■開発現場の悩み・問題点を解く 10 〜部下に関する悩み 2〜 (No.318)

部下に関する悩みの続き

  部下指導が上手くできない

部下を指導育成することは上司の重要な役割の一つだが,なかなか思い通りの指導ができなくて悩んでおられる方は多い。部下各々の個性に合った指導ができれば良いのだが,個性に合わせることは容易ではない。こちらの言ったことを素直に受けとめてくれる部下もおれば,一々口答えして素直に受けとめない部下も中には居る。何度言っても言うことを聞かない部下には,体育系の指導ではないので,体罰的なことをするわけには行かない。上司と部下の根比べになることさえある。

一つは上司を無視して自分の思い通りの行動を取るタイプである。このタイプは往々にして,能力は高い。しかし,枠に嵌められた指導を受けることを拒み,自由勝手な活動をし,ともすると組織的なグループでの活動が苦手なタイプである。極端なのは一匹狼的な,自分独りでやろうとするタイプが居る。こうした者をグループの活動で縛ることは,能力を抑圧させてしまうことにもなりかねない。かといって自由気ままにさせておくと,チームとしての和が保たれず,組織力として十分な力を発揮することができなくなってしまう。一番良いのは,単独でできて,且つチーム活動の一部を任せられるような仕事である。部下の性格を見抜き,各々が一番力を発揮できるような布陣が取れれば良いのであるが,そうは上手く行かないのが通常である。

もう一つのタイプは,能力が他のメンバーとは劣る者である。同じように仕事を分担しても,そのものの部分だけが遅れて足を引っぱる結果となる。部下が数人居れば,必ずそうした者が一人くらい居る。こうした者には厳しく指導しても余り効果が無い。仕事の負担を少なくするなど工夫すると,少しは足並みが揃うが,結局は人数が減った仕事量になってしまう。全く頓珍漢な仕事をするよりましだと諦めることにもなってしまう。こうした者は欠点を見れば見るほど悪い方に傾くので,少しある長所を活かす方法を考えることが一番である。その長所にあった仕事の役割分担をさせるのである。それでも上手く行かない場合は,誰か面倒を見る人と二人で仕事をさせるのも一つの方法である。

部下には各々の個性があり,それに見合った仕事をさせるのが上司の仕事でもある。

  若い部下の扱いが難しい

最近の若者は温室育ちが多い。少しの波風や変化が襲うと対応ができない者が居る。小学校から大学に到るまで,競争の無い横並びの環境で育ってきている。強い者や早い者が一番になり差を付けることがいけないことのように教わってきている。三つ子の魂百までとはよく言ったもので,小さいときの環境はなかなか変えることができないのである。こんな若者が社会人となって職場に入ってきている。学校教育を嘆いても仕方ない。そういった時代になってきているのだ。

ライバルや仲間に何としても勝ち抜いて一番になってやろうと云った意欲を持っている者がいない。仲間と同じことが良いことなのである。仕事で他人よりも出世することよりも,のんびりと奥さんと子供に囲まれた幸せな家庭を望むものの方が多くなっている。個人の生活を会社の仕事よりも大切にする世代である。家庭よりも会社であくせく働くことが美徳だった過去とは大きく違ってきている。高度成長時代を育った上司は少なくなってきているが,まだまだ世代間のギャップは大きい。

仕事を積極的にやらない訳ではない。与えられた仕事は時間内にやりきることはできている。もちろん,仕事が延びれば残業することは厭わない。ただ,与えられた以上の仕事を残業してまで会社のためにやろうとする人間が少なくなっている。景気が芳しくないので,残業規制もあり,つい仕事よりも家庭が優先になるのである。こんな若者の世代に将来の日本を託して大丈夫なのだろうか。かといって,上司が仕事について厳しく指導する場面も少ない。電機業界を筆頭に韓国などに押されているのは,こうした状況を作ってしまった上司達かもしれない。

学生生活と違い,頑張る者のそうでない者の格差が付くのが企業人である。年功序列はだんだん無くなり,若者でも突出していれば,リーダーに認められる。そうした,元気の良い若者を引っ張り上げるのが上司の仕事でもある。

  集団活動に馴染まない部下がいるとき

ときに,なかなか集団活動に馴染めない者がいる。協調性がない者である。こうした部下には,厳しく集団活動のやり方を指導するのも一つの方法だが,上手く行く場合とそうでない場合がある。本来は,集団活動に馴染むよう修正ができるのが望ましいのだが,ひとり伸び伸びとやらせた方が才能を発揮する者もいる。こうした部下を持ったとき,どうすべきか?

先ずは,才能を最も活かす方法を選ぶ。仲間と協働作業は上手くできないが,一人で課題を与えてやらせると,意外と才能を発揮する場合がある。こうしたときは,一人でやる仕事を与え,その成果やプロセスをきっちり報告させる。そして,その報告に対して,きっちりフォローして,指導する。これを繰り返していると,やがて仕事に対しての報告がきっちりできるようになってくる。そうなれば,様子を見ながら,比較的気の合いそうな者と共同の作業,又は補い合う作業をやらせるようにする。そうして,相手との関係を深めて行く。変に部下を付けたりすると,そちらの方に気が取られて,実力を発揮できなくなる場合があるので,その点は個性を見ながらやるのがよい。

実際に,集団の平均から外れた者を集めてきて仕事をした経験がある。上司がそういった者を活かすことが好き(?)だったのかも知れないが,そうした仲間と一緒に仕事をすることになった。そのとき,上司は各々にどんな仕事を与えたかと云うと,一人でできる仕事を与え,面倒見よく,きっちりフォローしていた。自由に伸び伸びとさせていた。別段,悪い人間ではないので,自分に任された仕事を進める中で,みんなとの協調も徐々に芽生えて云った。要は上司の考え方とその周囲の仲間の態度一つで,人は徐々に変わるものであることを実感した。

部下は能力を最大限発揮できる環境に置いてやるのがベストである。ただ,必ずそうした環境が作れるかと云えばそうでないことがしばしばある。ベストでなくともベターな環境で部下に仕事をさせるのは,上司の仕事である。

 

あなたは部下指導で悩んでいませんか?

 

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[Reported by H.Nishimura 2013.04.22]


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