■新型コロナ対策の無策  (No.674)

首都圏の1都3県で残っていた緊急事態宣言の再延長の期間が過ぎ,新規感染者が増加傾向にあるにも拘わらず,緊急事態宣言の解除が行われることになった。リバウンドのリスクを危険視する向きも多い。

  政策の無策が原因

緊急事態宣言発令後,飲食業への時短要請など,飛沫感染を防ぐ施策が取られ,それなりの効果があった。時短要請に応じた店には6万円/日の援助を行ってきたが,店の規模などによる不公平感を店側に強いてきた。短い期間ならまだしも2カ月半も続くと,効果の限界がみえ,当初の目論見のような減少が見られなくなってきた。当然の結末である。

売り上げ減少に伴う十分な補償をしていれば,店側の我慢も判るが,店の存続の危機をも顧みず実施し続けるのは政府の無策に過ぎないのではなかろうか。まして命令に従わない店には罰金を科するとの法律に,裁判にまで訴える店が出てきても当然である。ヨーロッパ各国で行われている一時的にロックダウンして休業させ,その分補償をするやり方は理に適っている。

日本ではロックダウンはできず,業者や一般人の誠意に頼った施策しかできないのは,法律上の限界はあるものの余りにも政府の施策が十分で無いことを物語っている。まして,緊急事態宣言解除後,5つの施策を講じて,リバウンドを回避するとの説明は,今更特別に新たに行う施策でもなく,これまでの延長でしかなく,リバウンドを回避できるとは到底思えない無策でしかない。

国民への自粛要請も限界があり,最早,緊急事態慣れしてきた感が強く,人の往来も増えてきている。一部の人を除き,殆どの国民がマスクを付け,アルコール消毒などで感染防御をすることが日常的に行われており,介護施設などを除いてクラスターの発生も抑えられている。これ以上,政府は国民に何を求めようとしているのか?要するに,これ以上効果のある感染防止策が行き詰まっている状態である。

  無策のツケを業者に押しつけ

経済の疲弊で店を閉じ,倒産するところも多いようである。それに対応して,感染者が少ない県ではGO−TOトラベルやイートをやりたいとの声が出てきているのも事実である。一方,宮城県のようにいち早く,GO−TO事業を始めたところ,急激に新規感染者が増加し,あわてて緊急事態宣言を発令し,感染防止にやっきになっている県もある。

宮城県の例からも判るように,GO−TO事業の推奨は人の往来を勧めることになり,それに伴う感染拡大が拡がることを証明しており,政府の援助のあるGO−TO事業を進めることは,今のところ良い施策とは云えない。ワクチン接種が行き亘り,感染防止の効果が出てきた段階で,GO−TO事業を始めるのなら理解できる。現状ではワクチン頼みの一手しか対策が無いのである。

GO−TO事業に廻す資金を,今の時期は時短などを要請している店に,規模に応じた応分の補償をすべきではないか。他の業種の疲弊についても,GO−TOに頼る前に,一時金など応分の補償をすることで,存続を維持できるようにするのが先決である。自粛生活が継続する中で,活路を見出し活気が出ているところもある。知恵を振り絞って生き抜く努力をされている。したがって,総て補償をすると云うのではなく,存続維持の限界を超えるようなところには政府として手を差しのべる施策が取れないものだろうか。

生き残るため止むを得なく時短要請を破って,しかし感染防止対策をしっかりとって,国民の要望に応えようとされている店もある。それに反し,要請を無視し十分な感染防止をしていない店もある。命令による罰金刑は簡単だが,感染拡大の原因の分析もできないまま,闇雲に一方的に業者へ責任を押しつけるのは,愚策ではなかろうか。

世界各国が新型コロナ対策に苦慮している。しかし,わが国の政府の対応は余りにも国民の誠意に頼りすぎで,対策の切れ味が全く感じられないのは私だけだろうか?

菅政権の無策が日本をダメにする!!

 

[Reported by H.Nishimura 2021.03.22]


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