■抽出法7 ブレーンストーミングしてみる
アイディアを出す方法として,最もポピュラーな方法である。課題を抽出する場合にも有効な手段である。
やり方
数人が集まって,テーマを決めて,それに対する意見を自由に述べ合い,出てきたアイディアをまとめ整理するもので,後述するルールはあるが,やり方・手法は様々である。
ブレーンストーミングの後で整理して利用することを考えれば,メンバー全員に一定時間を与えて,大きなポストイットのような紙に,アイディアを一つずつ書いてもらって集め,みんなの前に張り出す方法がある。この場合,整理する都合上,必ず一枚には一つのアイディアのみを書いて貰う。そうすれば,同じようなアイディアを一所に集めたりするなど,集計と共に整理することが容易にできる。また,整理するにも,意見を出し合ったり,また,張り出されたアイディアから,次のアイディアが生み出されるなどチーム力が出てくる。
一人ひとり意見を順番に言って貰って,記録する方法でも良いが,なかなかはっきり口に出して云うことが苦手な人がいたり,発表する人が偏ったりすることが良くあるので,上記のように一人ずつに自由に意見を書き出して貰う方法の方がアイディアが集まりやすい傾向になる。
「ワイガヤ」と云って,ホンダが開発した言葉であるが,「役職や年齢,性別などに関係なく,気軽に「ワイワイガヤガヤ」と話し合う方法も,ブレーンストーミングのやり方の一つで,オープンな組織文化のある企業で代表されるコミュニケーションである。ホンダにはワイガヤルームというホームページまで作られている。
ルール
ブレーンストーミングには,次のようなルールがある。これは守って実施したい。
- 他の人の発言を批判をしない
- 自由奔放なアイディアを歓迎する
- 質より量を求める
- 他人のアイディアを利用する
ブレーンストーミングの目的が,できるだけ多くの意見を出して貰うことにあり,それに反するようなことをしない,と云うことが大前提である。各人の感じたこと,思ったことが素直に発言できることが基本で,内容の善し悪しを云々することではない。
課題の抽出に当たっても,とにかく数多く集まることを主眼として,整理・分析のことを気にしなくてよい。ただ,テーマに沿った発言としたい。また,些細なことだと遠慮したり,上手く言えないと恥ずかしがったりすることはよくない。他の人が上手く補足してくれると思ったらよい。
ファシリテーター
ブレーンストーミングをする場合,まとめ役の旗振り具合が成果を大きく左右する。そうした旗振り役のことをファシリテーターと呼ぶ。このファシリテーターとは,会議の議論などの調整役で,中立的な立場を取り,アイディアが出やすい雰囲気作りをし,出てきたアイディアを全体の意見としてまとめる役割を担う。
このファシリテーターがやり方に慣れた人であるとアイディアも豊富に出るだけでなく,全体でのまとまりもスムーズに進む。但し,必ずしもテーマに関して内容をよく知った人でなくてもよい。
KJ法を活用する
このやり方は,川喜田二郎氏が考案されたもので,氏の頭文字を取ってKJ法と呼ばれ,新QC7つ道具の「親和図法」にもなっている。(「発想法」「続・発想法」(中公新書 1967,1970年))
まとめの順序としては次のようにする。
- 関連あるものを集める
- 小グループ化したものを更に大きなグループでまとめ,表札=まとめの言葉 を付ける
- 課題をまとめて表現する(表札を兼ねても良い)
- 課題の優先順位をつける 優先度の高い3つに注目
注意点
ブレーンストーミングは上述したようにアイディアを出す方法としては優れたやり方である。ただ,何事もそうであるように,これも万能ではなく,利用するときに注意が必要で,以下のような注意点を踏まえて,上手く有効に活用したい。
- テーマを明確にしておくこと(→まとめに苦労する)
- 自由に言える環境作りをしておくこと(→アイディアが集まらない)
- 必要な(有効な)人材でやること(→人数が多いだけでは意味無し)
- メンバーに共通認識を持たせておくこと(→アイディアが発散しすぎる)
- まとめ役がしっかりすること(→折角のアイディアが活用できない)
ブレーンストーミングを有効に活用しよう
[Reported by H.Nishimura 2013.02.22]
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