■岸田新内閣発足  (No.688)

岸田氏が自由民主党の総裁選挙に勝利し,第100代の総理大臣に就くことが決まった。党4役や各大臣がほぼ出揃った状況である。

  岸田氏が勝利

先週の自民党総裁選挙の結果が出て,岸田氏が勝利を収めた。党員の人気が高かった河野氏は,途中から精彩を欠き,1回目の投票で,1位を岸田氏に譲った。議員票では,高市氏にも大きく引き離され,国会議員の信頼は思ったほど無かった結果に終わった。終盤の予想では,決選投票では岸田氏が有利と報じられていたが,その通りの結果で終わった。

菅総理の選挙辞退の前から,立候補し,二階幹事長を外すことを公言し,岸田氏は少し変わった印象を与えてはいたが,戦う相手が変わっても,その言動は変わらず,自分の意志を貫いていた。一方,後から立候補した河野氏は,党員の人気度が高く,物怖じしない言動が,自民党を変えるのではないかと,若手議員などからの支持も集めていた。

4立候補での討論会では,岸田氏は初志一貫していたが,河野氏は改革派としての尖った部分が柔らみを見せ,丸くなった感があった。4候補での討論会は,以前に比べては,いろいろなことが話され,主義主張の違いが良く出ていた。それなりに有意義なものだったように感じた。

河野氏に石破氏が応援することになったことが,石破氏を嫌う,安倍・麻生氏の反感を買い,河野氏を逆境に貶めることになり,結果的に,河野氏の票が伸びず惨敗になった。これほど明らかな権力闘争を見ることになってしまった。

  派閥が旧態依然

岸田新総裁に期待する部分は大きいが,人が良すぎることが気になり,バックにいる安倍・麻生氏の顔を伺った総理としての振る舞いになってしまうのではないかと危惧してしまう。つまり,自民党が旧態依然のまま,トップの顔が変わっただけで,何の変革も無いのではないかと予想される。つまり,派閥の論理が働き,本来岸田氏が狙う自民との改革にはならないようになってしまうのではないか?

派閥が一新されるような人が総理になってほしいと願ったのとは裏腹に,自民党はやはり派閥でしか成り立たないようになってしまっていることを如実に知らされた思いである。組閣が始まっているが,やはり派閥からの人選のような匂いがする。特に,順番を待っていたのかこれまで名前も知らなかった人が入閣し始めている。新しい人が多いことは,大臣になった途端,身体検査でボロが出てくる人がよくあるが,今回はどうなのだろうか?

岸田氏は人の話をよく聞くことをモットーにされ,自慢げに紹介されてきているが,国民の話をよく聞いて政治に反映させるようにも聞こえるが,逆に人の話をよく聞くことは,自分の意見が纏まらず,優柔不断だったり,長老の意見をそのまま呑み込むようでは困る。お手並み拝見だが,国民の声に寄り添った身近な総理になることは,思ったほど簡単なことではなさそうである。

直ぐに総選挙を控え,選挙結果にも大きく左右されるが,どこまで岸田氏が描いた理想の姿に近づけることができるだろうか?

総選挙後の去就に注目したい!!

 

[Reported by H.Nishimura 2021.10.04]


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