■WBC 侍日本が世界一に  (No.722)

WBCが終わり,決勝戦で日本が米国を破り優勝,世界一に輝いた。

  日本中に感動を与えた前半

WBCが開催され,日本は2009年以来,14年ぶりに王者奪還に向けて,有力なメンバーが招集された。MLBから,大谷,ダルビッシュ,吉田選手とヌートバーが招集された。鈴木選手は出場意志は示していたが,脇腹を痛め,今回の出場は取り止めた。約1カ月前の宮崎キャンプ初日から,ダルビッシュ投手が参加。一番の年長者であり,WBCの経験者でもあり,全体をまとめリーダシップを発揮していた。

初めて聞く,ヌートバーと云う外野手は若手の有望株ではあったが,MLBでの実績は未だ未だで,どれだけ活躍するかは未知数の要素が大きかった。しかし,母親が日本人であり,ミドルネームがお祖父さんのタツジと付けられていたので,初日には全員が“たっちゃん”と書かれたTシャツを着て歓迎を表した。元々,母親に似ているのか,非常に明るい性格で,日本チームにも溶け込んでいた。

初戦の中国戦でトップバッタで出場,いきなりヒットを打って,先鋒としての役割を果たし,また守備面でも,捕れないと思われたヒット性の当たりをスライディングキャッチするなど,ファイト溢れる闘志に日本人ファンの心を掴んでしまった。特に,1次ラウンドでの活躍は目を見張るものがあった。

中国,韓国,チェコ,オーストラリアと快勝して,一次リーグを突破,準々決勝は,イタリアと戦い,大谷,ダルビッシュ両投手を使って勝ち進み,アメリカへ乗り込んで行った。スケジュールは強行で,準々決勝を終えた4時間後には,チャーター機で米国をフロリダに向けて出発した。

  日本中に感動を与えた後半

今回の戦いで,準々決勝以降はトーナメント制で,負けたら終わりと云う厳しい戦いだった。そのなかでも,準決勝のメキシコ戦は劇的な勝利だった。米国フロリダと13時間の時差で,朝8時からライブ映像が届き,2日間はずっとその戦況を観戦していた。

MLBの選手で固めたメキシコは流石に強豪で,先発の佐々木が4回にホームランで3点を先制される苦しい展開で,6回まで日本は無得点で,重苦しい展開だった。7回に入り2アウトから,近藤選手,大谷選手が出塁し,吉田選手が起死回生の3ランを放ち,3対3の同点となり,追い上げムードが高まった。しかし,メキシコは8回,山本投手がつかまり,2失点を献上し,このまま押されるかと思ったが,日本の粘り腰で1点を取り戻し,5−6で最終回を迎えた。

9回裏先頭の大谷が,2塁打で出て,塁上でガッツ溢れる後続を鼓舞すると,ホームランを打っている吉田が四球を選び,吉田に代わって足のスペシャリスト周東を送り,サヨナラランナーと準備が整った。その後が,3三振の村上選手で,これまでに日本野球のスタイルだったら,確実にバンドで2,3塁として,サヨナラヒットを狙うところだったが,村上に強攻させた。それが結果として,センターオーバーの2塁打となり,2人が還り劇的な逆転勝利となった。この試合が,今回のMBCでは一番厳しい試合だった。

翌日の米国との決勝も,希に見る白熱した試合で,2回に先発の今永がソロホームランを打たれると,直ぐその裏に村上選手が,今回MBCで初めて,特大のソロホームランを打ち返した。これで勢いに乗り,もう1点を加え,4回には岡本がソロホームランを打ち,3対1とリードを広げた。日本は,今永−戸郷−高橋−伊藤と小刻みに優秀な若手投手を送り込み,各々が米国の強力打者に臆することなく,真っ向勝負を挑んだ。大谷が試合前に,MLBの有名選手を目の前にして憧れは今日だけは止め,勝つために乗り越えようと檄を飛ばしたと報道されたが,その言葉を胸に,各々が素晴らしい投球を見せた。

ダルビッシュが,8回にソロホームランで1点差に追いつかれたが,最終回の抑えには,二刀流の大谷がマウンドに上がり,先頭を四球で足したが,後続をダブルプレーで抑え,最終トラウト選手との一騎打ちになった。大谷投手のスライダーが秀逸であることを十分承知しているトラウトは,ねらい球をスライダーに絞ったのか160km/sのストレートにバットが空を切った。大谷は,自分の一番良い玉を投げないと抑えきれないと思い,勝負球で挑み,3ボール,2ストライクのフルカウントになり,特のスライダーでトラウトを三振に仕留め,ゲームセットとなった。

今回のWBCでは,いろいろ感動する場面が多く,くぎ付けにされたが,見えない場面での,ダルビッシュの若手投手に対するリーダシップなど,まとめ役としての貢献は大きなものがあったようである。栗山監督の采配が,見事に世界一に導いた瞬間であった。

多くの感動をありがとう!!

 

[Reported by H.Nishimura 2023.03.27]


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