■本質を究める 85 こんな日本に誰がした (No.641)

少し政治めいた話が多くなってきて恐縮だが,私たち団塊の世代の感覚では,日本がとんでもない国になりつつあるように感じられてならない。特に昨今の政治の話題では,政権を握っていれば何をやっても正当化されてしまうことがまかり通ってしまっている。正しい,まともなことが歪められてしまっていて,いつこんな日本になったのかと嘆かざるを得ない。

  「桜を見る会」での話題

「桜を見る会」とは歴代首相が開いてきた春の恒例行事だそうで,今回の話題で,初めてそうした催しがあることを知った。この会の招待者が年々膨らみ,今年は約18000人で経費は約5500万円に膨らんでいるそうである。野党が問題視しているのは,この会の私物化であり,国民の税金が使われていて,安倍総理の後援会の関係者が多数招待されて,公職選挙法の買収・供応に当たるのではないかとの指摘である。

首相には約1000人に及ぶ招待枠があり,これに昭恵夫人の招待者も含まれていたとのことである。さらには,夕食会に5000円で参加者に実費負担させていたことに,割安過ぎて安倍事務所からの補填があったのではないかとの疑いも持たれている。ホテル側が泊まり客が多数いたことから安く設定したとの説明であるが,素直に納得できる話ではない。収支の報告書も無いと云う。

さらには,野党が招待者名簿の公開を要求すると,その日の内にシュレッダーに掛けて廃棄したとの説明である。拙いものは隠してしまう,破棄してしまう,安倍政権がこれまで繰り返してきた手法が使われている。もちろん,安倍総理が指示したことでは無いが,官僚が忖度して証拠を隠滅してしまったのである。

要は今の安倍政権は,何をやっても野党の追求から逃れられる,と考えているフシがある。森本,加計問題から,証拠隠滅,書き換えは勝手気ままにできてしまっている。野党の追求が弱いこともあり,安倍政権が自民党の中でも独裁的な力を持っていて,誰もそれを正そうとしないのである。官僚もサラリーマンである以上,上の指示に逆らうことは人生を棒に振ってしまう危険性が伴い,忖度してしまうのである。これは公務員としての正義には反するが,自分の人生を掛けてまで逆らおうとはできないのである。

  安倍長期政権の歪み

日本歴代の総理大臣の記録を抜く長期政権を樹立し,まだまだ意欲的な総理であるが,前述したような実態は誰が見てもおかしいと思える出来事である。野党も自民党にも,これを質そうとする力を有していない。組織に入ってしまうと,そうならざるを得ないことはしみじみ判る。

トップの資質の問題で,独裁的になればなるほど,自らを律する強い心が重要である。廻りに任すのは当然であるが,廻りがしてくれたことなので,自分の責任ではなく,多少のことは目を瞑ってしまっているのではいけない。やってはいけないこととそうでないことの判断は当然のこと,独裁的ななれば灰色的なことも質そうとすべきなのである。

安倍総理の資質を疑いたい。育った環境や,人生の経験則でよかれと思っていることでも,世間一般の目からすれば常軌を逸していることだってある。そうしたとき,必ず苦言を呈して質してくれる人が居るものである。そうした人が居ないのが今の安倍総理の弱みで,裸の王様では無いにしても,倫理観としての判断力は極めて低いと云わざるを得ない。長期政権を担った人物として,後から指を指されるようなことにはなって欲しくないものである。

こんな日本に誰がした!!と嘆く

 

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[Reported by H.Nishimura 2019.11.25]


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