■技術の進化 8 自然の脅威 (No.625)
技術の進化は留まるところを知らない。想像もしなかったものが次々と開発されて行く。人間の創造力は素晴らしい。しかし,それにも勝るとも劣らないものがある。自然の力である。
自然の底力
科学技術が発達し,人間の創造力でできないモノは無いと云ってよいほど,進んできている。それなのに,神戸淡路大震災や東日本大震災のように,自然の破壊力に人間は為す術を知らない。一気に何千人,何万人と云う人が亡くなると云う災害に,何一つできないちっぽけな人間が居る。
何百年も前の世界なら未だしも,これだけ科学技術が発達してきた現代においても,地震に対する対応策はいろいろ検討されてきているが,発生してからの対応策で,いつどの位の規模で,何処で発生するかは予知できていない。南海トラフの地震が後何年の内に,発生確率がどのくらいである,と云った予想でに留まっている。まだまだ,地震に対する科学の解明はできていない。
もちろん,地震に関して日夜懸命の努力をされている技術者がおられるだろう。しかし,自然の力を十分把握し,人間の科学の力でコントロールできるには程遠い状態である。地震そのもののメカニズムの解明はある程度できてきているようにも感じられるが,その巨大な自然のエネルギーが如何ほどか,どの位溜まってきているのかが,十分把握されておらず,地震発生の予知にまで到っていないように思われる。
地球規模の物理現象であり,解明が全くできないとは思えない。その規模の大きさに,エネルギーの測定そのものができないのだろう。今現在はできなくともやがて測定ができる時代はやってくる。それが10年先か,100年先かは判らないが,決して夢ではないだろう。また,ナマズなど地震の予知を感じる動物が居ることも事実である。こうした,動物的感覚を人間の科学の解明によって明らかにする方法も一つのアプローチではなかろうか。
決して自然を甘く見ている訳ではないが,自然の力をもっともっと研究すべき余地はある。自然の脅威は計り知れないものではあるが,いつか自然の脅威に晒されるばかりでなく,自然と上手く付き合う方法を科学技術が見出して欲しいものである。
自然エネルギーの利用
自然の脅威に対して無力さを感じない訳ではないが,自然のエネルギーを活用しようとする試みがなされている。昔からある水力発電などはその代表的なものであるが,昨今では太陽光のエネルギーを利用しようとすることも進んできている。目新しいことではないが,太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換するものである。
原子力発電が問題となり,自然エネルギーを利用しようとする試みが進んでいる。太陽光は少なくとも無限にある。ただ,天候に左右されることは致し方ないとしても,有害物質を発生することもなく,クリーンなエネルギーであることには違いない。自然の脅威を嘆くのではなく,自然を上手く有効活用することは人間の知恵であり,そこには少なくとも技術の進化が必要である。
エネルギーの変換効率など改善は進んでいるもののまだまだ改良の余地はあり,技術の進化が求められている。現状では発電効率は20%程度で,太陽光のエネルギーの1/5しか活用できていないのである。これらを,2倍の40%にまで発電効率を上げようとする努力がなされていると云われている。そのためには,結晶シリコンでは限界があり(30%弱が上限),新たな材料開発が必要であり,化合物接合型の開発が進められている。
技術開発は無限の可能性を秘めており,必ず新たな目標に向かってチャレンジし,実現してくれることを願う次第である。
自然と科学技術の妙味
[Reported by H.Nishimura 2019.04.22]
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