■選挙後  (No.665)

アメリカの大統領選挙が行われ,バイデン氏が過半数の選挙人を獲得した。しかし,トランプ大統領は敗北を認めず,選挙が正確に行われていないと未だ敗北宣言をしていない。

  バイデン氏の勝利

アメリカ大統領選挙は予想外に,トランプ大統領が猛追し,どちらが勝つか判らないほどの大接戦だった。トランプ大統領は,新型コロナに感染後も精力的に演説会を開催し,熱狂的な支持者をバックになりふり構わぬ行動で,接戦が伝えられていた州を駆け巡っていた。一方,民主党のバイデン候補は新型コロナ対策を徹底し,演説会も支持者は車の中から応援すると云う静観した戦いだった。

予測通り,開票はトランプ大統領が優勢で進み,レッドミラージュと云われたように,開票が進むにつれバイデン氏のブルーに変わって行く様はものの見事で,接戦州の殆どが郵便投票の開票が進むにつれて,民主党が圧倒的に票を伸ばし,結果的にはかなりの差でバイデン候補の勝利が決まった。

ところが,選挙結果に不服を抱くトランプ大統領が,未だ敗北宣言をせず,中途半端なままの状態が続いている。

  トランプ大統領の醜さ

民主的な選挙では明らかに敗北した結果を突きつけられたトランプ大統領は,未だ民主党に選挙が乗っ取られたとわめき,正しい選挙ではなかったとクレームを付けている。これに対し,熱狂的なトランプ支持者も煽られ負けを認めようとせず,活動を続けている。近代的であるはずのアメリカに於いて,このような光景が続いていること自体,アメリカも地に落ちたと思わざるを得ない。

大統領の言動が,アメリカ国民を完全に二分してしまっている。勝利したバイデン氏はノーサイドで国民が一致してとの呼びかけも,効を奏していない。本当に困ったものである。共和党の内部でも,徐々に敗北を認める人が出てきて,大統領を落ち着かせるように言う人も居るようだが,共和党としての正式な表明には到っていない。何分,一番上に頑固な親分が居るものだから。

選挙が不正だったと訴えも起こしているようだが,裁判所の殆どが,証拠が不十分と取り合ってもらえないのが多いようである。郵便投票の無効を訴えているようだが,そもそも新型コロナ禍で,投票がムリなこともあって,その方式を認めた選挙である限り,ルールに則って判断されるのは当然のことである。個性が強いトランプ大統領の悪あがきを見ているようでならない。

  日本の菅総理も今一つの言動

アメリカの大統領選挙の結果はともかく,日本の政府の現状も,今一つパットしない。日本学術会議のメンバーの不承認問題を始めとして,菅総理の受け応えが切れ味が全く感じられない。日本の総理として泰然として居る様子は全く無く,官房長官の対応から抜け切れていない感じが強い。

国会での質疑応答にも,棒読みの回答が目立ち,突っ込まれると,「人事に関することはお応えできない」など通り一遍の言葉しか出てこず,総理としてこのように判断したのだと云う自信が全く感じられない。事を無難にこなそうとする姿だけが妙に目立つ。このような状態では,支持率の低下は避けられず,総理としての国民の期待は裏切られることは間違いない。

国民のために働く内閣と称し,携帯電話料金の値下げや,デジタル庁の開設など,地に着いた行動がなされているようだが,これも日本の将来のためにこうするのだと云うビジョンがあってこそだが,全く将来の夢は語られていない。否,語れないのではないかと疑いたくなる。

日本の総理だからと,かっこよいパフォーマンスを期待はしないが,やはり総理として,国民を将来に向けてどのように引っぱって行こうとしているのかはせめて示して欲しい。携帯電話料金の値下げなどのごまかしで,国民を操ろうとしても,そんな甘いものでは無いことを胆に命じて,一皮むけた日本の総理大臣を目指して欲しいものである。

トランプ大統領に掻き回されるな!!

 

[Reported by H.Nishimura 2020.11.17]


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