■プロジェクトマネジメントの内容 9(解説編・実施)
◆コミュニケーションを図る
1.プロジェクトがスタートするとチームの果たす役割が重要になる
計画段階を進んで,実際の活動展開が始まると,チームとして果たす役割のウェートが大きくなる。リーダが全体の采配を振るのは当然だが,それに従って,プロジェクトメンバーが具体的に活動することが,プロジェクトの進行を大きく左右する。
2.チーム活動とは,「人」の活動である
チームが上手く機能して働くかどうかは,リーダの手腕もさることながら,一人ひとりの個人活動の集大成である。つまり,個人がどれだけチーム活動に貢献できるかどうかが問われることになる。ここで思いだして欲しいのが,「人の生産性3要素」である。ミッション(役割)・スキル(技術)・モチベーション(意欲)の3要素がどれだけ重なりを持っているか,この違いによって生産性が大きく変わることを説明した。チーム活動は,人の生産性に比例する。
3.人の生産性を高めるには,コミュニケーションが重要である。
「人の生産性をUPする」には,コミュニケーションが重要な役割を果たす。つまり,3要素の重なりを大きくするには,コミュニケーションが必要不可欠である。チーム内のコミュニケーションが円滑に行われることにより,メンバーの一人ひとりがその役割を十分認識し,持てる技術を活かし,意欲的に取り組むことになるからである。
4.上手いコミュニケーションとは
チーム内のコミュニケーションを上手く行うことは,リーダの手腕に拠る部分が大きい。つまり,メンバーを集めて,目標を目指して指揮鼓舞する場面を作ることである。コミュニケーションを取るために,メンバーを集めて,進捗MTG,連絡会を行うだけでは,十分なコミュニケーションが図れているとは云えない。もちろん,メンバー間の会話が全く無い状態よりも良いが,プロジェクトの全体像(具体的な大きな流れ,進捗度合い,環境変化など)を少なくとも,サブリーダクラス(実務者に指示する人)には,知らせ意見交換しておくことは,非常に重要である。なぜなら,詳細は個々に把握できても,全体把握は難しく,一方大きな進み方向に合致しているか否かは,重要な判断基準だからである。
5.個人の動機付け
チーム活動を円滑かつ効果的に行うには,先ず個人の動機付けが必要である。そのためには,次のようなことが必要である。
- メンバー個々の目標を話し合いで明確にする
- プロジェクトの情報をメンバーで共有する
- 自己成長を促す機会が得られるようにエンパワーメント(権限を委譲)する
- フィードバックは,直後かつ具体的に行う
- 完結型作業で責任を持たせる
- 信頼を示し,自尊心を促す
- 難局では誠実な相談相手になる
6.チームの動機付け
次にチームとしての動機付けが必要である。そのためには,次のようなことが必要である。
- プロジェクトの目的,目標を参加型で明確にし,メンバー全員と共有する
- 作業の関連性を明確に説明し,責任と権限を理解させる
- メンバー間のコミュニケーション方法をルール化する
- ミーティングを効果的に利用する
- 意見の対立を歓迎する
- 定期的にチームの業績を評価する
- 報告体制を明確にする
7.組織への動機付け
次は,組織への動機付けも必要である。それらは,次のような点が必要である。
- プロジェクト環境を権力構造の観点で把握する
- 有力者の建前と本音の目標,目的及び抱える問題点を特定する
- 問題の置かれている状況を判断する
- 支援獲得プランを策定し,実行,評価する
以上,5〜7の「動機付け」は,「チームビルディング」のために,必要なこととされている。
参考文献:「先制型プロジェクトマネジメント」 長尾清一著
[Reported by H.Nishimura 2009.07.30]
Copyright (C)2009 Hitoshi Nishimura