■ソフトウェア技術者の教育 2  (No.371)

  ソフトウェア技術者の教育について考える。

  ソフトウェア技術者の仕事

ソフトウェア技術者の教育について,先ずはソフトウェア技術者の仕事の実態について見てみる。ソフトウェア技術者と一言で言っても,様々な仕事がある。もちろん大半はソフトウェア設計,即ちプログラム作成に携わっている人が大半である。しかし,よく見ると,ソフトウェア技術者と云いながら,実際は外注設計のコントロールなど,管理者的な仕事に若い人が携わっていることが多い。特に,正規社員が少ない企業では,多くの外部委託の技術者を抱え,社員はその技術者の仕事を管理しているケースをよく見掛ける。

もちろん,ソフトウェア技術者を管理するので,単に管理ができると云うのではなく,ソフトウェアそのものを理解し,指示・指導をすることである。ただ,ソフトウェアを理解しているだけでは,十分な役割を果たせない。つまり,ソフトウェア技術そのものの指示や指導はできても,実際はそれだけでは不十分で,頻繁に発生する計画遅れに対する挽回策や必要最小限の経費で満足できる成果を得ることなど,マネジメント的な仕事内容も色濃くあるのが実態である。

ところが,仕事の実態に即したマネジメント的な知識は基礎からきっちり教育されていることは少ない。ソフトウェア技術が判っていれば何とか管理はできるはずだと見なして,見よう見まねでやっている場合が少なくない。プログラマーだった技術者がいきなり管理を任されるのである。プログラムの修正や指導は持っている技術力でカバーできても,マネジメントとしての知識は極めて乏しいのである。

そこでプロジェクトマネジメントと云って,仕事を進める基本的は仕事内容をまとめたものがあり,多くのソフトウェア技術者が学ぶことになっている。このプロジェクトマネジメントとは,ソフトウェアに限らず,ハードウェア技術者も必要とされるもので,プロジェクトを進める指針が示されたものである。特に,ソフトウェア技術はプロジェクトとして仕事をするケースが殆どであることから,プロジェクトマネジメントが必須となっている。

さらに大企業になると,オフショア開発と称して,海外業務委託を行っているケースも増えてきている。こうなるとマネジメントでも相当高度な知識が必要とされる。しかし,実態は海外との仕事経験が浅い技術責任者が日本での組織責任者としての役割から,海外委託業務の管理を任されていることが多い。技術責任者は名ばかりで,実態はその下の主任クラスがコントロールを任されていることが多い。だから,海外の業務委託を請け負っている側が,日本の弱みを十分知り尽くして日本企業を貪っていると云うのが実態である。

  プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネジメントとは,名の通りプロジェクトを進めるマネジメントのことを云っており,プロジェクトを進める基本的な知識を示している。したがって,プロジェクトのリーダーたる人は,知識のみではなく実践で活用できる力を求められる。本屋に行くとプロジェクトマネジメントの書籍は結構多く,コーナーとまでは行かなくともいろいろなタイプのものが並んでいる。ソフトウェア技術者は,系統だったプロジェクトマネジメントをこうした書籍から知識を得て学んでいることが多い。

プロジェクトマネジメントの国家資格もあり,ソフトウェア技術者の多くがチャレンジしている。しかし,合格率は10%も満たないようで,結構ハードな試験のようである。筆記試験であるが,合格することは必要なことであるが,それ以上に如何に実際のプロジェクトの中で知識を活かせるかどうかが最重要である。もちろん,国家資格を有さない人でも,プロジェクトマネジメントに長け,経験的にプロジェクトを成功に導くコツを得ている人も居る。

資格の有無はともかく,プロジェクトリーダを任された技術者は,最低限プロジェクトマネジメントの基礎知識は持って仕事に当たりたいものである。

詳細は,プロジェクトマネジメントのコーナーで述べているのでそれを参照頂きたい。

 

  

[Reported by H.Nishimura 2014.05.05]


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