■新型コロナウイルス第2波  (No.656)

新型コロナウイルスの感染拡大が再び始まっている。首都東京では,新規感染者が連日200人を超えている。しかし,4月頃の第1波のような騒ぎにはなっていない。マスコミの情報しかない者にとっては,どうなっているのか?と疑問を抱かざるを得ない。

  東京の新規感染者が200人超

自由な往来ができるようになって,それに伴って新規感染者が増えることは予想されていたが,まさかいきなり200人超とは驚きである。第1波のときより多い新規感染者が出ており,新規感染者の推移は明らかに第1波を越えるところまできている。それにも拘わらず,以前取られたような緊急事態にはなってはいないどころか,アラートさえ出ていない。

どうもその理由は,医療機関の不足の心配がなく,且つ若者の感染者が多く重症者が少なく,検査数が増えているなど,一般人には十分な理解が得られない,お座なりの説明しかなされていない。嘗ての“東京アラート”は何だったのかと疑問視する声もある。どうも,見せかけのパフォーマンスが先走っているように見えて仕方ない。

住民の積極的な感染防止姿勢に期待するのは良いが,それならばもっときっちりとした説明がなされるべきで,住民の納得性が無い状態で,何も手が打てていないように見える。詳細なデータを示して説明するのは難しいのかも知れないが,対策している格好だけが目立ってしまう。住民の協力を得られるような態度が見られない。

政府も,緊急事態宣言を出すような状態では無いと繰り返すだけで,どのように対策しようとしているのか全く判らない。それどころか,GO-TOキャンペーンを前倒しして,自由な往き来を推奨しようとしている。確かに,経済的な打撃が大きく,それに対する対策として理解できないことは無いが,前倒ししてまでスタートすることなのかと疑問符が付く。

東京都にしろ,政府にしろ,説明不足が目立つ。新しい事態なので,経験則が役立たないのは判るが,もう少し,なぜこのように新規感染者が増加してきているのか,に関しての説明が必要である。専門者会議が無くなり,有識者の分科会に変わったが,そこからの発信もよく判らない。対策が後手後手になったとの反省が全く見られない。

  大阪との違い

首都圏に居ないので真の詳細が今一つ判らないが,大阪では基準値を設け,それを超えたので黄信号を発し,注意喚起をするよう要請されている。具体的な対策はこれからだが,住民への理解は,データを基に明解で,意識付けには十分である。経済を廻しながら,新型コロナウイルスと共存していく姿勢は,関東と変わらないが,トップの姿勢が大きく違う。

トップの姿勢が新型コロナウイルス感染対策でこれほど如実に出るものとは思っていなかったが,未知のもの,経験則が活かされない状況下で,如何に自分の信念をもって対応するかの違いを見るような気がしてならない。大阪の吉村知事の対応が総て良いとは言えないまでも,何をしても自分の腹をくくってやろうとしている姿が見える。これが人々の共感を呼んでいる。方や小池東京都知事の横文字を並べたパフォーマンスを気にしたやり方,そして安倍総理のトップの資質を疑いたくなるような言動,誰に委ねたいかは火を見るよりも明らかである。

要は意志決定のストーリーがどれだけ明解で,一貫性があるか否かである。間違いは誰にでもある。しかし,格好を付けるだけで誤魔化している小池都知事,間違いを認めず,無理やりに書き直してまで進める安倍総理。自ら指示はされていないが,トップたる者の資質がそのまま反映されるのは当然である。

  今後のあり方

東京の現状は明らかに第2波が来ており,市中感染が広まっているのは,感染経路を追えない人の増加からも明らかである。それなのに,手を打たない理由はどこにあるのか?第1波の経済の疲弊の影響がそんなに大きかったのか。それならば,そうした理由をもっと国民に判るように示して,説明してことに当たるのは当然のことである。

結果論であのとき(今の状態)に,手を打っておくべきだったと嘆いても遅い。今,何をし,何を見送るか,その理由はどうしてか,を明解にして,国民に知らせるべきである。秘密事項は何も無いはずである。むしろ国民の協力を得るためにも,そうすべきである。

これまでの政府の対応の拙さ,何もせず,遅く,ムダなことが多く,国民感情との落差が大きすぎるやり方,それに輪を掛けるようにならないことを願うばかりである。

[Reported by H.Nishimura 2020.0.18]


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