■3回目の緊急事態宣言  (No.677)

3回目の緊急事態宣言が発せられて1週間になるが,新規感染者数はまだ増加の一途である。人流を抑制することを目的に,大型施設の休業や飲食店の酒類の提供禁止など,1年前の緊急事態宣言よりは一部緩やかなことはあるにしても,大きな人流抑制にはなっていない。

  緊急事態宣言3回目

4/25から5/11までの17日間に緊急事態宣言(3回目)が発出された。吉村知事は大阪の状況から1カ月程度の期間を要請していたが,国では17日間と短期間に決められた。この根拠は,その次の週(5/17,18)にIOCのバッハ会長が来日される機会には,緊急事態宣言が解除されている状態をつくっておきたい国の意向が反映されたとされる。

西村コロナ対策大臣は,バッハ会長の来日日程とは関係なく,連休の間に集中的に対策を講じて,短期間で新型コロナの感染拡大を抑え込みたい,と述べている。誰に目にも,オリンピック対応策だと映る緊急事態宣言の期間の短さは余りにも不自然であり,尾身会長もこの短期間で解除に到るような押さえ込みは困難との見解を示されている。

むしろ,オリンピックの開催中止の議論をすべきときに来ていると,これ以上後になって開催か中止の判断をするのでは遅過ぎると発言されている。多くの国民が今の感染状況からして,オリンピックの開催は難しいと感じている。オリンピックよりも,新型コロナ対策を優先させ,ワクチンの接種を速やかに行うなどに力を注ぐべきだとと思っている。与党内にもオリンピックの開催は難しいと感じている人も出てきているが,可否の議論を進めようとの動きにはなっていない。

変異株の感染拡大が顕著になってきているが,国民の意識の中に,コロナに対する慣れや国の施策に対する不満など,国の意向に順応しない人が増えてきていることもあり,緊急事態宣言の効果も薄れてきているようである。何か判らない恐ろしさを感じた1年前の状態よりも,ある程度の知識も付いてきて,恐ろしさの不安が国民の意識から薄れてきていることも事実である。

大阪の病床の逼迫は依然と高く,5/11でもピークは過ぎず,少なくとも正常な状態に戻るには,5月一杯は掛かるだろう。大阪の緊急事態宣言の解除はどうみても6月に入ってしまうと思われる。今後の動きは大阪よりも東京の方が新規感染者が増え,第3波のピークに近づくと予想され,オリンピックムードは一気に萎んでしまうのではなかろうか。

  ワクチン接種

ワクチン接種はこの連休明けから,高齢者向けに始まる。これは大きな対策であるが,日本はワクチン接種に関しては世界の中で随分遅れてしまっている。欧米の諸国などと比較して,感染者数が大きく違うので,後回しにされた感はあるが,国の施策としては遅れを取ってしまったのは大きな痛手である。

ようやく連休明けからワクチン量の確保も見通しがたち,高齢者向けからスタートするが,政府の6月末までに配送し,7月末には2回接種を完了させるとの掛け声は,どこまで信用すればよいのだろうか。ワクチン接種の効果が出ている諸外国の例からは,一刻も早く確実に接種できるようにして欲しいものである。

ワクチン接種の案内は,高齢者対象に該当するので届いているが,5/7からの予約も,殺到してなかなか思い通りに進まないのではないかと心配している。掛かり付け医での接種が可能だが,少なからず混乱は生じることはあるだろう。まあ,慌てずに確実に接種できる日を待ちたい。

ワクチン接種の効果は期待できるが,それまでに感染を減らす施策は,自粛の掛け声だけでは如何にも政府の無策である。今の政府に期待するのはムリを承知で言うならば,思い切ってロックダウンに近い,休業命令を発して(もちろんその休業補償は当然だが),ある程度感染者をゼロに近い状態に抑え込み,それとワクチン接種を加速させて,いち早く正常な状態に戻すことである。口で言うパフォーマンスは聞き飽きた状態で,こんな日本にしてしまった菅内閣は一日も早く退陣して貰いたい。

ワクチン接種に期待!!

 

[Reported by H.Nishimura 2021.05.03]


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