■実家売買顛末記 3 (No.574)
私の実家の売買の続き
実家の整理
実家の後始末顛末記で既に記載した(No.562)内容と重複する部分もあるのでここでは簡単に述べるが,実家の整理は一筋縄では行かず,たいへんな思いをしたものだった。要は自分たちがずっと住んでいたならば,何処に何があってと直ぐ分かり必要か不必要かの判断も容易にできるのだが,長年住んでいない実家のことなので,何処に何があるかさえ十分に把握できていな状態での後始末である。勿論,住んでいなかったのだから,必要なものは何も無いと判断すれば簡単ではあるが,少なくとも子供の頃に住んでいたこと,両親がずっと暮らしていたことから,無碍にすべてを廃棄するには忍びなかったと云うのが偽らざる心境である。
一軒家の旧家で,土蔵まであるとなると,置き場所に困ることは無く,保管するには何不自由なかったと思われる。つまり,モノを捨てることが「もったいない」と思われていた時代から,長年蓄えられた品が残されていたのである。先ず浮かんだのが,宝物は無いにしても,素人判断ではなかなかできないと古美術商に土蔵などの中身をみてもらうことから始めた。最初の古美術商は,鉄瓶など金目になるものが無いかと探されたようで,こうしたものは殆どなく,金額を付けるに値しない判断だった。
それではと丁寧にお断りして,違うところをネットで探した。実家の近くで古道具,アンティークな着物などを扱う店に依頼した。すると,先の古美術商では見向きもされなかった戸棚や古い着物に価値を見出され,ある程度納得のできる取引ができた。こうしたことから,古美術商にも各々特色があって,扱うものが一致しないと価値を見出されないことがよく分かった。もちろん,もっと価値を見出してくれるところもあったかもしれないが,こちらがそこそこ納得できれば取引するのが良いのではなかろうか?
家財の整理をする業者とのやりとりもたいへんな思いをした。こちらの思いがなかなか通じず,思い通りには行かなかった。知人の紹介だったので安心していたこともあったが,反省点としては,整理に掛かられる前に,詳細なことをもっと詰めておくべきで,一旦取り掛かってからでは,お互いの言い分が平行線を辿り,結局収束しないまま終わり,こちらが泣き寝入りするような形で終わり,後味が良くなかった。業界の慣習か,業者の社長の個性か,どちらか定かでは無いが,丼勘定的なやり方を理解するのが難しく,こちらの論理的な言い分が全く通じない世界だった。
また,知人を介しての金額のやりとりだったので,こちらは知人に託す方法を取らざるを得なかった。これは賛否両論あるが,直接業者とやり取りしていたとしたら,途中でケンカ別れのような状態になっていたかもしれない。それほど,整理途中では険悪なムードになったこともあった。そこは,仲介の知人が上手く取り持ってくれた。
登記上の諸問題
実家など固定資産の売却には,登記上の手続きが不可欠である。もちろん,素人ができる範疇を超えており,司法書士に委託しなければならない。我が家の実家のケースでは,私が相続した直後だったが,隣の家と土地の地番が逆さに登録されているとの情報で,隣と共同して番地の入れ替え申請を司法書士にやってもらった経験があった。
今回の売却にあたっては仲介の不動産業の担当者が登記上の問題が無いか確認をされたようである。そうすると,幾つかの問題が浮かび上がってきた。一つは実家の土地の中を水路が走っていることになっているとのことだった。私の子供の頃には既に水路は無く,水を流す程度の小さな溝はあったか?との記憶しかない。厳密に測量し直すなどすれば,相当な費用が発生する可能性が高いとのことだが,実質上水路は無く,買い手側の了解を得てそのままにすることで決着した。
もう一つは,二軒隣の家の登録が土地の番地が我が家の実家の番地とダブっている(二つの番地が登録されていた)ことだった。当初は,我が家の建物が二軒隣の登記上のものではないかとの嫌疑をかけられたが,登記簿をみると明らかに大きさが異なっており,二軒隣の以前の建物が滅失届を出されていないことが判明し,滅失届を出してもらうことで決着した。
通常住んでいるには,きっちり固定資産を払っておれば何の問題もないことが,こと売買に絡んでくると,いろいろな問題が噴出してくるものである。私の場合,実家の固定資産はすべて私が相続していたので,弟妹に承認をもらうなどの手続きは無くて済んだが,相続が完了しない状態で売買となると,また違った問題が噴出することになろう。
(続く)
家財の整理に一苦労する
登記上の問題は,日頃の生活では考えられないことが浮上することが起こる
[Reported by H.Nishimura 2018.04.09]
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