■新型コロナウイルス感染拡大 5  (No.650)

新型コロナウイルス感染に関して,ここで述べ始めて早2カ月になる。その間,感染拡大は中国だけに留まらず,日本はおろかヨーロッパ各国の感染拡大が目を覆いたくなるほど酷い状況になっている。アメリカも,いつの間にか感染者数はイタリアに次ぐ,10万人超というとんでもない人数に達してしまっている。

  一週間で変わる感染拡大

中国が大騒ぎになっている中で,日本がクルーズ船の対応にあたふたしていたとき,欧米はアジアでの出来事のようなのんびりとした雰囲気だったように思われる。それが,感染が確認されだすと,あれよあれよと倍々ゲームのように感染者が増え,いつのまにか中国を遙かに超すような感染者となり,それに伴い死者数も超えてしまっている。

アメリカもヨーロッパに遅れること僅かの間に,感染者が増え,ニューヨークを封鎖しなければならないような事態に陥っている。昨今の状況では,一週間でその状況がガラリと変わってしまう。封鎖がどこまで有効かよく判らない中,どこまで感染者が増えるのか,誰も予測ができない。アフリカ諸国など,どう見ても医療が十分でない国々で,今後どのような事態が起きるのか,想像するだけでも怖い。

  東京オリンピックの1年延期

東京オリンピックが,パンデミック状態にある中で,1年延期が決まった。関係者は中止とならなくて,延期でIOCが認めてくれたことにホッとされているようである。そのせいか,東京での新型コロナウイルスの感染者がオリンピック延期発表と同じくして,一気に増加しだしている。オリンピックの中止を回避するために,感染者数を抑えていたとは云わないまでも,明らかに数字が変わってきている。

前週の感染者数10人/日平均から,今週にはその5倍の50人/日平均になっている。小池都知事は,ロックダウン(都市封鎖)の寸前状態にあると発言されているが,まだまだ感染者数は増加の一途を辿ることは間違いない。5倍/週の換算で行くと,来週は250人/週平均となり,このままでは1000人/日となるのも間近で,危険性を大いに孕んでいる。

防止策が後手後手になるのは,潜伏期間が約2週間ほどあり,今週の増加は2週間前の活動状況の反映であり,一昨日からの自粛要請も2週間後に結果が出ることで,それまでは増加すると見なしてもよい状況である。その点,大阪は東京に比べ,ライブハウスなどのクラスター発生があったこともあり,1週間以上先に手を打っている。

習近平の来日予定のために,中国人の訪日を止めることができず,また,東京オリンピックの中止となることを畏れて,東京での自粛要請を遅らせ,日本の面子に差し障ることを回避したがために,真にやるべき早い目の対策が手遅れになったことは,政治の責任である。全国民が一致団結して新型コロナウイルス対策をしなければならないとき,政治家の国民への信頼は揺るいではならない筈である。海外の政治家に比べ,法律に縛られた面はあるにしても,余りにも対応が遅すぎる。

  正念場の一週間

日本の医療が優れていて,新型コロナウイルス感染に関しても,全国民が一致団結して対応できた国民であると示すことができる絶好の機会でもある。まだまだ,意識を高く持ち,新型コロナウイルスに対して打ち勝つ気持を持ち続けることが必要である。日本人の意識の高さで,自粛要請で乗り越えようとしているのは間違いではない。

ただその意識に頼るには,正しい情報を速やかに知らせ,やるべきこととやってはならないことを明確にすべきであり,政治家の真摯な姿勢が重要である。こうした非常時におけるトップの判断一つが,日本の将来を左右することになると言っても過言ではない。国民に正念場と訴えるのならば,もっと積極的に前面に出て,率先垂範すべきではないか?

何としても感染の異常な拡大を抑え,いち早く元の生活環境に戻るようにしたいものである。

新型コロナウイルス感染対策の正念場

 

[Reported by H.Nishimura 2020.03.30]


Copyright (C)2020  Hitoshi Nishimura