■入学試験  (No.721)

高校も大学も入学試験の制度がいろいろ変わってきて,昔の人間にはよく判らない。もちろん,この歳になると受験に関係することは殆ど無いので,知らなくても何ら不都合はない。しかし,孫達が入試に関係する年頃になってくると,少しは気になるものである。

  高校の入学試験

大阪では公立高校の入試が,公立では特別入学者選抜と一般入学者選抜と受験が行われ,特別入学者選抜は一部の学科に限られるので,事実上は1回の試験である。また,以前は学区制になっており,居住区からは限られた範囲の学校に絞られていたが,今日では学区が廃止され,府内なら総ての公立高校が受験できるようになっている。これは大阪府だけではなく,他の府県でも同じようなことになってきている。

一方,私立高校の受験は,「併願」と「専願」の2つがあって,文字のごとく,「専願」は受かれば必ず入学するもので,合格すると他の高校へは受験できず,「併願」は公立高校などの結果を待って,進学先を決めることができる受験方法である。また,回し合格と云うシステムのある高校もあり,複数の学科・コースで第一志望の学科・コースでは合格基準に達していなくても,第二志望の学科・コースの合格基準に達していれば,そちらの方での合格となるものである。

さらに,「1.5次入試」と呼ばれる追加入試を行う私立高校も多くの高校で行われている。これは,公立高校の入試より前に行われるものであり,公立高校入試の後に,「2次入試」が一部の高校では行われている。

  大学共通テスト

大学入試も,大きく変わってきている。昔は,国立1期校と2期校があって,国立1期校を不合格となったものが,2期校に廻って受験した。国立2期校へ行った経験から述べると,1期校を不合格となった優秀な学生の集まりで,全国各地(北は北海道から南は九州)からで,殆どが自宅を離れた下宿生活を送っていた。プライドもあり,卒業時には再び,1期校の学士試験を受け,大学院へ行った者もかなりいた。

その後,入試の方法が変わり,共通1次試験として,全国統一の試験が行われ,さらに1990年からは,大学入試センター試験となり,国公立だけでなく,私立大学の入試にも利用されるようになって行った。どの方式が良いのか,よく判らないが,時代に合った入試制度の改革が行われた。ただ,制度が変わる度に,受験生は振り回されることになっていたようである。2021年度からは大学入試共通テストとして,知識を身に付けるだけでなく,知識を活用するための思考力・判断力・表現力が求められるような形に変わってきているようである。

さらに,昨今の大学ではAO入試と呼ばれる,特定の学科では,1次の書類選考の後,面接や小論文で合否を判定するものもある。ここらになると,昔人間の私などには,形式を聞いても,今一つ良く判らない試験方法である。AO入試の目的の一つが問題意識の明確な学生を確保するためとされているが,そう聞いてもよく判らないが,一定の評価があるようだとの報告もある。

  入試は人生の一つの岐路

入試の合否で進むべき道が決まる。人生にとって一つの岐路である。一つの岐路としたのは,入試で人生の総てが決まる訳ではなく,その後の振る舞いで大きく変わることを経験上学んできている。ただ,明確に言えることは一つの岐路ではある。つまり,進むべき方向がある程度決まり,制約されることになるからである。

ただ,受かった,落ちたで,人生が大きく変わってしまうほどでは無いことも事実である。高校生の時から自分の進むべき方向を明確にしている者は少ない。理系か文系かぐらいはある程度描けているのではなかろうか?入試だけの結果よりも,その後の努力や行動によって人生は大きく左右される。だから,入試は一通過点であって,ゴールではもちろん無く,入試の合否だけで人生が決まるものでは無いことは事実である。

岐路に立たされたとき,最大限の努力をして果敢に挑むことは必要なことである。結果よりも,そうした努力が報いられることがある。こうした節目を幾つか乗り越えて,自分の人生が決まって行くのである。

入試を懐かしく振り返る

 

[Reported by H.Nishimura 2023.03.06]


Copyright (C)2023  Hitoshi Nishimura