■抽出法4 常に(四六時中)ゴールのイメージを描いておく
課題は,現状とゴールのギャップにあると説明した。つまり,現状は毎日の状態なので意識せずとも判るが,ゴールイメージは常に意識にあるとは限らない。ともすると,ゴール(目標)を見失っている人も中には居る。これでは課題が見つかるわけはない。課題を見つけるには,常にゴールイメージを描いておくことが重要なのである。
ゴールイメージが常に描けていると何が違うか?
目標である目指す姿,即ちゴールイメージが明確に描けると云うことは,たとえ途中でいろいろな難関に遭遇しても,道に迷うことはない。進むべき方向が常に判っている状態にあるので,誤った方向に進んだとしても軌道修正が早い。つまり,確実にゴールに向かって進むことができる。
ゴールイメージがあるからこそ,現状とのギャップがよく判る。どのようにして現状から,ゴールへ到達するか,その間にやるべきことが浮かび上がってくる。即ち,課題が明確になってくるのである。また,どこまで進んだか,いつゴールに到達しそうなのか,推測も付けやすい。特に,目標が数値化できる場合はより明確になり,励みになり,モチベーションが高まる。このように,常にゴールイメージを持っているとメリットは大きい。
日頃あくせくしていると,目標を意識しないようになってしまうことが多い。ところが,ゴールイメージを常に持ち続けると云うことは,何とかしてゴールに辿り着こうとする思いをかき立てることになる。そうなると,自然とやるべきこと(課題)がはっきり整理ができて,それを乗り越えようとする力が湧いてくる。そうした,僅かなことの違いで,確実にゴールできるかどうかの差がつくことになる。
またプロジェクトのように一人ではなくチームで仕事をしている場合,しっかりとゴールイメージが描けていると云うことは,目標(ゴール)を仲間と共有することが容易にできることになる。共通した目標が明確であることは,同じベクトルで進むため効率が良い。チーム活動でゴールイメージを共有することは必須要件である。
ハッと閃くことがある
こんな経験をしたことはないだろうか?常日頃から何かに集中して考え悩んでいると,フッと夢の中に出てくることがある。これは寝ている間に情報の整理が行われ,起きている間にはできなかった考えが纏まるからである。自分では気がつかないので,ハッと閃くような感覚に襲われる。人間の脳は良くできたもので,悩み抜く,或いは考え抜くような一心に集中する状態を作ると,そこから素晴らしい応えが浮かんでくることがある。
一般的には,物事は無我夢中で頑張るより,論理的に理詰めでやることが成果が出やすい。ムダなことが少なくなるからである。これは左脳の働きが活用されていることである。しかし,人間の右脳の閃きも非常に優れたもので,芸術家などセンスを問われる職業は,この右脳の発達した人が多い。しかし,我々技術者も左脳中心の論理的な考え方だけでなく,ときには右脳を使った閃きが非常に有効なことがある。重要な発見・発明はこの右脳の閃きに依ることが多い。
ゴールイメージを常に持ち続けていることは,常にゴールに向かった意識が働いている。日中は見えるものが多く,情報が行き交っているので気がつかないことも,眠っている間に情報整理が行われ,ゴールへ向かう解決策がフッと浮かんでくることが起こるのである。
ゴールが呼び寄せる
何とかしたいと念じる思いが通じた経験は無いだろうか? つまり,ゴールを意識し,何としてもゴールに辿り着きたいと念じていると,不思議と念力が通じるようなことが起こる。実際には,自分の努力であるが,あたかもゴールが自分を引き寄せてくれたかのように感じる。このようなゴールのイメージトレーニングが有効な場合がある。
イメージトレーニングはスポーツなどで盛んに行われる。しかし,それも脳の作用であって,課題を見つける場合にも有効な手段であるにはちがいない。つまり,ゴールの理想の姿を描くことは,課題を克服した姿であり,そのことは自分で乗り越えられたことを勇気づける結果でもある。そうすれば,どのようにして克服できるかのヒントに繋がることになる。これも,ゴールが引き寄せてくれているのである。
最後まで諦めないで頑張れと励まされることがある。人は諦めてしまえばそれ以上前に進むことはできない。最後まで諦めずに執念でやり遂げて成功した例は多い。これは執念をして,ゴールが近づいてくれることで,そうしたことが大きな成果につながるのである。
常にゴールイメージを抱くことがどれほど大切か,よく考えてみよう
[Reported by H.Nishimura 2013.02.15]
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