本となる指針,考え方となるもの。企業の成長及び,自己の成長にとって非常に重要なものであり,このことを知った上で技術活動するのと,知らないで活動するのでは,活動の結果として出てくる成果に大きな違いが出てくる。したがって,企業の技術者として,必須要件としてMOT(技術経営)を学んで欲しいのである。
以下,主たるMOT(技術経営)の書物から,定義を抜粋する。
★日経BizTech No.001 日経BP社(2004.7)
MOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)とは, 「技術が持つ価値を最大限引き出し,新製品や新事業を創出する」ことである。事業モデルや商品コンセプトをデザインする力と,多彩な人材を生かしてプロジェクトを完遂するマネジメント力が,その中核となるはずだ。技術者から経営者まで,全員が一丸となって取り組んでこそ,MOTはその真髄を発揮する。こう理解し,実行する企業人が真のプロフェッショナルである
★MOT(技術経営)入門 延岡健太郎 著 日本経済新聞社(2006.9)
MOTの目的は, キャリア前半の段階では,「技術者のための経営学:経営知識のある優れた技術者の育成」といってよい。つまり,技術者であっても,特にマネジャに近いポジションに就く前には,経営的な知識をきちんと持つことが必要だと云うことである。このレベルの技術者が持つべき経営知識は2種類ある。
- プロジェクトマネジメントの理論や管理ツール,品質管理の手法,研究開発テーマ選択のマネジメントなど,技術管理の業務に関する具体的な知識である。
- マーケティングや戦略論,組織論,会計・財務などの経営の基礎的な知識である。
キャリア後半の段階では,「製造業のための経営学:技術経営の判る優れた経営者の育成」となる。製造業における付加価値最大化に正面から取り組むための教育である。そこでは,「価値創造(Value Creation)」だけではなく,事業としての「価値獲得(Value Capture)」を実現するための,全社的・長期的な経営戦略を立案・実行する能力が必要となる。
★技術者のためのマネジメント入門 伊丹敬之,森健一 著 日本経済新聞社(2006.10)
「技術経営」と云う言葉は,大きく分けて二つの意味で使われることが多い。 第一の意味は,「技術をベースにした経営全体」で,「技術による」経営と云う定義である。経営全体が主体であり,そのベースを技術に求めると云う修飾句がついている。経営の対象は,企業の中の経営が扱う全ての事柄で,それを考える際の焦点を技術にする,と云うことである。(下図の黄色い枠全体を指す)
第二の意味は,第一の技術経営よりもかなり狭く,技術を開発するプロセスをどのようにマネジメントするか,と云う問題を技術経営と定義する。いわば,「技術の」経営である。(下図の水色の枠の部分を指す)
つまり,技術をベースにした経営とは,企業の競争力・付加価値生産力の源泉を技術に求める経営である。当然,そのためには技術開発活動とそれを市場につなげるためのマネジメントが重要な中核部分となるだろう。つまり,広義(第一の意味)の技術経営の中心に,狭義(第二の意味)の技術経営が位置することになる。
次は,技術経営の歴史,背景
[Reported by H.Nishimura 2007.03.01]
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