■岸田内閣の実力  (No.692)

岸田内閣が発足して2カ月が経過。いよいよその実力が試される時期になった。

  オミクロン株対策

岸田内閣が新型コロナ対応のオミクロン株に対する水際対策は打つ手が早かった。菅内閣時代の対応に比べ,早い判断がなされ,国民の支持は厚かった。各国が水際対策を検討している中,日本は外国人の入国に関して,一斉に禁止を打ち出した。水際で止めるのが最も有効な手立てで,一旦入ってしまうと市中感染で抑えようとするにはなかなか困難が伴う。

しかし,専門家の意見では,水際で完全に止めることは困難で,いずれ入ってくることを想定しておかなくてはならない,と云われている。つまり,その間の時間稼ぎで,市中に出まわるまでに対策を検討しておくことが重要だ,とのことである。一切の遮断は,経済的な面ではマイナス面もあるが,何よりも国民に政府の対応の早さで安心感を与えたことは効果的であった。

時間経過と共に,オミクロン株の症状も明らかになってきており,データが少ない中ではあるが,従来のデルタ株などの比べると,重症化する率が低く,インフルエンザ並に納まるのではないかとの期待も出てきている。油断は禁物だが,感染は拡大しても,重症化が防げれば,人々の暮らしにも良い影響を与えることになろう。そう願いたいものである。

何はともあれ,政府の対応の素早さは歓迎すべきことである。

  10万円給付の問題

一方,18歳以下の子供の居る家庭に,10万円を給付することについては,年内5万円,来春に5万円のクーポン券で対応する政府案だが,地方自治体の多くから,クーポン券発行に掛かる費用が900億円強と,事務費の膨大さに対し,一括現金給付したいとの声が上がっている。国会での議論も,野党からの現金給付要求に対し,岸田総理は一応現金給付も認めるが,原則5万円分はクーポン券で対応して欲しいとの回答である。

現金給付だと,それが貯蓄に廻ることで,経済活性化には繋がらないことを危惧して,クーポン券に拘っているようだが,地方自治体の煩わしさは明白で,是非ともクーポン券での対応をと云う声は聞こえてこない。現状を見る限りでは,現金給付に落ち着くのではないかと想定されるが,岸田内閣の歯切れは良くない。「聞く力」を謳う岸田総理にしては,如何にも締まりがつかない状況に追い込まれている。

そもそもの発想は,公明党から提案があった子育て世代の家庭への支援策だったが,コロナでの困窮世帯への支援策が加わり,年間所得制限が加えられ,さらには経済の活性化へと主旨が拡がり,返って迷宮しているようにも見える。大変なのは地方自治体であり,その意見を採り入れ,事務経費が少なくて済む現金給付へと判断すべきである。

  聞く力の発揮?

岸田総理の謳い文句である「聞く力」の実力は今のところまだ見えてこない。言っていることと実際の行動には,まだまだズレがある。何でもかんでも採り入れることは無いが,冷静になって良いことはどんどん採り入れ,素早く判断することが重要だと思う。変に拘りがあると,あの「聞く力」とは何だったのか,となりかねない。

菅総理の歯切れの悪いのとは,違うように感じられ,性格的に物事を真面目に取り組む姿勢は好感が持てるが,真価が分かるのはこれからである。聞くばかりで,優柔不断になり,決断を先送りするようなことになってしまわないか心配でもある。

岸田総理の実力は如何に?!

 

[Reported by H.Nishimura 2021.12.13]


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