■コロナ禍のオリンピック (No.679)
東京オリンピックが2カ月弱後に迫っている。一方,コロナ禍で緊急事態宣言が6/20まで延期された。第4波の大きなうねりは,東京・大阪から地方へ移って行っている。このままで,オリンピックは無事開催できるのか?
IOCの見解
IOCのバッハ会長を始め,幹部の意見では,日本のコロナ禍の状況に拘わらず,オリンピックを何としても開催するとのことである。選手には予めワクチン接種を勧めることで,コロナへの感染対策を十分行って,安全な大会を挙行しようとしている。元々,日本のコロナ感染者は欧米の各国と比較すると少なく,世界のスポーツイベントは感染対策を十分行って安全な形で実施できていることから,東京でのオリンピックも問題なく行えるとのことである。
その見解はあるかも知れないが,日本のコロナ禍の緊急事態宣言が出ていても,それに関係なくオリンピックは開催するのだと,日本の感情を全く無視した発言は,日本国民を逆なですることになっていることを判っていないものである。
その背景には,オリンピックを開催できなかったことによるIOCの経済損失は莫大で,中止と云うことはあり得ない前提があるようである。選手ファーストではなく,IOCのメンツがあるようである。
国民の意見
日本のオリンピック開催に関するアンケートでは,中止・延期が60〜70%になっているようである。緊急事態宣言下で,国民全体が我慢を強いられている中で,オリンピックは別との扱いは受け容れられないのである。スポーツイベントも無観客若しくは人数制限されており,映画館,集客施設(USJやパークなど)も休業・時短が要請され,酒類を扱うお店は休業を要請されている。このような現実を前に,オリンピックだけを特別扱いすることは許されないのである。
選手の立場に立てば,一生に一度の絶好の機会を失う危機であり,何としても出場したい思いは十分理解できるが,医療崩壊などコロナ禍の現実を見ると,それでもとは言い難い状況である。国民の中にも,何とかオリンピックを開催させてあげたいとの気持は多くの国民が抱いているが,IOC並びに日本のオリンピック関係者の態度には些か疑問を抱く人も多いのである。
私の見解
コロナ禍の日本の現状では,オリンピックは中止すべきである。ワクチン接種が遅れており,高齢者からのワクチン接種が始まってはいるが,国民の大半にワクチン接種が進むのには時間が足りない。コロナの感染拡大の畏れがある中での,強行開催には賛成できない。つまり,国民にこれだけの我慢を強いておきながら,オリンピックの開催は特別であるとは認めることができない。
政府の態度も気に入らない。日本国民の大半の気持が,オリンピックをこのまま開催することには反対である中,その気持を全く無視して,オリンピックは日本から中止は申し出られないとの煮え切らない態度には,苛立ちを感じてならない。折角のオリンピックなので,やはり国民に喜ばれての開催でなければ,オリンピック精神にも反するように思われる。
つまり,商業化し過ぎた最近のオリンピックに,疑問を投げかける良い機会である。平和で世界中の人々から歓迎されるオリンピックに取り戻すことにならないか,と。中止による経済損失は大きいかも知れないが,それよりも強行開催することによる感染拡大の被害者が出ることによる損失は比較対象にはならない。人の命を軽んじるようなことが行われてはならないと思うのである。
オリンピックは中止されるべきである
[Reported by H.Nishimura 2021.05.31]
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