■安倍元首相,凶弾に倒れる (No.706)

安倍元首相が参議院選挙の応援演説中に,奈良西大寺駅前で,凶弾に倒れたニュースは,今も続いている。

  事件の経緯

事件発生の状況は,その瞬間までもが映像で流され,映画のワンシーンのような様子が克明に報道されているので,ここで詳しく述べるまでもない。奈良西大寺駅前のロータリーで,選挙応援演説中に背後から近づき,自家製の鉄砲で,2発撃ち,2発目が命中したようである。

発砲音も大きく,白煙も上がり,一瞬何が爆発したかとも思われる状況に,たじろぐ姿がありのままに映し出されている。特に背後の警備が不十分だった点が取り上げられ,県警の幹部もその非を認めている。選挙応援演説と云う大衆の近くで訴えたい候補者と,それらを警備する難しさを抱えた関係者とのスキを付かれたような事件である。

犯人は逃げることなく,目的を達したことで観念したようである。

  旧統一協会信者の子供の犯行

犯人の供述から,旧統一協会の信者である母親が一家を破壊に落とし込み,子供の頃から協会に恨みを抱き,長年に亘って恨みを晴らそうとしていたようである。詳細な状況が報道される度に,旧統一協会が信者を追いやった経緯が知らされ,信者自身はマインドコントロールされているせいか,不合理とは思わず,その周辺の人が被害に遭っていることが,判ってきている。

協会側の弁明も報道されているが,悩んでいる人の財産を神に捧げ救いの手を述べるとの説明とは全く逆で,信者の家族やその関係者に甚大な被害を発生させている事実が報道されている。被害者を救済する弁護団などの訴えを聞くと,なぜこのような団体が放置されているのかと大いなる疑問が沸く。

以前にオーム真理教の集団が行ったことに対して,厳罰を与えたが,あのときはサリン事件など世の中を震撼させるようなことを行ったので,抑え込むことができたが,今回のような宗教にまつわる家庭崩壊を招く被害では,なかなか厳罰までにできる法整備ができていないように感じてならない。それどころか,安倍元首相が送ったような政治家が賞讃するようなメッセージを与え,民衆を欺くようなことをして存続,拡大を狙っているようである。

政治家が教会を賞讃するようなメッセージを送ることも問題であるが,今回のように旧統一教会への恨みを,安倍元首相にすり替え,凶行に及んだことは,積年の恨みを理解したとしても許されるものではない。

  国内外への影響

安倍元首相は総理としての在籍期間の長さ一番で,功績もいろいろあるが,亡くなられた後の国外からの惜しむ声が余りにも大きかったことに驚かされる。確かに,日本の総理としてだけでなく,世界各国のリーダを束ねて世界規模で意見を通した唯一の日本のリーダだったことには違いない。

安倍元首相を失った影響は,これからの日本の将来に少なからず影響があるだろう。具体的に,これこれと云うのはなかなか難しいが,元首相として,これからの政治家に助言できる人だったことには間違いない。

国内外への影響ではないが,安倍元首相の偉大さを感じはするが,その一方で公私の区別を曖昧にし,長年の長であったための廻りの人の「忖度」が酷すぎ,それを長たる人の人格として「李下冠を正さず」とはできなかったことには,大いなる失望を抱いている。

国を揺るがす大事件が起こった

[Reported by H.Nishimura 2022.07.18]


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