■墓じまい  (No.711)

実家のお墓を墓じまいして,新しくお墓を建てたが,その経緯を紹介する。

  1. 墓じまいを検討し始める

約3年前に実家を売却し、あとはお墓をどうするか検討し始める。実家までは高速を使うと約1時間半であるが、年齢を重ねるとお参りするのもだんだん億劫になってくる。実家の墓は夫婦毎にあり、江戸時代末の初代に始まり、二代目、三代目(私の祖父母)、それと幼少期に亡くなった弟のお墓と4基あったが、親父が亡くなり(平成8年没)、お袋と相談して、他の墓も整地するとともに平成10年に新たに中央に南無阿弥陀仏のお墓を建立(私の名前で建立)し、お袋もそこに眠っている。
お墓参りは5基あるので、5対の供花が必要で、いつもバケツ一杯に菊の花を中心に備えて、春と秋のお彼岸とお盆、それに加え自宅の菊の花が満開の時期に、少なくとも計4回/年はお参りしてきた。親父とお袋の祥月命日は2月と12月の冬の時期であり、最近ではお墓参りは省略して、家の仏壇でお経をあげている。(実家の宗派は浄土真宗東本願寺(大谷派)で、仏説阿弥陀経と正信偈のCDを利用、正信偈も子供のころは親父の読経に合わせて、唱えていたが、だんだん忘れてきているので、教本を見ながら唱えている。)
同じ田舎の女房の父母も数年前に亡くなり、行く機会が減り、真剣に墓じまいをすることに決めた。

  2. 新しい墓を何処にするか検討し、決定する(2021年秋)

先ずは、新しい墓の場所の選定に入り、近くの墓地、霊園を数か所見て回り、これからのお墓は私たち夫婦より、息子に管理してもらうことになるので、私たちからも行きやすく、息子家族も便利なことを念頭にして、息子家族にも了解を得て、息子家族に近い場所に決定した。(私の家と息子宅とは車で15分程度の近くである。)

  3. 掛かる費用の見積もりを取る(2021年12月)

先ずは、掛かる費用を検討することにした。
元の墓を取り壊し、こちらで新しい墓を新設するのではなく、元の墓の中央にある南無阿弥陀仏のお墓と法名碑を(平成10年に建てたのでまだ新しいので)、こちらへ移設することで進めることにした。理由の一つに、お墓に彫られた南無阿弥陀仏の文字が私の親父がお墓に刻むようにと残した文字であるからでもあった。そこで、元の墓の墓じまいと、大阪まで運んでもらう費用を以前にお墓を建ててもらった石材店に見積もりを依頼した。一方で、新しい墓に移設するにあたり、移設する墓の大きさを測り(台座から全体の大きさなどの採寸)、それが備えられる墓地の大きさを選んでもらい、こちらでの建立の見積もりを依頼した。全く新しくお墓を建立するよりは少し安く、後で知ったが最近のお墓は中国製が殆どで、元のお墓は日本製の石が使われており貴重なようである。
一応、掛かる費用も目途がたち、次の段階へと移った。
費用の負担はすべてこちらがするが、名義人は息子にする方が、今後のことを考えると理にかない、そのようにされるケースが多いと聞き、お墓の名義は息子にした。

  4. 元のお墓の墓じまいの段取りを進める(2022年3月)

新しいお墓の場所が決まったので、次は元の墓じまいの段取りに入った。業者に具体的に進めてもらう前にやるべきことがある。それは、まずお骨の移設(改葬)で、親父とお袋のお骨を新しいお墓へ移す段取りに入った。お骨を勝手に移設することは認められていなく、行政の手続きが必要で、実家の町役場から、改葬許可申請書をネットで取り寄せた。それには、改葬する死亡者の本籍、住所、死亡年月日、埋葬墓地名、改葬理由、改葬場所などを記入したうえで、墓地管理者の確認印が必要になっており、墓地管理者宅へお願いに伺った。墓地管理者ではさらに墓地の移転、撤去の許可書を作成され、それには移設期日、移設業者、さらに移設先の霊園まで求められた。管理者の話では、このようにきっちり申請されるのはありがたい、無縁仏の墓があって困っているとのことだった。移設許可書を受け取り、確認印をもらった改葬申請書を役場へ提出した。役場からは10日余りで許可が下りた。

  5. 新設するお墓の契約を行う(2022年5月)

改葬許可書を持参し、新しい霊園と契約を結ぶことになった。契約者の名義人は息子なので、息子も同席して、契約を結んだ。工事費用は取り掛かる前に、永代使用料および工事前金を払い込み、使用許可書を受け取った。

  6. 墓じまいを実施する(2022年5月)

墓じまいは室外での供養なので、寒い冬場を避け5月に入って、檀家の僧侶との間で日時を決めて墓じまいの供養をお願いした。供養儀式終了後、お墓から親父とお袋の骨壺を拾い出し、持ち帰った。親父は約20年強(1996年没)経っているが、お骨は未だ残っていた。お袋(2009年没)の骨はきっちり原型が残っていた。
墓じまいが終了したことを石材店へ連絡、移設、取り壊し、整地を依頼した。石材店の段取りとして、先に移設部分の撤去、搬送を行い、その後全体の撤去、更地にする整地を行うとのことだった。

  7. 新しいお墓を建立する(2022年8月)

墓じまいが終わったので、こちらのやるべきことは一段落し、後は業者間でのやりとりにお任せした。新設する墓地の周囲の巻石が中国からの輸入で少し時間が掛かるとのことで、その入手状況を含め、工事の段取りで墓石の搬送日程も調整されたようである。お盆が過ぎ、新しいお墓が建立された。開眼供養をお願いする前に、お墓の状況を確認し、手続きなど済ませ、開眼供養の日程をお願いし、こちらでお願いする僧侶にも日時の調整を済ませた。それと共に、工事完了の残金を支払った。

  8. 開眼供養を行う(2022年9月)

墓じまいの計画をはじめ、約1年掛かりで開眼供養に漕ぎつけた。一般には開眼供養と呼ばれるが、浄土真宗では開眼供養とは言わず、入仏式、納骨式などと呼ぶようである。当日、親父とお袋の納骨も行うので、霊園所定の埋蔵、納骨届書を記載し、契約者の自筆の書式を提出した。
お墓は新設では無いので、除幕式などはなく、業者の方で準備いただいた段取りに従い、僧侶に読経に引き続き、私たち(息子夫婦、娘も参列)が順次焼香し、無事終了した。

墓じまいは実家整理の一大イベント

[Reported by H.Nishimura 2022.09.26]


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