■菅内閣の活動 (No.662)
菅内閣が誕生して,未だ所信表明が行われておらず,安倍内閣の継承だけで,どうしようとされているのか,さっぱり判らない。会見も殆ど行われず,実務は進んでいるようだが,内閣総理大臣としての顔が見えない。
何故,前面に出てこられないのか?
デジタル庁の設置に向けた対応や行革に対する行動など,大臣レベルの動きはあるようだが,菅内閣として何をしようとされているのか,顔が見えない。携帯電話料金の値下げで国民の心を掴もうとされているのは判るが,何か実務レベルの話で,日本をどのようにしようとするのか,夢が全くない。
官房長官時代の素っ気ないやりとりで,実務はきっちりとできるのだろうが,総理大臣としての貫禄が全く見えない。前面に出てきて,もっと国民に自分の思いをぶつけることができないのだろうか?
学術会議の問題
学術会議の任命で,6人の委員を任命しなかったことが問題になっている。学者からは,科学に対する政治介入だと異論がでており,それに対する説明が一切行われていない。総理が任命することになっており,これまでには無かった任命の拒否に対して,その理由を明らかにするのは,当然のことである。菅総理は一切応えず,官房長官がルールに則って判断したまでであるとの説明で終始している。
学術会議たるものが何か,初めて知った状態で,よく判らず,調べてみると,学術会議は内閣総理大臣の所管の下,政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立され,職務は以下の二つである。
- 科学に関する重要事項を審議し,その実現を図ること。
- 科学に関する連絡を図り,その能率を向上させること。
また,学術会議の役割は,次の四つである。
- 政府に対する政策提言
- 国際的な活動
- 科学者間ネットワークの構築
- 科学の役割について世論啓発
これらのことから,学者間で推薦された会議のメンバーに対して,政府が口出しする必要はどこにあるのだろうか?敢えて言えば,政府に対する政策提言が,内閣の思いと一致しない可能性があるためなのか?
何か表面上では判らないものがあり,これまでの政府見解と違った意見を述べたことのある人が拒絶された印象は拭えない。それほどにまでして,拒絶する理由が我々には判らない。政府への忖度を学者にも求める現れなのかも知れない。わざわざ問題を大きくしなければならない理由がどこにあるのだろうか?菅内閣の心の狭さにうんざりする気がしてならない。
総理として何がしたいのか?
菅政権は,安倍政権の継承を謳っているが,自身は何がしたいのかよく判らない。安倍政権の継承とは,ピンチヒッターとして任期の期間を問題なく過ごすことなのだろうか?それならば,この1年間を無難にこなすと宣言してやるべきだろう。そうではなく,日本の総理として日本の将来を託されたことを認識して,進むべき道を国民の前に知らして欲しい。それが全く無いし,判らない。
少なくとも官房長官時代と違って,一国の総理としてのあるべき姿を示して欲しい。要は明確な自分の意志の表明である。これが今のところ見当たらない。携帯電話料金の値下げは,国民の溜飲を下げるかもしれないが,それだけでは寂しい限りである。実務を着々とこなすのは官房長官時代で終わりにして,日本の将来をどのようにしたいのか説明が欲しい。
とにかく,総理としての発言が少ないので,不安を感じるのは私だけだろうか?総理としての資質を疑う。単なる杞憂に終わればよいが!!
国民の前で,堂々と分かり易く説明を!!
[Reported by H.Nishimura 2020.10.05]
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