■先週のニュースより (No.672)
先週も色々なニュースがあった。
大坂なおみ全豪オープンテニス優勝
自分でもテニスを続けているので,全豪オープンテニスは関心を持って観ていた。大坂選手の成長ぶりは,2年前に全豪オープンテニスで優勝したときとは,格段に上がっていた。オーストラリアと時間差が殆ど無いため,試合を観戦するタイミングが良く,4回戦のムグルサ選手との試合以降,総てNHKの実況放送で全試合観ることができた。
優勝までの道程は,順調に進んだ。これも大坂選手の成長が大きく,どのプレイにも安心して観ることができた。今大会で,唯一危なかった場面は,ムグルサ選手との4回戦で,1セットオールの第3セットのワンブレークされた状態での第9ゲーム,ムグルサが40−15とマッチポイントを握った瞬間である。流石このときは,負けるのではないかと云う気がよぎった。しかし,大坂選手はこの追い込まれた場面で,サービスエースで1本目を凌ぎ,次はストローク戦でムグルサのアンフォースエラーを誘い,ジュースに持ち込んだ。そして何とかキープをした。
そのあとは,第10ゲームで大坂がプレイバックに成功し,イーブンに戻した。この精神力は対したもので,これまでの大坂だったら,あの状態で(第9ゲームの追い込まれた状態),力尽きていた,或いは第10ゲームで相手にキープを許し負けてしまっていたのではなかろうか。ここが,今回の優勝を導くキーポイントであった。それ以降は,強敵,特に準決勝のセリーナ。ウイリアムズとの試合も,大坂が相手を十分上回っており,安心して観ていられた。
今回の成長の特長は精神的に安定していたとの報道もあるが,プレイそのもので印象的だったのが,2つある。一つはこれまでファーストサーブでのスピードが非常に特長だったが,今回はファーストサーブの確率がそれほど高くなく,むしろセカンドサーブを強烈なスピンを掛けたことによるポイントを確実に取っていた。これはファーストサーブ依存の度合いを少なくしていて,ここはと言うときのみファーストサーブでのエースを獲っていた。二つ目は,ストローク戦での深いリターンが確実に決まっていて,相手が攻撃的になる機会を少なくしていたことで,これが精神的余裕に繋がっていたと思われ,印象的だった。
今回の優勝は,日本中に感動を与えてくれた素晴らしい時間だった。
ワクチン接種始まる
ファイザーのワクチンが日本に届き,ようやく日本でも,新型コロナワクチンの接種が,医療関係者から始まった。日本での実績を積み重ねるためにも,医療関係者が率先して投与を受け,人々のワクチンに対する不安を一掃する役目も担っておられる。
新型コロナワクチンの接種に関しては,日本は随分遅れをとっている。集団接種に関するこれまでの事故など,実績の少ないものに対する不安視は結構高く,遅れの原因にもなっている。しかし,接種のメリットとデメリットを勘案しても,打った方がベターだと云う考え方が大分広まってきている。
しかし,接種人数が限られて居る場合はまだしも,これから高齢者から一般の人へと接種対象者が一気に増加した時に,十分賄える体制ができているのであろうか,やや心配なところがある。まだまだ未知な部分も多く,いろいろなことが生じて来るであろうが,スムーズな運びにして欲しいものである。
オリンピック会長 橋本さんに
森さんの失言により,オリンピック組織委員会の会長のドタバタ劇が始まり,ようやく橋本オリンピック大臣が大臣職を辞退して,委員会の会長になることになった。ジェンダー失言により,女性の会長の誕生を願った政府の思い通りの人選となった。透明性が云々されたが,男女4人ずつの選考委員会から橋本さんに一元化され,会長職の要請がなされたようである。
当初は拒んでいた橋本さんも,廻りから埋められ逃げることができないようになったようである。前会長の森さんからも強い要請の援護があったと聞く。オリンピック・パラリンピックの行方が不透明な中,会長職を担うことはたいへんな苦労が伴うであろう。オリンピアンとしての実績など,オリンピック組織委員会の会長には相応しい人が選出された。
ただし,今後の仕事は並大抵のことでは片付けられないようなことが待っている。自分の意見の主張を他人を押しのけてでも通すような人では無いと聞くので,どこまでやり遂げられるか心配な面も大きい。特に,オリンピックの開催が困難となったときの,並みいる難敵との交渉など十分に対応ができるのか,今から心配である。本来,東京都が主催なので,小池都知事が前面にでるべきだが,要領を得た人なので,自分に都合が悪いことは上手く回避して,都合の良い部分だけを上手く扱う手腕に屈指はしないかと心配である。
菅総理の問題
総理の長男と総務省官僚との利害関係者間の癒着が報じられているが,官僚の更迭をもって一件落着を図りたい意向だが,大きな問題を抱えている。つまり,官僚の接待については,癒着が問題視された1990年代に公務員法が改正され,しばらくは話題にもならず静かだった。
ところが今回,その法律を破るような問題が起こったのである。報道に依れば,総理の長男と官僚との会合が12回にも及び,タクシーチケットなどお礼も受け取っていたようである。放送の枠組み拡大を目指す会社と認可する総務省の間でのやりとりが,週刊文春によって明らかにされ,違反の事実が明らかにされたのである。
何が問題かと云えば,このような問題が起こるような菅総理のこれまでのやり方である。総務省に顔が利く総理の息子からの誘いを無碍に断れないサラリーマンの辛さで,官僚には同情する一面も無いではない。つまり,安倍政権以来の「忖度」である。総理の長男からの誘いを,法を犯してまでも断れなかったのは,断ったことが総理に知れれば,逆鱗に触れ左遷される畏れである。つまり,人事権を掌握している菅総理の思い一つで,跳ばされた実態を把握している官僚にとっては,従わざるを得ない状況だったと容易に想定できる。
菅総理の権力を傘に,人事権を思うままに行使する独断が生んだ悲劇とも云える。国家を支える優秀な官僚が減りつつある国家の危機でもある。自分には関係ないと白を切る総理の言動に怒りを覚える。いち早くこんな体制が無くなることを望む。
[Reported by H.Nishimura 2021.02.22]
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