■技術の進化 9 自動車の安全性  (No.626)

最近,痛ましい交通事故が発生している。老人による人身事故で,若い人の命が奪われてしまっている。自動車の安全装置が上手く機能していれば,防ぐことができたかもしれない。

  安全装置

自動車の進化でも述べたが,自動車の安全性に対する機能は,どんどん進化している。私の車では,自動ブレーキシステムによって,障害物に接近しようとすると,先ずは警報が鳴る。前のクルマが急ブレーキを掛けたり,急に左折や右折しようとスピードを減速させたとき,警報音が鳴るときが時々起こる。もちろん,前を見ているので,警報が鳴らなくとも,ブレーキを踏み安全を確保しようとするのだが。

人がすぐ前を横切ったり,駐車場の料金装置に接近したときも警報音がなる。余計なお世話とは思わないが,安全を優先しようとすれば当然のことである。また,バックで下がろうとするとき,警報音だけでなく,障害物があればそれ以上進まないようにもなっている。踏み間違えをしたことが無いので,実際の経験は無いが,アクセルとブレーキを間違えて進もうとしたときにも,衝突を防止できるようにもなっている。

車線変更にも安全機能が働き,ウインカーを付けずに車線変更しようとすると,警報音が鳴るようになっている。高速道路などでは当然だが,普通の道路で車線を跨ごうとすると,このときも警報音が鳴る。これは,普通の運転をしている私でも,時々発生する。

このように,昔の自動車に比較すれば随分安全に対する配慮がなされてきている。

  老人への制限

しかし,自動車の安全機能は進んでいるものの,昨今のような痛ましい事故は減っているようには思えない。特に話題になるのは,老人の不注意と思われる事故である。詳しい報道を読んでいないので,安全装置がどれだけ機能したのか,しなかったのかは判っていない。しかし,最近の安全装置が搭載され機能していれば,防ぐことができたのではないかとも思う。もちろん,安全装置を過信することはいけないが,老人の不注意に対する機能でもあるので,いざと云うとき働けばありがたいのである。

私も既に受けたが,70歳以上の免許更新には,所定の更新のための受講及び実地訓練が義務づけられている。年齢を重ねると,若い人と比較して,反応も鈍くなり,視野も狭くなってくるのは致し方ないことである。しかし,自動車を運転する限り,安全な運転をすることは義務づけられており,安全な運転ができないようでは免許の更新はできない仕組みにはなっている。

75歳以上になると,3年毎に認知症の検査も追加されるようである。自動車免許を自主返納する動きもあるが,通常の生活に自動車は欠かせない存在であるのは多くの人が感じていることである。買い物一つをとっても,必要不可欠なもので,元気に暮らしている限り,自動車の運転は生活に密着している。

ただ,痛ましい事故を目にすると,老人の運転にも制限を掛けてはどうかと云う気がしてならない。つまり,運転免許の更新時に,安全機能が付いているクルマにしか乗れないとしてはどうか?もちろん,総てのクルマに安全機能が付いておらず,田舎で足の代わりに使っておられる軽トラックなど,全体を一律に制限することは直ぐには困難かもしれない。しかし,痛ましい事故を減らすにも,こうした取り組みは必要である。

クルマの自動運転も検討はされているが,実用化し普及するのはまだまだ先のことである。人の命には代えられず,安全な自動車が普及し,痛ましい事故は今すぐにも減らしたい思いは誰しもにある。技術の進化を急ぎたいものである。

痛ましい自動車事故に思う

 

[Reported by H.Nishimura 2019.04.29]


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