■日本経済の行方が危うい  (No.704)

海外への往来がかなり緩和され,日本へも観光客がガイド付きとの制限はあるが,戻ってきている。しかし,円安は止まるところを知らないがごとく,外国との金利差は開くばかりで,しかもこのような状況下でも日銀の黒田総裁は,金融緩和策を続けるとしている。日本の経済がおかしくなってしまうのではないかと心配する。

  物価高が押し寄せてきている

毎日のように物価が上昇し続け,家計を困らせている。ロシアのウクライナへの侵攻が収まる気配はなく,まだまだ当分続くようである。その影響もあって,物価の上昇が甚だしい。ガソリン価格は政府が補助金を出して,上昇を抑えようとしているので,高い価格のまま維持している状況であるが,どこまで持ち堪えられるかは定かでない。

食料品の値上げラッシュが続き,知らない間に何もかも上がってしまっている。どちらかと云えば,一般男性よりも買い物に付き合う機会が多いので,一日の食費に要する支出額が以前よりも高くなっていることに気づかされる。昨今では安いなあと感じるものが殆ど無くなってきてしまっている。

海外での状況をマスコミを通じて知ることがあるが,アメリカなどでの物価は日本よりもずっと高いそうである。しかし,それは景気回復があってのことで,金利を上昇させたのも景気がよくなっているが故の策のようで,日本は景気回復がままならず,未だに低迷しているため,金融緩和策を止めることができないとのことである。黒田総裁の弁では,金融緩和策を続けて,何とか景気回復を優先させたい思いのようである。

景気が回復せず,物価上昇だけが先攻するようでは,益々日本だけが取り残されてしまうのではなかろうか?

  日本の無策

岸田政権の「新しい資本主義」で成長と分配の好循環を謳っているが,中身はどうも怪しいものである。成長戦略とは名ばかりで,具体的に内容に乏しく,我々の実感として,今後日本の将来が明るい兆しが全くと云って無い。分配の賃上げも,絵に描いた餅に終わってしまうのではないかと危惧する。

岸田内閣の打ち出した具体的な内容は,貯蓄に廻るお金を投資へと振り向け企業が元気になり,好循環に持ち込もうとするものであるが,一般庶民への受けは全く無い。つまり,財産が十分ある人が投資により更に儲けを膨らまそうとすることはあっても,一般庶民が投資に廻すようなお金が無いのが実情である。

貯蓄が多いのは,将来が不安なために,僅かなお金でも蓄えておこうとしているものであって,余力があって貯蓄に廻しているのではない。つまり,なけなしのお金を投資に廻すような余力は残されていないのである。日本人の貯蓄が多いのは有名であるが,それは日本人特有のものであって,将来への蓄えが無くてはならない気持が強いのである。

全体最適からみれば,多くの個人貯蓄を少しでも投資に廻せれば,それだけ企業の活性化が進み,経済が上向く力になりうることは,計算上では成り立つ図式である。しかし,日本人の多くが,その全体最適を素直に受け止めることができないのである。部分最適,つまり自分の生活が最優先されるのは当たり前のことである。投資に対する文化の違いとも言えよう。

とにかく,岸田政権になって目新しいことは何も無く,アベノミクスの失敗を継承するようなことでしかない。もう少し,何かやってくれそうな期待も抱いたが,安倍,菅,岸田と賃上げは全く進まず,経済の好循環は程遠く,三すくみ状態である。

期待できる政権はいつできるのか!!

[Reported by H.Nishimura 2022.06.20]


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