■プロジェクトマネジメントの内容 10(解説編・実施)

 ◆変化に対応する

  1.プロジェクトでは,「変化がある」ことを前提とした対応が必要。

プロジェクトにおいては,初期段階で仕様を確定した後,それを凍結することは不可能であり,仕様変更は不可避であるとの前提に立たなければならない。変更管理のスキルを活かし,上手く対処することが,プロジェクトを成功に導く。そのためには,次のようなことが必要である。

  1. 窓口の一本化          −−変更判断の責任者を明確にしておく
  2. 変更管理プロセスのルール化−−変更プロセスのフローを決める
  3. プロセスの学習         −−変更管理に違和感を持たない(メンバー全員)
  4. 予測される変更の予算化   −−予算がないと動けない
  5. 交渉力の強化          −−相手との交渉が進捗を左右する
  6. メンバーへの変更ステータスの周知徹底−−速やかに周知徹底できる仕組みを作っておく

  2.変更に上手く対応することが重要

上述したような変更対応を上手くできるか否かは,プロジェクトの進行を大きく左右する。予測された変更ばかりとは限らない。思わぬ落とし穴が待っていることもある。しかし,そうした環境変化(外部・内部共に)に,素早く追随できる体制を取っておかねばならない。全て顧客の言いなりで,何でも引き受けることではない。プロジェクトの初期の目標と照らし合わせながら,上手く変化に対応することが求められる。リーダの判断が求められることが多い。

  3.未確定要素の早期明確化

変化の始まりは仕様変更である。この仕様には,プロジェクトのスタート時点では未確定要素が含まれていることが多い。この未確定部分をいつまでに明確化させるかは重要である。つまり,後になればなるほど,変化への対応が困難になってくる。未確定項目はリスクとしてリストアップして管理することが必要である。

  4.バリアンス(差異)分析が重要

予測と実績の差分をきっちり分析することは,プロジェクトの進行に当たっては重要なことである。その差分はあくまでも現象であって,その原因となる本質を見極めることが必要である。なぜならば,原因究明は問題解決を促し,プロジェクト課題をクリアできる足掛かりになるからである。 

[Reported by H.Nishimura 2009.07.30]


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