■大阪の変異株  (No.676)

大阪の新型コロナの変異株が猛威を奮っている。これほどの急激な増加を誰が予測できただろうか?

  新型コロナ感染者が1200人超

大阪でこの日曜日(4/18)の新型コロナの感染者が1220人になった。これは過去最多である。3月末からの増加は急激で,一気に1000人を超えてしまった。ほとんどがイギリス型の変異株だと云う。従来型より1.7倍の感染力があるとは云われていたが,これほど一気に増加する予測は誰がしていただろうか?

最近は何処でどれだけの人が感染したかと云う詳細なデータが発表されないことになっている。市町村単位での感染者数の発表は続けられているが,具体的にどんな人が感染したかは判らない。人づてに知り合いの人が感染したとの情報があるが,断片的でどのようにして感染したかはさっぱり判らない。大勢での食事における飛沫感染は高く,防止するようにとは云われているが,殆どの人は理解し,防止策を講じている。しかし,感染者数は増加の一方である。

今回の増加の傾向は若者の数の増加が著しい。テレビなどの報道でしか判らないが,人出は蔓延防止策がでているが,それほど納まっていないようで,一部の若者は防止策を無視して活動しているようである。要は,1年以上も続くコロナ対策に辟易として,蔓延防止が叫ばれても,それほどの畏れが無くなってしまっているようである。

  大阪と東京の違い

これまでは東京の感染者が大阪の2倍程度多く,第3波の影響も長く続き,緊急事態宣言の解除も遅かった。大阪は第3波の大きさは東京よりはずっと低く,一日に50人程度のコロナ感染者に落ち着いたので,東京よりいち早く解除された。これは経済との関わりから当然の判断だったと思われる。東京はなかなか減らず,減り方が鈍化し,やや反転しかけた頃にようやく緊急事態宣言が解除された。

大阪も解除と同時に人の心は緩み,徐々に感染者が増加する傾向が見られた。しかし,病院の重症患者数などの減少に伴い,病院のコロナ患者に対する警戒も緩み,ベッドの増加への関心は薄れ,むしろ体制は弱まってしまっていたようである。ところが上述したように変異株が猛威を奮い,いつのまにか重症者のベッドが患者数よりも不足する事態に陥ってしまった。なぜ,第4波に対する準備ができていなかったのか,と言う人もいるが,一日50人程度に落ちていたので,緊張からの開放感もあったので,致し方なかったとも云える。

吉村知事がテレビに出過ぎで,きっちりした対策が疎かになっていると云う人も居るが,真面目に一生懸命対応し,素早い判断を下しているように見える。ただ,蔓延防止策を講じるも新規感染者が一気に増加したことに対する対応は鈍かった。もちろん,蔓延防止策の効果が十分判断できない中での増加であり,菅総理の訪米時期と重なったこともあり,やや国に遠慮(忖度?)した形にはなった。1000人を超える時点での緊急事態宣言は必要ではなかったか?

一方,東京は緊急事態宣言の解除が大阪よりも延びたことや,変異株の影響が遅れたこともあり,一気の増加は見られていないが,増加傾向は確実で,変異株の増加もあり,今週には一日あたり1000人を超え,大阪よりも多くなることは事実であろう。小池都知事はコロナ対策を国と張り合っているのか,指導権を持ちたいためか,緊急事態宣言を宣言したい意向を示されている。大阪の状況からは当然の判断とも思われるが,大阪の吉村知事の国への配慮?のような様子は見られない。

少なくとも,吉村知事の対応の早さや熱意と比較すると,小池都知事は自分のパフォーマンスが最優先のような態度が見られてならないと感じているのは私だけだろうか?大阪維新のやり方には賛成しがたいことも多くあるが,吉村知事の懸命さ,失敗もあるが熱意は国民に伝わっている。

大阪と東京の違いは,国の政策に近いところで,大きな台所を預かっている。しかも東京オリンピックを間近に控えていると云った環境は大きく違うが,国民に伝わる熱意の違いは明らかである。このままでは,東京オリンピックは無事開かれるとは思えない。もちろん,小池都知事の責任と云うよりも,ワクチン政策など国の無策が大きいが,何故か小池都知事の振る舞いも今一つしっくりとこない。

変異株の猛威はいつどのように止められるか?!

 

[Reported by H.Nishimura 2021.04.19]


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