■新型コロナウイルス専門家会議  (No.655)

新型コロナウイルス専門家会議が急遽閉じられた。これまで感染拡大に対して警告を発し続けてきた専門家集団だが,突然の廃止に委員にも十分伝えられていなかったようである。

  専門家会議の位置つけ

そもそも新型コロナウイルス感染拡大が報じられる中,専門家会議そのものの位置付けが明確になっていなかったようである。未知のウイルスに対して対応策を検討するには,政治家ではどうしようもなく,専門家の意見を採り入れて検討することは当然のことである。しかしよくよく聞いてみると,その位置付けは決まっていなく,議事録もとられていなかったようである。

専門家のメンバーは発言には自信をもっており,議事録に発言者の名前が出ることは認めるとのことだったが,政府側が曖昧にしたようである。この内閣は,こと重要な記録に関して,無かったとか廃棄したとか,杜撰極まりないもので,記録の改竄までも許してしまう内閣である。専門家がときおりは前面に出て,あたかも政策までも決めているかの印象を持たれていたことは事実である。しかし,専門家の意見が反映されないこともあったようであり,この際位置付けを明確にしようと云う意見は,専門家会議のメンバーにもあったようである。

しかし,専門家会議廃止は,西村大臣が一方的に決めたしまった感が否めない。緊急事態宣言が解除された中で,改めて分科会的な位置付けにするようである。専門者のメンバーは意見を答申し,政府が政策を決定すると位置付けするようである。議事録の有無は曖昧なままのようで,どうも専門家会議のメンバーと政府の意見が一致していないように映る。こんなことで,第二波に対する対策が十分なのか心配でならない。

  今後の展開

位置付けはともかく,どんな議論がなされたのか,国民にオープンにして欲しいものである。先日,大阪で行われた専門家会議における議論は,約2時間に及んだが,すべてユーチューブでオープンにされていて,全部見てしまった。大阪大学や京都大学の専門家(必ずしも新型コロナの専門家では無かったようだが)が,持論の意見を展開し,それに吉村知事などが意見を述べたり,質問をしたりと,そのやりとりの一部始終が見られた。

一部専門的な内容で,理解が追いつかない部分はあったものの,十分に満足できる議論が展開されていた。両専門家とも,西浦教授が示された8割接触機会の削減は,理論上の数字であって,実際には無意味なものと,その当時から意見を述べられ,政府機関への意見を言われたようだが,採り入れて貰えなかったようである。

結果論で言うのは容易だが,もっと早くからこうした意見が戦わせられるようになって欲しいものである。K理論や,100分の1(感染期間は僅かで,感染の恐れが無くなる)など,興味ある意見が出されていたことは,吉村知事にも今後の展開に向けた意見として,十分に伝わったようである。とにかく,こと新型コロナウイルス感染拡大防止には,一歩も二歩も大阪の方が進んでおり,期待が持てる。

専門家会議はどうなるのか?

 

[Reported by H.Nishimura 2020.06.29]


Copyright (C)2020  Hitoshi Nishimura