■プロジェクトマネジメントの内容 8(解説編・実施)
◆進捗を管理する
プロジェクトマネジメントは,目標(ゴール)に必達を目指しており,その為には途中の進捗を管理しておかなければならない。期日が迫ってから慌てふためいているようでは,プロジェクトが上手く行くわけはない。予測外のできごとが起ころうとも,ゴールに必達することが求められる。「マイルストーン管理」と云って重要な行程の節目にマイルストーンを置き,このポイントの日程は絶対に遅らせてはならない,と管理する方法も進捗度を測り,日程遅れが出ないようにする手法である。
1.プロジェクトの進捗度合いを把握する
プロジェクトのゴールまでの道のりは,一本線(或いはレール)の上を進むような単純なものではない。幾つかのサブのプロジェクトが集まってゴールにたどり着く。従って,計画を立てただけでは,決して安穏としていられない。常に,ものによっては毎日,チェックをしておかないと,ゴールに予定通りには到達できないことがおこる。従って,一定期間毎に進捗度を把握することが必要である。
この進捗度の把握のやり方も,一律まんべんなくやる方法もあるが,前述したクリティカル・パスがどのように進んでいるかをチェックすることが重要で,これを外してはならない。つまりこのクリティカル・パスさえ順調に予定通りに進んでおれば,先ずは大丈夫である。また,メンバー全員の意識合わせには,スケジュールチャートで見える形でお互いが確認できれば,次のクリティカル・パスに対しても予め的確な手が打てることになる。
2.不測の事態が生じたときに早めに手を打つ(アラーム機能)
プロジェクトは初めてやる行動が多いこともあり,不測の事態が生じることが間々ある。しかし,こうした不測の事態でもプロジェクトマネジメントがしっかりできておれば,その事態に対しての最善策が検討されることになる。つまり,不測の事態が一旦起こると,ゴールが見えるまでいつたどり着けるか判らないような事態ではなく,遅れがどの位生じるかも予測できる。
また不測の事態が起きないよう予め手を打ったり,或いは万が一起こっても,最小限の影響で済むよう段取りをしておくこともできる。つまり,スケジュールチャートをきっちり綿密に作ることにより,遅れに対するアラーム機能の役割を,リーダだけではなく,全員に対して果たしてくれることもある。プロジェクトマネジメントはこのアラーム機能が最も有効と云う人もいる。
3.遅れた場合の挽回策を講じる
プロジェクトは途中の経過もさることながら,最終的にはゴールに計画通り到達することである。従って途中の遅れは,挽回することが不可欠である。遅れが生じたとき,挽回するためには,リソースを増やして日程を早めたり,別の手段を講じて日程を縮めたり,いろいろな手段が検討されることが重要である。
実際に不測の事態で遅れが生じても,プロジェクトマネジメントができておれば,その挽回策が速やかに自主的に検討されることになる。或いは,トップが全体を把握していて(スケジュールチャートなどで),重要な遅れに対してはカミナリを落とすことも,挽回策がより効果的に速やかに行われる場合もある。
4.目標(ゴール),日程,費用(リソース)を計画通りにコントロールする
リーダの役割は,プロジェクト計画を立てた内容を実行し,計画通りゴールに到達することである。従って,前述したように計画との違いが生じると速やかに是正し,計画通りになるように行動を起こさせる。進捗度の管理のやり方はリーダによっても違いはあるものの,重要なことは,メンバー全員でプロジェクト計画を共有することである。
リーダが勝手に作った計画だとか,管理部門が管理のために作ったとか,プロジェクトのメンバーが自分達で作った計画(作成するのは誰でも良いが少なくともメンバー自身の行動計画)であることが重要である。そうした意識がメンバー全員の中にあれば,自ずと遅れに対しても適切な挽回策を自らで講じるだろうし,或いは自らで限界があれば,プロジェクト必達に対して意見具申して上司の判断を仰ぎ,速やかに手を打つことにもつながる。つまりプロジェクトの一体感の度合いが進捗のコントロールにも影響し,結果がついてくることになる。
[Reported by H.Nishimura 2009.07.30]
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