■緊急事態宣言再延長 (No.673)
東京都と首都圏の三県が緊急事態宣言を再延長することになった。緊急事態宣言は1/8に発せられ,2/7までの1カ月の予定が,延長され3/7までになっていた。そこで更に首都圏は再延長(2週間)を余儀なくされた。
首都圏の実態
緊急事態宣言から新規感染者は減ってきている。前週の70%を目標に確実に減りだしていたが,ステージ3をクリアすることが確実になるよう1カ月の延長が行われた。首都圏を除く,関西圏や中京圏は3/7を待たずに,知事からの要請もあり前倒しで解除され,首都圏も予定通りに解除されるかと思いきや,逆に2週間の延長が決まった。
その理由は,新規感染者の下げ止まり傾向がみられ,さらには病床の逼迫度合いが高く,ステージ3の病床使用率50%以下が辛うじてクリアできるレベルにあり,新規感染者のリバウンドがあれば,直ぐ病床が逼迫するリスクがあり,2週間をリバウンドさせない期間との説明で,首都圏の人々にさらなる引き締めをするよう要請があった。
下げ止まりの状態は顕著で,今週など前週を超える新規感染者数になってきている。国民への要請は限度になってきており,これ以上新規感染者が減少する確証はない。それでも政府は,特に病床の逼迫度合いを出している。しかし,2週間後に減らなかったら,どうするのだろうと不安がよぎる。
意地の張り合い
専門者会議や医療従事者は再延長を歓迎しているが,本当のところはどうなんだろう。菅総理と小池都知事の意地の張り合いが見え隠れする。都知事にイニシアチブを取られたくない菅総理は,十分に首都圏の首長との擦り合わせも無いまま再延長を宣言した。これには,小池都知事の再延長要請を受けてから判断すると,小池都知事の言いなりになったと非難される。
このことを畏れ,再延長止む無しとの意見を先取りした形で,十分後先を考えずに判断されたように見える。目標のステージ3はクリアしており,再延長することは無かったとも云える。現に大阪など関西圏は兵庫・京都と調整の上,早めに解除を決め,政府に要請して宣言解除を勝ち得ている。この違い(関西圏と首都圏)は何だったのだろう?
新規感染者が2桁に減った関西圏と,300人前後の東京都や100人超の首都圏三県では,解除するのは早過ぎると判断でき,もっと抑え込んで確実な宣言解除が妥当であるとは思うが,この2週間にさらに下げる施策が見当たらない。このままだと同じ状態で2週間が過ぎてしまうことは明らかである。それでも解除に踏み切るには,どのような説明がなされるのだろうか?
本当は,飲食業の一時休業などさらに踏み込んだ施策を以て解除するなどをしないとさらに下げることはできないことは判っていても,財政支援などの負担をしたくない政府の苦しい立場は見え透かされている。2週間後,新規感染者増に転じて,慌てふためく政府を見たくはない。
大胆な抑制策を打つことができるのは政府であり,国民の自粛行動だけへの期待に頼る政府の不甲斐なさを改めて感じてならない。
今こそ,確実な抑制策を打つべきである
[Reported by H.Nishimura 2021.03.08]
Copyright (C)2021 Hitoshi Nishimura