■新型コロナウイルスから何を学ぶべきか (No.654)
新型コロナウイルス感染拡大がようやく収束方向に向かっている。世界各国と比較して,日本の感染拡大が大きくならず,留まったことに対して,何故かと云う疑問が沸いてきている。いろいろな説が飛び交っているが,これだと云う確証は未だ見当たらない。しかし,この要因を明らかにすることは,第二波の到来に対しても,有効なことである。
国に先駆けて大阪が
こと新型コロナウイルス感染拡大に対する対応は,国よりも大阪府の方が先を行っている。先週も,大阪府では専門者会議がオープンで開催され,いろいろな意見が出され議論されている。これは第二波に向けての,取り組みの一環で,未知のウイルスに対応してきたことが,的を得ていたかどうかを確認して,有効な手を確実に打っていこうとするものである。
国の専門者会議の内容がオープンにされず,取り組み事態の反省も十分にされたか疑わしい状況とは雲泥の差がある。もちろん,国全体でのことなので,なかなか纏まりがつかないのは十分差し引いてもである。緊急事態宣言の有効性についても疑問符が付けられている。新型コロナウイルス感染拡大が始まった時点で,このままだと日本で40万人の死者が予測されるとされた西浦教授の予測からも大きく外れてきている。
このまま国に任せておいて良いのかと疑問視されるのは私だけではないだろう。大阪府の取り組みに期待をしたい。特に,緊急事態宣言の効果などは徹底的に解析すべきであると思う。大阪府の見解では,@海外からの渡航者の制限,Aクラスター対策の徹底,B検査数の増大については,今後の対応にも重要である,としている。
日本の取り組みの何が良かったのか?
専門家でも,なかなか答えが出ないようである。BCG接種,民族の違い(アジア系が少ない),生活習慣,民度,医療体制の充実などいろいろ云われているが,いずれも確たる根拠まで到っていない。むしろ現状では,こうした様々な要因が結果として良い結果をもたらしたと云うことのようである。
余り解説はされていないが,欧米の貧困層に被害が拡大しているニュースを目の辺りにすると,貧困層の多さと,医療体制の充実差が死亡数の差となって現れているのではないかと云う気がしてならない。日本にも貧困層はあるが,そうした人達を見捨てるような国では無く,何らかの医療が施されている。それに対して,欧米の貧困層は比べものにならないほど酷く,医療が十分受けられない人がいる。
日本で,欧米のような割合で死亡者が出れば,国がひっくり返るような事態が起こる。人種差別の根深さは,こうした感染症の拡大によって如実に現れることを物語っているように感じられる。日本民族の誇りのようなものが日本を支えているのだと実感する。日本の対応は,国の施策が良かったのではなく,都道府県の知事などの地道な確実な対応が適切だった方が良かったと思われる。
40万人死亡説
西浦教授が発表された,このままの状況では日本で40万人の死者が出るので,接触を8割削減しなければならないと,グラフを用いてマスコミなどが危機感を煽ったが,この西浦教授の仮設が,統計学上の数字で示されたようであるが,具体的な数値の説明はなされず,マスコミを通じて日本人全体が騙されてしまったようである。統計学の専門家もおられ,このような推定を行ったと具体的な根拠を示して欲しいものである。
この説はおかしいと感じた人は多いと思われるが,きっちりと反論されてもいない。根拠の数字が示されないので,反論のしようもなかったのかも知れないが,このままだと,西浦教授は「オオカミ少年」になってしまう。専門家会議の意見ではないにしても,専門家会議の一員として影響力の大きい発言に対する検証は是非やって欲しいものである。
自粛要請とはいえ,8割接触削減を指導した国の責任はどうなっているのか?専門者会議の見解では無いにしても,安倍首相自らが8割接触自粛を訴え,経済的な大きな打撃を与え,補正予算として大風呂敷を広げるだけが国の役割では無い。大阪が進んでやっているような納得できる解析をきっちりやって欲しいものである。
こうした反省,及び第二波へ向けての対策がしっかりできないようでは,国は何をしているのか,と言いたい。
日本の新型コロナウイルス対応は正しかったのか??
[Reported by H.Nishimura 2020.06.15]
Copyright (C)2020 Hitoshi Nishimura