■プロジェクトマネジメントの応用 6(ソフトウェア開発編)

  ◆チームビルディング(体制)を検討する

  @プロジェクトの成否は,チーム形成が上手くできるかどうかで大きく左右される。

プロジェクトは,そのスコープ(範囲)を明確にして,QCDの目標を決めて進めることで,その実施に当たっては,限られたメンバーであることが一般的である。
先ずは,必要なリソース(要員)が確保できているか,どうかである。そのリソースを確保する基準は,開発規模であり,そこから必要な工数が算出される。この算出の妥当性は,これまでの実績データなどを基にしたものである。プロジェクトが何度か繰り返し行われることで,その見積精度が上がっていく。
次に,持ち合わせているスキルと必要とされるタスクとのマッチングで,同じようなプロジェクトの経験者が居ると心強い。少なくとも,プロジェクトの要となるところには,こうした経験者を配置したい。 新人や新規担当者が当然含まれることになるが,彼らを指導できるメンバーが欲しい。

  Aサブリーダには,リーダに代わって仕事ができる人を選ぶ。

大規模なプロジェクトに於いては,サブリーダの役割が大きい。したがって,リーダの思いや方針を良く理解して,現場第一線では,リーダに代わって仕事ができることが望ましい。
もちろん,限られたリソースなので必ずしも最適なサブリーダが見つからないこともあるが,積極性,自律性,協調性など任せて仕事ができる人を選出するのが良い。
高いスキルで仕事をする人よりも,マネジメントができる人の方がサブリーダには適している。要は,自分の能力よりも,メンバーの能力を最大限活かせる能力を持った人が望ましい。

  Bリーグ,サブリーダなどが管理するメンバーを制限すること。

小規模な(10人程度まで)プロジェクトは問題ないが,大規模になると多くのメンバーを統率する必要があり,一人のリーダでは管理できないので,サブリーダを必要とする。
この場合,統率する人数は内容にも依るが,10人程度までが望ましい。要は,PDCAのサイクルが確実に廻せ,コントロールできる人数として,一般的には10人程度である。

  C情報共有の徹底ができるかどうかで,プロジェクトの成否が変わる。

メンバーが多くなればなるほど,ベクトルを一致させることが難しくなるのは当然である。 そうしたとき,明確な方針や目指す姿,目標値が明確であることが,ベクトル合わせの大き な役割を果たす。つまり,こうした情報が共有されていなければならない。
すべての情報をメンバーの前に曝す必要はないが,できるだけオープンにした方が良い。特に,方針や目標などは,常にメンバー全員が判り,進捗状況も計画に対してどのような状況かを見える化して示した方が良い。

  D後から参加したメンバーの扱いをきっちりさせておくこと。

最初からのメンバーと後から参加したメンバーとでは,参画意識も違い,後から参加した人のモチベーションは違う。特に,プロジェクトが遅れていて助っ人として参加した人は,これまでの遅れは他責になりやすい。
正規の通り,きっちりプロセスを廻すことは重要だが,挽回策が必要とされているなど緊急性に対する対応も,最初から居た人同様,責任感を以って対応できるようにすべきである。 特に,リーダはこうした意識づけを徹底させることが重要である。
ただし,後から参加した人が,リーダと同格など,プロジェクトとして船頭が増えるだけで思い通りに進まないことが起こることは,回避しておかなければならない。


[Reported by H.Nishimura 2011.05.02]


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