■新型コロナウイルス対応 (No.648)
安倍首相が3/2から春休みまで,小中高の学校を一斉休校すると宣言,その余波がいろいろなところで起こっている。
緊急対応策
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。先日(2/24)専門家会議がここ1〜2週間が感染拡大のスピードを抑えられるか否かの瀬戸際だと発表した。風邪や発熱など軽い症状では,直ぐに病院へ行かず,自宅療養をして欲しいとの要請である。
それを受けて政府も基本方針を発表したが,専門家会議の発表を追随する形で,初期の自粛を37.5℃以上の発熱や倦怠感,咳の症状の人は4日間持続するか見極めた上で受診することを推奨した。一方,PCR検査の検査がなかなか受けられない問題があり,韓国などとの検査数の差が大きく,検査がなかなか進んでいない現状である。
こうしたジレンマの中で,安倍首相が2/26になって,急遽,小中高校の臨時休校をいきなり発表した。政府の対応が,クルーズ船対応など,後手後手に廻った批判の中,十分な根回しも無いまま,思い切った処置を発表した。感染拡大に対して,先手を打った対応をするとの首相の説明は,あまり明確な根拠がないままで,対策に対する意欲を見せた形である。
緊急対策について,専門家の意見は様々で,中国のデータなどから見れば,子供への感染は少なく症状も軽いことから,全国一斉休校はやりすぎとの意見もある。感染拡大を抑える意味では,一斉休校は意味あることで,このような前例のない状況下での対応の是非は,いろいろ意見の分かれるところではあるが,政府の対応の一貫性には疑問が残る。
安倍首相の支持率が感染拡大の対応の遅れなどから,どんどん落ちだし,それに反応したかのような首相の思い切った宣言だったと,批判するマスコミもあるが,少なからず首相独断のパフォーマンスと受けとめられても仕方ない。要は,官邸と国民の感覚の大きなズレが見られる一面である。
今やるべきこと
感染拡大を防止する意味で,全国一斉休校は,有効な一つの手段であることには違いない。しかし,今,やるべきことは,医療体制の拡充で,先ずは検査体制を見直し,初期の患者にも対応できるようにすべきで,一般患者の不安を払拭させることではないか。検査数が増えることで,感染者が増大することを回避しているようにも見える。
マスコミの報道でしか判らないが,検査する条件が厳しく,医者と検査する機関の間に,保健所が入っていることも,検査がスムーズに行われない要因であるようにみえる。保健所が手抜きしているのではなく,そもそも保健所の能力そのものが,こうした緊急事態に対応できる体制にはなっていないようである。
PCR検査の保険対応も検討されているようだが,何を躊躇しているのか,と疑問を抱く。医者と検査機関が直接結び付くことで,民間での検査もできるようになり,一気に検査が容易に拡大できるはずである。どうも,政府内のどこかに,検査数増大を抑えているところがあるように映る。そんなことはないと厚労省は言い張るが,実際の検査数が少ないことがそれを物語っている。
国民に寄り添い,不安を取り除くことも重要な政策であるはずだが,どうも永田町の論点は的が外れているように映る。安倍首相の一言で,イベント,集団行事,スポーツなどが中止,又は延期になっている。感染拡大防止をする点では,致し方ないことであり,非常時における行動の制約は当然のことである。国民にこうした我慢を強いる中,政府として医療体制の強化など,感染に対する不安を解消することを,もっと素早く確実に手を打って欲しいものである。
新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた施策は,世界中の中の日本のおかれた立場を考えると同時に,国民の不安を取り除く国民目線の対応をバランスよく,しかも早急に行うべきで,各々の立場を保身するような説明や言い訳は聞きたくないものである。
新型コロナウイルスの感染拡大防止は日本の威信が掛かっている
[Reported by H.Nishimura 2020.03.02]
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